もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、姉妹達との会話

自分たちの仕掛けたトラップに見事に引っ掛かったアリスたちを発見して、てっきり敵が襲って来たと思っていた少女は、予想外の来訪者に驚き、瞳を丸くする。

 

数度瞬きをして、改めてやって来たのがアリス達であることを確認すると、自分の大好きな姉が直ぐ目の前にいる事に嬉しくなり、未だ慌てたように周りを見渡しているアリスへと一直線に向かって行った。

 

「アリスお姉ちゃん!」(ガバッ!)

 

「ふわっ!?そ、その声は少女ちゃんですか?」

 

「はい。その通り私です。アリスお姉ちゃん、会えてとっても嬉しいです。」(ギュ――)

 

少女は、アリスの傍に着くのと同時にアリスへと満面の笑みを浮かべながら抱き着いた。

 

敵が攻めて来たと思い、先程まで緊張感のある攻撃的な雰囲気を纏っていた少女であったが、今は完全に霧散し、代わりに見た目通りの幼げで明るい雰囲気を放ちながら、甘える様に大好きな姉を抱きしめている。

 

「……アリスも同じです!少女ちゃんに会えて、とっても嬉しいです!」(ギュ―――ッ)

 

そんな少女の様子に先程の出来事などどうでもよくなったのか、アリスも、大好きな妹の抱擁に応えるように強く抱き返す。

 

そのように二人で抱き合っていると、不意にアリスの瞳の色が赤くなり、雰囲気も別人のように変化した。

 

【……少女姉さん…元気そうで良かったです。】

 

「ケイ!久しぶりです。あの後、問題はありませんでしたか。」

 

【…はい。リオ会長やハッカーの方々にも見てもらいましたが、何も問題ありませんでした。】

 

「それを聞けて安心しました。ケイが元気そうで、本当に良かったです。」

 

【ありがとうございます。少女姉さん。………ところで……あの、少女姉さんは……私にも……その……】

 

「………っ!(ピコーン)もちろん!ケイに会えたこともとっても嬉しいですよ!」(ギュウギュッ!)

 

【……///…ありがとうございます。私もその…嬉しいですよ///】

 

少女は再会の喜びを伝えようと更に抱きしめる力を強くしていく。

 

ケイは、若干の息苦しさを感じながらも、少女の温もりに包まれている現状を心地良さそうに受け入れている。

 

「おいっ!少女ちゃん!大丈夫……か。」

 

「あれ?その子は確か………ゲーム開発部のアリスちゃんだったかな?」

 

「ん。遊びに来たの?」

 

様子を見に行った切り中々戻って来ない少女が心配になったのか、フェリクスのメンバーが少女達の下にやって来た。

 

サオリ達は、今少女に抱きしめられている生徒が、少女の姉妹であるアリスであることが分かると、安心したように持っていた銃を降ろしながら、傍に近寄っていく。

 

「アリスちゃん久しぶりだね……あっもしかして遊びに来たのかなぁ?」

 

ユメが少女に抱きしめられているアリスに向かって、手を振りながら、親しげに話しかける。

 

が、少女の腕の中のアリス……いや、ケイは何故か少し機嫌の悪そうな顔でユメの方に目を向けた。

 

【……誰ですか貴方は。今私が少女姉さんと話してるんです。邪魔しないで下さい。】

 

「ふえっ!?」

 

その様な思いも寄らない言葉にユメは驚き腕を上げた状態で固まってしまう。

 

「ケイ、ユメは私のパーティーメンバーなんですから、仲良くしなければダメですよ。」

 

少女がケイにそう言うが依然としてケイは、ユメ達の方を向くことなくぷいっと顔を背けている。

 

「ひぃ~ん、なんか前と違ってアリスちゃんが冷たいよ。………私、何かアリスちゃんを怒らせる様なことしちゃったかなぁ。」

 

「いえ、ユメ先輩はアリスに何もしていませんし、アリスは怒ってませんよ。それに冷たいのは、アリスじゃなく、ケイの方です。」

 

「ふえっ?いきなり雰囲気が変わったよ!……それにケイって誰?少女ちゃんの裏モードみたいなものかな???」

 

突然アリスからケイに切り替わったことに事情を知らなかったユメは混乱し、頭に?を浮かべている。

 

そのやり取りを傍で見ていたサオリとシロコも少なからず驚いたが、特に混乱した様子もなく落ち着た様子で、少女達に話しかけた。

 

「まあ、折角来たんだ……話なら駄菓子屋の中でしたらどうだ……そこで伸びている子たちも運んでやらないとな………」

 

そう言ったサオリの視線を少女が追っていくと、未だ目を回して伸びているモモイ達とヒフミの姿が目に入った。

 

少女は慌てたように、抱きしめていたアリスを離し、モモイ達の方に駆け寄って行く。

 

「わあああ!忘れてましたっ皆、大丈夫ですか。」

 

「あっ!アリスもモモイ達のことすっかり忘れてました!みんな起きてください!」

 

アリスも漸く一緒にやって来たモモイ達の事を思い出したのか少女と一緒にモモイ達の傍に向かった。

 

少女とアリスは二人して慌てたように声をかけながら体をゆすり、起こそうとしている。

 

そんな二人の頭をポンポンと叩きながらシロコが落ち着いた声で話しかけてくる。

 

「二人共落ち着いて………取り敢えず皆を運ぼう…。」

 

「そ、そうですね。先ずは移動させましょう。」

 

シロコの言葉に落ち着きを取り戻した少女とアリスはユメ達と協力し、モモイ達を駄菓子屋へと運んだ。

 

全員を運び終わり奥の座敷へと寝かせると、少女はアリスとケイのことを改めてユメ達に紹介した。

 

紹介している間、ケイはアリスの奥に引っ込んでしまっており、ユメ達はケイと会話する事が出来なかった。

 

ケイの様子に若干不思議がりつつも、一先ず紹介を終えた少女は、アリスになぜここに来たのかと、質問を投げ掛けると、

 

「それは……あれから全然少女ちゃんがアリスの所に来てくれないからです………アリスやケイ、モモイ達も、みんな待ってたんですよ……」

 

アリスは少し頬を膨れさせながら少女のことをジトーっと見つめる。

 

少女はアリスの視線に申し訳なさそうに眉を下げながら、人差し指同士をくっつけながら縮こまってしまった。

 

「うぅぅ~~。申し訳ないです……この所限定イベントが多くて、中々アリスお姉ちゃん達のことは………そのぉ……………」

 

「………つまり、忘れてたんですか。」

 

「はぐっ!」

 

【………へぇ~私達のことよりも優先する事があったんですか…………そう言えば、先生からアビドスの生徒と楽しそうに過ごしていたと聞きましたが…………私達のことなんてどうでもいいんでしょうね。】

 

「あぐっ!」

 

少女は痛いところを突かれたように、アリスとケイの言葉に体をのけぞらせる。

 

まあ…確かに少女がここ最近忙しくしていたのは事実であり、アリスとケイもそれは分かっている様だが…………それはそれ、ということなのだろう。

 

二人の言葉にノックアウトされた様に少女は膝を付き、地面に手を当てて落ち込んでしまう。

 

流石に助け舟を出そうかと、フェリクスメンバーが動こうとするより先にアリスが屈んで、少女に視線を合わせて笑顔で話しかける。

 

「………な~んて、アリスは、全く気にしてませんよ。少女ちゃん」

 

「……アリスお姉ちゃん………本当ですか。」

 

「はい。勿論です。アリスはお姉ちゃんですから妹の頑張りをちゃんと認めないといけません。少女ちゃんはレベリングを頑張っていたようですから、アリスは別に怒ってないですよ。」

 

【………私は少し思うことがありますが、まあ…この後ちゃんと相手してくれるのでしたら……許します。】

 

「わぁ~✨ありがとうです。二人共っ……これからは、もっと会いに行くようにします。」

 

少女は、アリスとケイの言葉でいつもの調子を取り戻し、元気よく立ち上がって二人に笑顔を向けた。

 

そんな姉妹達のやり取りを微笑ましそうにフェリクスメンバーが眺めていると、奥の座敷部屋から((((タッタッタッ))))と複数の足音がこちらに向かってくる事にその場の全員が気が付いた。

 

どうやら、漸くモモイ達が復活したと気付いた少女は、ゲーム開発部とヒフミと久し振りに過ごせる時間を楽しみにし、どんな事を話そうかと、色々頭の中で話題を膨らませるのであった。

 

 

 

……………なお、最初の話題は初手にくらった爆撃のことであり、そこから駄菓子屋要塞化の件がばれてしまい、モモイ達から総突っ込みが入ることになった。

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