「そんなに、おかしなことだったんでしょうか。」
「絶対に可笑しいことですからね!」
ヒフミは少女の目の前で大声を上げながら、少女達の行動についてツッコミを入れていた。
「大体なんで、駄菓子屋さんを要塞化しなくちゃならないんですか!これじゃあ駄菓子屋さんに入れないじゃないですか!」
「ですが、それでは突破イベントや襲撃戦に対応することが出来ません。戦いは始まる前からの準備が一番大事ってサオリが言ってました。」
「ですから、何でやって来る人が襲ってくる前提何ですか!普通に買い物する人かもしれないじゃないですか!」
「ヒフミ…それは甘い考えです…ここは裏ステージ…襲撃者がそこら中にいるんですから、ヒフミだって最初に出会った時は襲われていましたよ。」
「うっ…それはそうなんですが……とにかく要塞化はダメです!おばあさんだって帰って来た時、店が要塞になってたら困まっちゃいますよ!」
「え~……そう言うことなら……しょうがないですね。戻しておきます。」
少女はヒフミの言うことに納得はしていないようであったが、おばあさんが困る姿は見たく無いらしく、渋々頷いた。
「ところで私に話したいことって何ですか。」
今少女はヒフミが二人っきりで、話がしたいと言うので、駄菓子屋の外へと二人で出ていた。
少女はヒフミの顔を下から覗き込みながら、問いかける。
「……はい。実は少女ちゃんに…お願いしたい事があるんです。」
ヒフミは先ほどのまでとは違い少し真剣な表情を浮かべて少女を見つめる。
少女もヒフミの真剣な表情から、これから話す内容がヒフミにとって大事なことであることを察知して、黙ってヒフミの話を聞こうと思いヒフミの方を見つめ返す。
ヒフミは少女ちゃんの表情から話を聞いてくれると判断したのか、続きを話し始める。
「前、少女ちゃんと初めて会った時に話しましたよね。私に大切な友達がいるって……」
「はい。確か……とっても優しくていい子達だって、ヒフミ言ってましたね。私、会えるのを楽しみにしてます。」
「私も少女ちゃんの事、早く皆に紹介したいと思ってますよ………でも、」
ヒフミは終始何かを迷っているように、たどたどしい口調であり中々本題を切り出そうとしない。
少女は辛抱強くヒフミが話してくれるのを待っており、ヒフミのことを見つめ続ける。
やがて決心がついたのか、ヒフミは意を決した表情を浮かべて今度こそ要件を話し出した。
「実はその友達と……サオリさんを会わせてあげたいんです。」
「サオリとですか……?」
ヒフミの言葉に少女は小首をかしげながら聞き返す。
実際、少女も自分のパーティーメンバーをヒフミの友達に紹介したいと考えていたので、ヒフミの要件自体は、特に反対することもない。それどころか寧ろ賛成する気持ちが強いのだが、何故かヒフミがサオリだけを指名したのか、少女は分からなかった。
少女が疑問に思っていることを察知してヒフミは先ほどの要件の理由を話し出した。
「実はその……前にその友達とサオリさんとの間で、少し……」
ヒフミは言いにくそうに言葉を詰まらせて、なんと説明すべきか迷っている。
無理もないことだろう。
あの一件のことは、ヒフミにも分かっていないことが多く、サオリにとって、つらい過去であり、忌むべき罪であるはずの為、軽々しく口にできる事ではない。
何よりヒフミには、サオリが少女にあの時のことを話しているのかが分からない。
もし話していなかった場合、勝手にサオリの秘密をばらすことになり、少女に限ってないとは思うが、もしかしたらサオリによくない印象を与えてしまうかもしれない。
だから、どう説明すべきかヒフミは頭を悩ませているのだが………そんな心配は杞憂であった。
「ああ、前にサオリが話していたサオリの家族の事ですね。」
「ええっ!知っているんですか!?」
「はい。前にサオリから聞きましたよ。とんでもないイベントだったんですね。」
そうとっくに少女はサオリから、かつてのエデン条約の事を聞いており、そこでサオリが何をしてしまったのか少女だけでなく、パーティー全員が知っていた。
その時どの様な会話があったのかは、いずれ語ることになるかもしれないが………今重要なことは、知った上で、少女たちはサオリと一緒にいることを選んでいるということだ。
過去にどんなことがあったとしても、今を見て、これからの未来を一緒に歩こうとすることが出来る。
それが、彼女たちの強さなのだ。
ヒフミは、何でもないようにサオリの事を受け入れる少女の強さを意図せず見せつけられ、啞然としたが直ぐにその顔に笑顔を浮かべおかしそうに笑い出した。
「あははは!」
「?どうしたんですかヒフミ。何か可笑しかったですか。」
「ああいえ、ごめんなさい。少女ちゃんの事じゃないんですよ………ただ何だか色々な事心配してたのが馬鹿らしく思っただけです。」
ヒフミは、笑い声を抑えて少女に今度は、いつもの優し気な笑顔を向けながら、話しかける。
「少女ちゃん!私決めました!色々な事がありましたけど、やっぱり………もう一度ちゃんと話をさせてあげたいんです。あの時とは違う……今のサオリさんと合わせてあげたいんです。」
ヒフミの眼には、迷いのない意志が籠っていた。それはヒフミ自身の為でなく、誰かの………友達の為に行動する時に見せる、何ともヒフミらしい優しい決意であった。
「ですから、少女ちゃん……二人が会う時傍に居てくれませんか?貴方が居れば、きっとうまくいくような気がするんです。」
「……私にはヒフミが何をしたいのか、いまいちよくわかりません………でも、ヒフミが友達の事を思っている気持ちは伝わりました。そして、それがサオリの為になる事も………」
少女はヒフミからの期待に応えるようにハッキリと応える。
「だったら、私の答えは決まっています!仲間の為、友達の為、私はいくらでも力を貸しますよ!」
「っ!はいっありがとうございます!頼りにしてますよ少女ちゃん!」