「本当にもういいんですか。まだイベント情報が足りないと思いますが。」
「はい!今は少女ちゃんが協力してくれると分かっただけで十分です!詳しいことは、また今度お話しましょう。」
「うーん……ヒフミがそう言うなら分かりました。私、気を長くして待っています。」
「あはは…何だか少しが間違っているような気がしますけど、ありがとうございますね。」
「はい。じゃあ戻りましょうか。」
少女はヒフミとの会話を終えると、皆が待っている駄菓子屋の中に戻ろうとヒフミの手を取って歩き始める。
ヒフミも特に抵抗することなく少女に連れられて歩きだしたが、ふと何かを思い出したのか、少女に話しかけた。
「あ、そうです少女ちゃん。先ほどの話、サオリさんにはまだ秘密にしておいて貰えませんか。」
「え?なぜですか。せっかく家族に会えるんですから早く伝えた方がサオリも嬉しいと思いますよ。」
「それは、そうかもしれませんが……でもまだ再会させられると決まったわけじゃないですし、もっと準備を整えた後の方がいいと思うんです。」
「なるほど。確かに準備は大丈夫です。サオリもよく言ってますし、ですが、それなら尚更サオリにも手伝って貰った方がいいんじゃないですか。」
「それはその~ええっと……ほらっサプライズの方がきっと盛り上がるじゃないですか!」
「サプライズ…ですか。」
「そ、そうです!サプライズの方がサオリさんきっと喜んでくれますよ!」
ヒフミは若干苦しいと感じつつ少女を説得する。
ヒフミだって本当なら教えた方がいいとは思っているが、彼女たちに起こった事を考えると安易に教えるのはためらわれる。
下手すれば、サオリが自分から再会する事を拒んでしまいかねない。
そうなってしまっては、元も子もないとヒフミは考えており、あくまで今は自分達の中だけにしておきたかったのだ。
そんなヒフミの思いを知ってか知らずか、少女はヒフミの提案に賛成する様子だった。
「なるほどです。確かにその方がきっとサオリも嬉しいはずです。…分かりました。ここでの話は私とヒフミのシークレット情報にしておきます。」
「はい!ありがとうございますね少女ちゃん!」
そんな会話を挟み、二人が駄菓子屋に戻ると、何やら店内が騒がしくなっていた。
「えっと、つまり遮蔽物のない場所で撃ち合いになったときは、相手の視線や癖をよく観察して、先回りで攻撃できるようにするかもしくはカウンターを仕掛けるのが良いんだね!」
「ああ。その他にもわざと隙を作り、そこに相手の攻撃を誘導させてからのカウンターを決めるというのもあるが、少々リスクが高いからな…慣れるまではより安全な手段を取るべきだ。」
「なるほど~さっすがサオリさん!物凄くリアリティのある意見!次のシナリオのいい刺激になるよ!!」
「そ、そうか。よく分からないがそう言ってもらえると助かる。」
「ねえ!ねえ!次の質問いいかな!!サオリさんの話もっと聞かせて!!」
「まだあるのか!…………分かった出来る限り答えよう。」
「シロコさん!そのまま!!そのままのポーズでお願いします!」
「えっと……これはなに?」
「スケッチです!実はシロコさんのこと初めて会った時からずっとカッコ良くて綺麗な人だと思ってたんです!」
「あ、ありがとう。…でもそれとこれはどう関係があるの?」
「ですから!是非っ今後のゲームキャラのビジュアルの参考のためにシロコさんをスケッチさせて欲しいんです!いいですか!!」
「ん。なんか前に会った時より圧が強い……下手に断ったらめんどそう……」
「では!次は銃を構えたポーズお願いします!」
「…………ん。これは諦めるしかない…………私達は苦しむ為に生まれてきたのだから…………」
「シロコさん動かないで下さい!!」
「……ごめんなさい。」
「おーい、ユズちゃーん。さっきから何でダンボールを被っているのかな。」
「おお、お構いなく!」
「でも、それじゃあ周りが見えなくて危ないよ。ほら、こっちで一緒にお茶でもしない?」
「あ、ありがとうございます。でも……やっぱり恥ずかしいので……このまま頂きます。」
「え!?ダンボールに入ったままお茶するの!?狭くない?」
「大丈夫です。ちょっと失礼します……うんしょっと。」
「ふぁ……ダンボールの中に湯吞持ってちゃった…………」
「(ズズズ……)はぁ~美味しい、です………」
「う、うーん。いいのかな……?何でここまで出たがらないんだろう。」
駄菓子屋の中では、少女とヒフミが話している間に復活したのかモモイ達ゲーム開発部が、各々少女のパーティーメンバーとの交流を楽しんでいた。
どうやら知識や探究が盛んなミレニアムにおいてこのようなレトロな駄菓子屋を見ることはないらしく、普段とは違う空気にモモイ達のテンションも高まっている様子だ。
一方少女パーティーはというと、良くも悪くも自由なゲーム開発部メンバーに若干振り回されている様子で、されるがままと言った具合だ。
唯一対抗できそうなユメは、ゲーム部部長であるユズの行動(恥ずかしいので終止隠密行動)に困惑し付きっ切り状態であり、モモイとミドリの方まで手が回らないようだった。
流石にサオリとシロコでは、今のテンションMAXのモモイとミドリを相手にするのは荷が重いようで、終始圧倒されっぱなしである。
そんな中、戻ってきた少女とヒフミに気が付いたアリスが二人の方にやって来た。
「二人ともお帰りなさいです!何をしていたんですか?」
「そ、それは~その~」
「ふっふっふ。それは内緒です。何と言っても私とヒフミだけのシークレットミッションなんですから。」
「そうです!そうなんですよ!今は私と少女ちゃんだけの秘密なんですよ。」
「ふーーん……そうなんですか。なら……しょうがありませんね。」
アリスは、少女に隠し事をされていることに不満があるのか少し顔を膨れさせているが、それ以上の追求を控えてくれた。
ヒフミはそんなアリスの様子に気付くと何とか話題を変えようと、話を切り出した。
「そう言えばアリスさんいつの間にか着替えてるみたいですけど、それは、メイド服ですか?」
ヒフミの言う通りアリスはここに来た時着ていたミレニアムの制服姿ではなく、普通よりも可愛らしく改造されたメイド服に着替えていた。
「ふっふーん!何故なら今のアリスはただの勇者ではなく、メイド勇者にジョブチェンジしているからです!これで少女ちゃんのお手伝いもバッチリです!」
「アリスお姉ちゃんお片付け手伝ってくれるんですか。」
「勿論です!妹が困っているのなら、勇者お姉ちゃんとして助けるのは当然です!任せて下さい!」
アリスは自信満々といった具合にやる気をみなぎらせた表情を浮かべており、そんなアリスに少女は嬉しそうに顔を綻ばせている。
「わぁ~!私とっても嬉しいです!ありがとうございます。アリスお姉ちゃん!そうと決まれば私もクラスチェンジして来ます。」
待っててくださーい。と言いながら駄菓子屋の奥の扉を開けて中へと駆け出して行った。
それから少しすると、少女の向かった方からタッタッタッと走ってくる音が聞こえてきた。
未だ振り回し、振り回されている他のメンバーを横目にアリスとヒフミが少女を出迎えようと扉の前に移動した。
するとそれとほぼ同時に扉が開かれ、そこから
「ペロペロペロ―ーです。」
何故かペロロ様そっくりな真っ白羽の付いた作業着にこれまたペロロ様の顔がプリントされたアメリカンタイプヘルメットを被った少女が出てきた。
「ぱんぱかぱーん。これで私はペロペロ様の力を得たビーストにクラスチェンジです。」
「おお!何だか少し気持ちわr」
「きゃあああああああああああああ!!!!とってもかわいいです!!!!!!」
「あっでもペロペロ様じゃなくてペロロ様!ですからね!!」