もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、お泊まり会再び

あの後何とかヒフミを落ち着かせて解放された少女は、先程のやり取りの間に落ち着いていたモモイ達と解放されたサオリ達の全員で要塞化された駄菓子屋を元の状態へと戻す作業に取り掛かった。

 

まあ、作業と言っても配置した武器の回収と仕掛けられたトラップを解除した後は、残ったがれきをアリスと少女が文字通り消し飛ばすだけなので、そこまでの時間はかからずその日のうちに作業は全て終了した。

 

とは言え始めた時間も昼過ぎであった事や仕掛けたトラップの種類が多かった事もあり片付けが終わったのは、夕方過ぎであった。

 

今からモモイ達が自分の寮に帰ると着く頃には日が暮れてしまう事だろう。

 

何よりこんな時間にブラックマーケットを出歩くのは流石に危ないだろう。

 

それならシロコのワープゲートで送ってあげればいいと考えるだろうが、残念ながらそれは不可能であるのだ。

 

実はシロコがワープを作れるのは、シロコ自身が知っている場所のみであり、近くならともかく見知らぬ遠い場所にワープするのはほぼ不可能なのだ。

 

いや、実際には方法がないわけではなく、明確な場所の座標さえあればワープゲート作成は可能であり、前回ゲーム開発部の部室にワープゲートを作成できたのは少女の持っているデバイスから位置が分かったからなのだ。

 

しかし、今回は誰もその場所にいない為この作戦は使えず、かと言ってたった一度行っただけのゲーム開発部の部室にワープゲートを作ることも難しいので、シロコのワープには頼れないのだ。

 

そんな訳で、モモイ達ゲーム開発部とヒフミがどうしようかと考えているとユメが、

 

「だったら、みんなでここに泊まっていけばいいよ!」

 

と話し出した。

 

「あっそうです。その手がありました。」

 

「でも、そんな急に……ご迷惑なんじゃ……。」

 

「そんなことないよ!おばあさんからもあんまり散らかしたりしないなら、お店や家は好きに使っていいって言われてるし!私達だって賑やかな方が楽しいから何にも気にすることはないよ!」

 

「ユメの言う通りです!これは、またとない交流イベントの予感がします✨ぜひぜひ泊まっていってください!!」

 

「二人共……ちょっと落ち着く。」

 

「はは……。まあなんだ、聞いての通り、こちらとしては君たちが泊まる事に何の問題もない。其方が良ければ気にせず泊まってくれ。」

 

「ホントにっ!やったー!正直今から寮に帰るのめんどかったんだよね!それに、まだまだこのレトロな空気感を味わっていたかったんだ!」

 

「もうっ、お姉ちゃん。ちょっとは遠慮してよ。もう……すみませんサオリさん。それとありがとうございます。」

 

「えっと…その…あ、ありがとう…ございます…お、お世話になります…」

 

「わあい!また、少女ちゃんとのお泊まりイベントです!それに今度は参加人数増加で楽しさ倍増です!!」

 

「あはは…、それじゃあお言葉に甘えて、お世話になります。」

 

その様なやり取りを得て、皆でお泊り会が決まったようだ。

 

泊まる場所は、今回泊まる人数がゲーム開発部とヒフミ含めた5人と多く、流石に少女たちのアパートでは手狭になり窮屈なため、このまま駄菓子屋兼おばあさんの家を使わせてもらう事にした。(元々、駄菓子屋の事を頼んだとき、家は好きに使っていいとおばあさんから許可は貰っている。)

 

少女たちは、お泊り会に向けて夕食の買い出しや予備の布団の準備など、各々別れて準備を始めていった。

 

………その日の晩は、モモイ達が持って来たゲームを皆でプレイしたり、ヒフミからペロロ様含めたモモフレンズのキャラクターの魅力について話しあったり、モモイが始めたまくら投げ大会で盛り上がり、盛り上がり過ぎてサオリに注意されたり、ミドリからイラストの描き方を教わり皆の絵を描いたり、ユズと一緒に段ボールの中に入ってみたり、アリスとケイと一緒に協力プレイをしたり、兎に角たくさん色んな事をやっていくうちに、少女が目覚めてから、一番賑やかで、楽しい夜は深けていった。

 

 

 

翌日、昨日夜遅くまで起きていた事もあり、少女たちが起床したのはお昼近くになっていた。

幸いにも今日は、休日であったため寝過ごして、学校に遅刻するといった事にはならないようであった。

 

少女が目を覚ましたとき、周りには、アリスとモモイ、ミドリとユズの4人がまだ眠っていた。

少女達は昨日、夜遅くまでゲームの協力プレイを5人でやっており、どうやらそのまま寝落ちしてしまったようだ。

寝落ちしたことに気付き誰かが掛けてくれたのか、皆にはタオルケットが掛けられていた。

少女は、皆を起こさないように掛かっているタオルケットを外して寝ていた部屋から抜け出すと今だ寝ぼけている目をこすりながら、顔を洗うために洗面所のある方に足を運んだ。

 

 

丁度その時、ちゃりん、ちゃりん、っとお店の扉が開く音が少女の耳に聞こえて来た。

 

 

少女は、その音が聞こえる洗面所に向かう足を止めて、お店の方を見ると小走りでそちらに向かって行った。

 

 

 

少女が、お店に続く扉を開け入り口の方を見ると………

 

「おやぁ~、お嬢ちゃん出迎えかい?」

 

風呂敷包みを下げたおばあさんが、少女の方を優しい眼差しで見ていた。

 

おばあさんっ!!

 

少女は、先程まで感じていた眠気がきれいさっぱりなくなったのか、嬉しそうな笑顔を浮かべおばあさんの下に駆け寄った。

 

「ぱんぱかぱーん。おばあさんが帰還しました。おばあさんお帰りなさいですっ。用事は無事に完了しましたか。」

 

「ああ。お嬢ちゃん達がお店の事守ってくれていたから、なぁんの心配もせずに用事に専念できたよぉ。おかげで予定よりもずっと早く、片付けることが出来たよ。」

 

「それはとっても良かったです。私、皆と協力してとっても頑張ったんですよ。」

 

「はははっそぉかい、そぉかい、それはとっても偉いねぇ。ほんとぉにありがとねぇ~。」

 

「はい。とっても偉いんです。ですから、おばあさん報酬として私の頭をなでなでしてください。」

 

「ああ、お安い御用さ。報酬なんかじゃなくてもいくらでもしてあげるさね。ほれ、よ~し、よ~し。」(なでり……なでり………)

 

「えへへ♪おばあさんの手、やっぱり優しくって大好きです。なんだか不思議な力を感じます。」

 

「そぉかい。別に普通だと思うんだけどねぇ。気のせいじゃないかい?」

 

「そんな事ありません。現に今、私の幸福ゲージはどんどん上昇していっているんですから。」

 

「ふふふっそんなに喜んでもらえると、あたしまで嬉しくなるよ。」

 

「えへへ~~。もっといっぱいお願いします。」(頭グイグイ)

 

「はいはい。」(なでり……なでり………)

 

そうやって少女が、しばらくの間おばあさんに甘えていると、奥の扉から一人、お店を覗き込むように顔を出してきた。

 

「少女ちゃん?誰かやって来たんですか?」

 

「あ、アリスお姉ちゃん。おはようございます。」

 

「おやおや………これはまぁ。」

 

顔を出したのはアリスであり、どうやら目が覚めたら、隣で眠っていた少女がいなかったので探しに来たようだ。

少女はアリスに気付くと撫でられた状態のままアリスの方に顔を向けると笑顔で挨拶をし、おばあさんの方は、少女そっくりな見た目のアリスに若干驚いているようだった。

 

アリスは、ぽてぽてと二人の傍に行くとおばあさんに笑顔を浮かべながら話しかけた。

 

「初めまして!私はアリスといいます!クラスは勇者です!よろしくお願いします!」

 

「おやおや、これはご丁寧にありがとう小さな勇者さん。あたしは見ての通り、老いぼれの駄菓子屋さんさぁ。…にしても、お嬢ちゃんそっくりで可愛らしい娘だねぇ。」

 

「はい。おばあさん、アリスお姉ちゃんは私のお姉ちゃんなんですよ。」

 

「はい!その通りです!私は、少女ちゃんのお姉ちゃんなんです!!」

 

「あぁそうだったのかい……そりゃあ、そっくりなわけだね~」

 

「ふふんっ!……ところで少女ちゃんは先ほどから何をしているんですか?」

 

「私は今、クエスト達成の報酬を貰っているところです。おばあさんのなでなでは、どんなバットステータスも治せる至福のなでなでなんですよ。」

 

「な、なんと!?そんな凄いスキルを習得してるなんてっ!?おばあさん只者じゃありませんね………」

 

「いんやぁ~、ただの駄菓子屋のおばあさんだよ。」

 

「いいえ、アリス知ってます……一見なんて事のない様に見せかけて、実は真の力を隠している凄腕の実力者がいることを………おばあさんもきっと、そう言うタイプに違いありません!」

 

「おやおや、これは参ったねぇ」

 

「こうしてはられません!これはきっと新たなスキルを獲得できる重要イベント!逃す訳にはいきません!おばあさんっアリスにもそのスキルを使って下さい!!」

 

「うん?よく分からないけど……勇者さんを撫でればいいのかい?」

 

「その通りです!お願いします!」

 

「はいはい。お安いごようさね。」

 

おばあさんはそう言うと、突き出されていたアリスの頭も優しく撫で始めた。

 

(なでり……なでり………)

 

「ふわ~。これは、確かにいいものです……先生のなでなでとは、また違った安心感があります!」

 

「はい。おばあさんのなでなでは、最高です。」

 

「おやおや、ふふっ。」

 

その後、少女とアリスは満足するまで、おばあさんのなでなでを堪能するのであった。

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