もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、ヒールミッションです。

「妖精さんって///……少女ちゃん、お願いだからそれは、やめてくれないかしら///」

 

 

 

「え。なんでですか。アリスお姉ちゃんから聞いたことが本当ならピッタリだと思います。」

 

 

 

「いいですね!!とっても優しくて、いつも皆のことを考えてくれて、正しい選択肢に導いてくれるユウカにピッタリのクラスだとアリスも思います!!アリスも今後、ユウカのことを妖精さんって呼びます!!」

 

 

 

「アリスまでっ!恥ずかしいから、本当にやめて!!」

 

 

 

一見すると、ユウカをからかって遊んでいるように見える光景であるが、ユウカは目の前の二人が心の底から思っている噓偽りのない本心から言っていることをよく知っている。

 

 

 

なにせ、あのミレニアムを襲った大惨事(笑)の最初の被害者なのだから。

 

 

 

そして、この勇者たちの攻撃はまだまだ終わらない。

 

 

 

「それにとっても綺麗で、かわいいです。髪なんてふわふわしているように見えて、しっかり整えられています。」

 

 

 

「それだけじゃありませんよ少女ちゃん。ユウカはとっても頑張り屋さんなんです!この前も夜遅くまでミッションを消化したり、忙しそうにあっちこっちマップ移動しているのをアリス目撃しました!きっとレベル上げですね!深夜帯のクエストは経験値が増加することがありますから!」

 

 

 

「おおっ。確かにとっても頑張り屋さんですね。私、尊敬します。」

 

 

 

「そしてユウカの一番の魅力は、やっぱり優しいことです!!アリスも初めて会った時は、モモイが言ってたように冷酷な算術使いだと思ってましたけど……アリスたちの頑張りを誰よりも見ていてくれて、その結果を誰よりも喜んでくれました!!それに前にアリスがピンチになった時、心配だからってモモイ達の力になってアリスのこと助けようとしてくれたって先生から聞きました!!」

 

 

 

「アリスお姉ちゃんこと、助けてくれたんですか。」

 

 

 

「その通りです!その後もアリスのことを気にかけてくれたり、守ろうとしてくれたり、アリスとっても助けられました!」

 

 

 

「おお✨アリスお姉ちゃんのこと大切に思ってくれたんですね。」

 

 

 

「アリスだけじゃありません!モモイとミドリとユズ、その他のミレニアムみんなのことをいつも考えてくれているんです!そんなユウカが、アリス大好きなんですっ!!アリスだけじゃなく、モモイもミドリもユズも先生も…皆っ頑張り屋さんで優しいユウカがとっても大好きのはずですよ!!」

 

 

 

「はい!絶対アリスお姉ちゃんの言う通りです!だって話を聞いているだけで、私もどんどん妖精さんのことが好きになってきましたから!ですので妖精さん!ぜひっ私とフレンド登録をしてください!私、妖精さんと友達になって妖精さんとたくさんお話したいんです!!ですから私と友達になってください!!」

 

 

 

 

 

 

 

もう、いい加減やめてさしあげろ!君たちはユウカに何か恨みでもあるのか!!

 

 

 

 

 

 

 

この場に第三者が居れば、きっとそう言って、この勇者姉妹を止めてくれていたかもしれないが………不幸にも今この場にいるのは、少女とアリスとユウカの三人だけである。

 

 

 

………いや、ユウカにとってはある意味、運が良かったのかもしれない。

 

 

 

「~~~~~。///」(ぷるぷるっ)

 

 

 

ユウカの顔は熟れたトマトの様に真っ赤に染まり、体は小刻みに震えている。

 

 

 

………誰がどう見ても恥ずかしさで限界が近いことが分かる状況であり、こんな場面もしもコユキやモモイに見られでもしたら、むこう一週間はネタにされることになるだろうし、ノアが居ればもっと悲惨な目に遭うのは目に見えている。

 

 

 

そう考えるとこの様な姿を誰かに見られなかっただけでも喜ぶべきことなのかもしれない。

 

 

 

 

 

(このままアリスちゃん達のペースに合わせて話が進んだら、またあの時の似の前になっちゃう!な、なんとかしないとっ!)

 

 

 

直感的にそう感じ取ったユウカは、何とか話題を変えようと二人に話しかけた。

 

 

 

「そ、そいえば二人はどうしてここに来たのかしら?誰か用でもあるの?」

 

 

 

「あっそうでした。目的を忘れるところでした。」

 

 

 

「はい!アリス達はリオ会長に会いに来たんです!」

 

 

 

「会長に?それはどうして………」

 

 

 

「それは、私が会いたいと頼んだからです。」

 

 

 

「少女ちゃんが?」

 

 

 

「はい。以前私は無事にリオからのクエストをクリアして、報酬を獲得したんですけど………よく考えてみると私ちゃんと報酬が果たされているのか確認していませんでした。ですからその確認をしに来たんです。」

 

 

 

「報酬って、一体………ああ、そう言うことか。変だと思ったのよね。いきなりあの会長が帰ってくるんだもの?私とノアで訳を聞いても、……ただ報酬を払っているだけよって、言うだけで詳しいことは分からなかったけど………そっか、貴方が連れ戻してくれたのね。」

 

 

 

ユウカは、少女の言っていることに心当たりがあったのか、先程までとは違う優しい瞳で少女のことを見つめた。

 

少女はユウカの言葉に少し小首をかしげると迷いのない声で返事を返した。

 

 

 

「私だけじゃありません。アリスお姉ちゃんやモモイやミドリ、ユズに先生がリオに戻って来て欲しいと戻ってきていいって教えてくれたからです。それにユウカや他のミレニアムの皆のことを知ってここを守りたいと思ったリオの気持ちが分かったから、私はリオに戻って来て欲しいと思ったんです。これは私じゃなくこの場所がとってもいい場所だからだと、私は思います。」

 

 

 

少女の真っ直ぐな視線がユウカの視線と重なる。

 

 

 

先ほどの褒め殺しと似ているようで、少し違う言葉の重み。

 

どちらもきっと少女の本心であることは間違いないだろうが………それでも今の言葉には、言葉以上にもっと大切な“何か”が込められている様な気がする。

 

 

 

少なくともその言葉を受け取ったユウカには、そう思えてならなかった。

 

 

 

「………そっか。そう言ってくれると本当に嬉しいわ。……でも貴方がきっかけになってくれたのは事実。」

 

 

 

ユウカは一度ゆっくり瞬きをすると、少女の真っ直ぐな視線と自身の視線を合わせ、優しくこう言った。

 

 

 

 

 

「だから、ありがとう……勇者さん。私達の会長を連れ戻してくれて。」

 

 

 

「………はい。どういたしましてです。」

 

 

 

「お礼をしたいところだけど、何かして欲しいことはないかしら?」

 

 

 

「だったら、さっきも言いましたけど、私と友達になって下さい。私、妖精さんのこともっと知りたいです。」

 

 

 

「あら、そんなことでいいの?それは私も大歓迎よ。……でも妖精さんじゃなくて、ユウカってよんでね。」

 

 

 

「はい。分かりました。よろしくですユウカ。」

 

 

 

そう言い、お互いに握手を交わしながら、笑い合う。どうやらまた一人少女はステキな出会いをしたようだ。

 

 

 

「さてっそろそろ仕事に戻らないっと………はぁ…。」

 

 

 

「??ユウカ何だか疲れた様子ですね。疲労状態みたいです。大丈夫ですか?」

 

 

 

「ああ、アリスちゃん気にしないで。ただ、ちょっとここ最近仕事が忙しくって、会長が戻って来てくれて前より楽になったんだけど、任せきりにする訳にもいかないし………」

 

 

 

心配そうなアリスにそう言いながら、ぐい~~~っと体を伸ばすユウカを見て、少女は意気揚々と話し出した。

 

 

 

「それなら私に任せて下さい。」

 

 

 

「少女ちゃん?何かアイデアがあるんですか?」

 

 

 

「もちろんですアリスお姉ちゃん。見ていて下さい。」

 

 

 

そう言うと、少女はユウカの目の前に移動して、

 

 

 

「えいっ」(ぎゅっ)

 

 

 

ユウカの頭を抱えるように抱きしめた。

 

 

 

「えっ!?少女ちゃん一体何を!」

 

 

 

どこか既視感のある少女の行動にユウカは驚き慌て出した。

 

少女はユウカが抜け出さないように、ぎゅっと抱きしめている腕の力を強めながら話し出す。

 

 

 

「暴れないで下さい。それじゃあ回復できないですよ。」

 

 

 

「回復ってどういうこと!?」

 

 

 

「私、知ってます。疲れた時や寂しい時はこうして抱きしめると体力ゲージの自然回復が速くななるんですよ。」

 

 

 

「そうなんですか!」

 

 

 

「はい。これは、私やパーティメンバー、そしてケイで実証済みですから間違いありません。言わば私のヒーリングスキルです。」

 

 

 

そんな訳ないと言いたいところではあるが、生憎この場にはツッコミを任せられる存在も止めてくれる存在もいない。

 

だから、この後の展開もしょうがない事なのだ。

 

 

 

「ヒーリングスキルっ!おお!それはとっても凄いですね!アリスもそのヒーリングスキルを身にいつけてヒーラー系勇者にランクアップします!!というわけで失礼します!」(ぎゅっ!)

 

 

 

「ちょっと、アリスちゃんまで!?」

 

 

 

少女とは、反対側の背中からアリスがユウカの腰に抱きついてきた。

 

両方から挟まれたユウカは完全に身動きが取れない状態になってしまっている。

 

ユウカは何とか二人を説得しようと声をかけてみるも、そんな事で止まる様なら誰も苦労していない。それどころか少女はユウカを抱きしめながら、頭を優しく撫でる始末であった。

 

 

 

どうしてこうなったと思う反面、二人の体温が心地よく感じてきているユウカの耳に一人の生徒の声が聞こえて来た。

 

 

 

「あらあら、ユウカちゃんったらなんだか楽しそうですね。」

 

 

 

「ノ、ノア~~っ!?」

 

 

 

その生徒とは、白髪の長髪で紫色の瞳を持ちユウカと同じくセミナーに所属している、生塩ノアであった。

 

 

 

彼女はいつの間にか部屋の扉の前に立っており、ほほえましそうに三人を眺めていた。

 

 

 

「ちょ、ちょっと何時からそこにっ!?居るんなら声かけなさいよ!」

 

 

 

「いえ、邪魔しちゃ悪いかな~って思いまして。」

 

 

 

「どういう意味よ!後、さっきから何でカメラをこっちに向けているのよ!」

 

 

 

「いえいえ、お気になさらず。ユウカちゃんが後輩達と楽しく過ごしている平和なミレニアムの姿を記録しているだけですから。」

 

 

 

「理由になってないわよ!」

 

 

 

「あっ大丈夫ですよユウカちゃん。この動画は後でちゃんと先生にも送っておきますから、心配しないでくださいね♪」

 

 

 

「そういう問題じゃ………ってええ!?先生に送るってそれだけは絶対にダメだからね!」

 

 

 

「ええ?どうしましょうか?」

 

 

 

*♡ギュー(๑>ᴗ<)「ノ~~ア~~~~!」(>ㅅ<`,, )ギュー♡*

 

 

 

その様なやり取りの最中でも少女とアリスは構うことな、くユウカを抱きしめ続けていた。




ぱんぱかぱーん。

少女は新しく、ヒーリングスキルを獲得した。

少女は新しく、称号:ハグ魔を獲得した。
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