もう一人の勇者   作:Katarina T

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少女、やっと会えた人

「はあー、はあー、ようやく解放された……。」

 

あの後何とか少女とアリスを説得に成功し、二人を引きはがしたユウカは、普段とは違う心労を感じ若干脱力しながら、自分の椅子に腰かけ息を整えている。

そんなユウカに微笑ましそうに口元を緩ませているノアが、コーヒーの入ったコップを持ってやって来た。

 

「そんなこと言って、ホントはもう少し抱きしめていて欲しかったんじゃないですか~?」

 

「なっ!?そんな訳ないじゃない!」

 

「え~~~。でもお二人に抱きしめて貰っている時のユウカちゃん。とっても嬉しそうな顔、してましたよ。ほら~~。」

 

そう言いながら、ノアは自身のスマホ画面をユウカに見せるように向けた。

 

そこには、ユウカの頭を抱きかかえうように優しく抱きしめている少女と、ユウカの背中に張り付き甘えるように抱き着いているアリス。

そして、そんな二人の行動に困った様な顔をしながらも………ノアの言う通り何処か嬉しそうにしているユウカの姿があった。

 

「―――っ///!??」

 

ノアのスマホ画面を見たユウカは硬直したように動きを止めると、次の瞬間にはその顔にドンドン赤みが増していき、耳まで真っ赤になってしまった。

 

「ふふふ……。この写真のユウカちゃん。とっても可愛いらしいですよね。」

 

「ちょ、ちょっと、ノア……あの時撮ってたものは、全部消したんじゃ………。」

 

「そんな訳ないじゃないですか~~。せっかくこんなに可愛いものを見ることが出来たんですから、消しちゃうなんて勿体無いことしませんよ。」

 

「っ!??あのね~~~っ」

 

「あっ、ちなみに写真だけじゃく、動画バージョンもありますよ。」

 

「ノーーーアーーー!!!!」

 

「ふふふ、ごめんなさいユウカちゃん。ちょっと、からかい過ぎましたね。」

 

「ほ、ん、と、う、に、ねっ!……全く、人のこと見世物にして。」

 

「だって、恥ずかしがってるユウカちゃんが可愛くて……つい。」

 

「つい、じゃないわよ!もおーー!」

 

「……それにしても、あの子がこの前言ってた、アリスちゃんの妹さんですか?」

 

ノアはユウカをいじくるのを一旦やめると、少女たちのほうに視線を向けた。

 

 

 

「パンパカパーン!アリスはヒーリングスキルを獲得した!!これでアリスはヒーラー系勇者にレベルアップです!!新しく得たこの力でこれからドンドン仲間のHPを癒していきます!!」

 

「いえ、アリス姉さん。それは止めておきましょう。むやみやたらに人に抱き着くものではありません。……第一ハグで疲労が解消されるかも怪しいですから。」

 

「そんなことありませんよケイ。私はおばあさんやユメ達から抱きしめられると、とっても暖かくて直ぐに体力がミドリゲージにまで回復するんですから。」

 

「……そういうものでしょうか。」

 

「信じていないなら、試した方が早いですね。……はい、私の胸に飛び込んできてください。」

 

「え!?い、いやそれは少し恥ずかしいのですか………。」

 

「なら、アリスが抱き着来ます!少女ちゃん、ぎゅーー!です!!」

 

「はい、アリスお姉ちゃん。ぎゅーー。です。」

 

 

 

「……とっても仲良しさんみたいですね。なんだか見ててほっこりします。」

 

「……そうね。それには同意するわ。」

 

ユウカとノアが少女たちのやり取りを微笑ましそうに眺めていると、また一人の生徒が一機のAMASを連れて部屋の中に入ってきた。

 

「―――今、戻ったわ。……貴方達は。」

 

「リオ会長です!!」

 

部屋に入ってきた生徒は外部での用事を終えて戻って来た調月リオだったらしく、彼女の手やAMASの上には多量の書類が積み上がっており、とても忙しく動いているように思えた。

 

アリスはやって来たのがリオだと分かると、一目散に彼女の下に駆け寄って行く。

少女もアリスの様子からやって人が、自分の目当ての人物であることに気が付いたのか、笑顔を浮かべながら、近寄っていく。

 

「はじめましてです。貴方がリオですね。やっと会うことが出来ました。」

 

「―――ええ。はじめまして、少女ちゃん。会えて嬉しいわ。」

 

「はい。私もです。」

 

少女の言葉にリオも薄くではあるが、確かに口元を緩ませて挨拶を返した。

リオの様子に安心したのか、はたまたやっと会うことが出来たことが嬉しいのか、少女は先ほどまでよりも楽しそうにリオとアリス、ケイとの会話に花を咲かせいる。

 

 

 

「――どうやら私たちが余計な心配をする必要はなさそうですね。」

 

「そうみたいね。………正直、ちょっと不安があったんだけど………私の心配しすぎだったみたい。」

 

「仕方ないですよ。あんな事があったんですから。」

 

「そうかも知れないけど。――でも、やっぱり今の会長をちゃんと見れてなかったって、思ったのよ。」

 

「そうですね。リオ会長、以前までと比べて、少しですけど確かに変わって来ていると思います。」

 

ユウカとノアは、目の前の“4人”のやり取りを眺めながら、そう結論付ける。

 

「リオ。私この前、海っていうマップに行って来たんですよ。そこには隠しダンジョンが合ってとっても綺麗な景色があったんです。私、リオともそんな冒険を一緒にしたいです。」

 

「アリスもです!この前、少女ちゃんやヒナ委員長たちとの合同クエストみたいな、楽しい冒険をリオ会長と一緒にやりたいです!!今度、皆で行きませんか!」

 

「………ええ。分かったわ。あなた達がそうしたいと言うのなら、スケジュールを調整してみるわ。」

 

「「わ~~~~いです!」」

 

そこに広がるのは、何気ない日常の一コマであり平和な学生の姿。

例え、過去の出来事を変えることが出来なくても、それを乗り越え今を変えていくことが事が出来るのなら、きっといい方向に向かって行く。

 

ユウカは少女達との会話を聞きながら、柄にもなくそんな事を思っていた。

 

―――会長。お帰りなさい。

 

「ユウカ?今、よく聞こえなかったのだけど………私に何か言ったのかしら?」

 

「ふふっ何でもありません♪さて、早速ですが今日の予定の説明をさせていただきます!」

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