もう一人の勇者   作:Katarina T

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【番外編】少女、夏休み その5だよ~

暴走していた問題児達をあっという間に片付けた少女たちは、後のことを通報よって駆けつけてきたヴァルキューレの生徒とヒナが呼び出した風紀委員の生徒に任せ、再び友達との休日を満喫するためにショッピングモール内を歩いていた。

 

尚、彼女達の鎮圧の話を聞いたヴァルキューレの生徒は空いた口が塞がらない位驚いていたし、日頃からヒナの強さを知っている風紀委員の生徒も余りの鎮圧の速さに呆れを通り越して…何それ怖い……と本気で思っていた。

 

(後、話を聞いた横乳行政官が、「委員長と遊びに行くなんてっ羨ましい!!」と鳴いていたようだが……気にする者はいないし、気にしなくてもいいだろう。)

 

そんな少女たちは、ホシノの目的であった私服を買うためにショッピングモール内に複数展開されているブティックを回っていた。

(今さっき問題児たちによる爆発騒ぎや銃撃戦があったというのに…………そんな事まるで気にした様子もなく営業を行っている店や普通に買い物を楽しんでいるお客さんたちに突っ込んではいけない)

 

「うへ~。それにしても全然決まらないね~。」

「そうですね。アイテム選択には時間がかかりすぎです。」

「うーん…選択肢が多すぎますから時間がかかりますね。」

「アリスの言う通り本当にたくさんの店があるわね…………とてもじゃないけど全部見ている時間はないわ。」

 

少女たちは既に数店の店を見て回っているようだが、気にいった服がなかったのか……はたまた単純にどう選べばいいのか分からなかったのか……もしくはその両方か………

依然として少女たちは一着も洋服を入手出来ていなかった。

 

先ほどの戦闘で見せた抜群の連携と決定力が噓のように、花の女子高校生4人が服選びに大苦戦している様子は、普段の彼女たちを知っている人が見れば目を疑う光景に唖然とした表情を浮かべるかもしれないし……

 

反対に微笑ましい物を見るような優しい瞳をしながら眺めるかもしれない。

 

どちらにせよ、こうして一緒になって服選びに苦戦している彼女たちの姿は………何処からどう見ても仲のいい友人と出掛けているただの子供にしか見えないだろう。

 

 

「ふ~ん……。よく分からない時は、とにかく色々な組合せを試すべきですね。」

 

4人がどうしようかと悩んでいると、少女が顔を上げながらその様に言ってきた。

そのまま善は急げと言うようにホシノの手を握ると「さあ、早く行きましょう。」と言いながら一番近くのブティックへと入って行き、ホシノは「あ~れ~」と言いながら無抵抗で少女に引きずられていった。

 

アリスも「なるほどっ!」と一言つぶやくと少女に続くようにヒナの手を引きながらブティックへと足を進め、ヒナは「あっちょっと!」と戸惑いつつも特に抵抗せずアリスに連れられていった。

 

 

 

ブティックの中へと入った少女達4人は早速服を選ぶためにそれぞれ行動を開始する。

 

相変わらずホシノとヒナはどの様な服を選べばいいのか分からずあっちこっちと店内を歩き回っており、苦戦をしている様子だったが…………意外なことにアリスと少女の動きは二人とは違いスムーズだった。

 

 

 

少女は持ち前の学習能力を駆使して、店内に置かれていたファッション誌や店員からの助言よりコーディネートとはどういうものかを理解し、順調に自分たちに合う服装を選択していき、

 

アリスはゲームに登場するキャラのスキンやデザインを参考にして服をピックアップしていき、選択に困った時は(何故かファッションに詳しい)ケイにアドバイスをもらうことで次々と着てみたい服を選んでいった。

 

 

 

しばらくすると、少女4人が試着室の前に集まり持ってきた服を見せ合っている。

 

 

「少女ちゃんとアリスちゃん沢山選んだねぇ~」

 

「はい。私だけじゃなく皆に似合いそうな服もゲットしてきました。」

 

「装備品の選択は重要なことですから、アリスも張り切って選びました!勿論ヒナさん達の分もあります!」

 

「二人共ありがとね……私はこういうのに慣れてなくて……」

 

「まあまあ~そう気を落とさないで、折角二人が選んできてくれたんだし……取り敢えず試着してみよっか。」

 

「………そうね。そうしましょうか。」

 

 

そうして少女達の小さなファッションショーが開催された。

 

選んできた服は、可愛い系からボーイッシュな物、少し大人びた物と様々なジャンルな服であふれていた。

 

中にはこんなの何時着るのといいたくなるような奇抜なデザインの物や中央に『サンマ』とでかでかと書かれたクソダサTシャツなどもあったりと本当に色々であった。

(まあほとんど少女とアリスの選んだものであり、ホシノとヒナが選んできたものは、どちらかというと実用的なデザインであったのだが……)

 

 

 

少女達は一人ずつ気にいった服に着替えるとほか三人が感想を言い合い、気に入った服が合ったら購入していった。

 

買い物の間、彼女たちは互いに遠慮なく意見を言い合っており…………全員がとても和気藹々と楽しそうな表情を最後まで浮かべていた。

 

 

 

 

 

少女たちが買い物を終えてショッピングモールの外に出る頃、時刻は夕暮れ時になっており、空は夕焼けで赤く染まっていた。

 

「パンパカパーン!探索クエスト無事に達成です!!」

「ぱんぱかぱーん。探索クエスト無事に達成です。」

 

「いや~それにしても何だか慌ただしい一日だったねぇ~」

 

「そうですね。イベント盛りだくさんなで楽しい一日でした。」

 

「アリス、今日一日で随分経験値を稼げたと思います!ヒナさんはどうでしたか?」

 

「ええ…私も楽しかったわ。…………連れて来てくれて、ありがとうアリス。」

 

「わああ✨そう言ってもらえるとアリス嬉しいです♪」

 

「少女ちゃんとホシノも……今日一緒に出掛けられて……その……楽しかったわ。」

 

「うへへ私も楽しかったからお互いさまだね~」

 

「はい。私もです。皆とイベントをこなせてとっても嬉しかったです。いつかもっと色んな所に一緒に冒険したいです。」

 

「いい考えですね少女ちゃん!その時はモモイ達も連れて来ます!」

 

「ふふっ。ええ……また今度ね。」

 

 

 

その様に少女たちは、そんな夕焼けの空の下をお喋りを楽しみながら並んで歩いている。

 

すると急に少女が何か見つけたのか、話しを途中で切り上げ前の方に視線を凝す。

 

「ん?少女ちゃんどうかしたんですか?」

 

「うーん……アリスお姉ちゃん前方に見知った人影があります。あれは…………先生です。」

「えっ!?」 「うへっ!?」 「えっ…」

 

少女は凝視していた人影の方向を指さしながらアリスにそう告げる。

アリスと他二人は少女の言葉に驚きつつ、少女が指さす方に視線を向けた。

 

そこにはスーツ姿で誰かを探すように辺りを見渡す男性……先生の後ろ姿があった。

 

「本当です!先生がいました!先生ーーー!!!」

「ちょっと、アリス!」

 

アリスは人影の正体が先生である事がわかると、先生に呼びかけながら一目散に向かって行き、そんなアリスを追うようにヒナが駆け出し、その後をホシノと少女が追いかける。

 

“ん?ああ、アリスとヒナやっと見つけた。……あれ?ホシノに少女ちゃんまで一緒だったの?”

 

「はい!偶然あったので、一緒にパーティを組んだんです!先生はアリス達の事を探してたんですか?」

 

“うん。ちょっと心配になって様子を見に来たんだけど……どうやら心配要らなかったみたいだね。”

 

「はい。今日一日アリス、ちゃんとヒナをリフレッシュさせられるよう頑張りました!」

 

“うんありがとうアリス、流石世界を救う勇者だね。ヒナはどうだった?”

 

「私は……慌ただしかったけど…楽しかったわ。ええ……本当に。」

 

先生の言葉にアリスは胸を張りながら、堂々と嬉しそうにしており、ヒナは先生からの問いに口元を緩ませながらそう答えた。

先生がそんな二人の様子を満足そうに眺めていると、横から少女が先生の裾を引きながら話しかけてきた。

 

「先生、先生。ちょっといいですか。」

 

“少女ちゃん、どうしたの?”

 

先生が少女の方をに視線を向けると少女は先生の裾から手を放し、代わりにホシノ、ヒナ、アリスの体を密着させるようにくっついた。

そして、少女はどこか自慢気な表情を浮かべながら、先生にこう言ってきた。

 

先生。私達の新装備どうですか?

「ふえっちょっと、少女ちゃんいきなりすぎるよ~」

 

突然の行動にホシノは驚いた様な声をあげる一方で、先生は改めて目の前の少女達の格好を観察する。

少女たちは、先程買ったばかりの新しい洋服に身を包んでおり、しかも色は違うが全員が同じシンプルであるが可愛らしいデザインのワンピースを着ていた。

これは、少女が皆でお揃いの格好をしたいと言い出し、それに賛同したアリスに勢いのままヒナとホシノが着せられた物であり、少女は碧色、アリスは青と赤、ヒナは紫、ホシノは桃色がメインの色で装飾されていた。

 

そんな服を身にまとい、先生に見詰められている彼女たちはというと……

 

少女は、言い出しっぺなこともり、自信たっぷりの表情を浮かべ先生の言葉を待ち、

 

アリスは、最初こそ驚いていたが自分が選んだ服に自信があるのか堂々としており、

 

ホシノは、流されるまま特に抵抗なく見つめられているが少し恥ずかしいのか頬を搔き、

 

ヒナは、先生のジッと見詰める視線に恥ずかしそうに頬を染めながら上目遣いで先生の方を見ている

 

と各々違う様子で先生の前に立っている。

 

そんな4人の姿を視界に収めた先生は……

 

“ふっ…………”(ドシー――ン!

 

何故が物凄くいい笑顔をしながら、後方にぶっ倒れた。

 

「ッ!?先生大丈夫!?」

 

いきなり倒れた先生を心配して、ヒナ達がかけようとするが、その前に先生が天高くグットサインを掲げる。

 

“サイコーだよ。皆……”(ガクッ)

 

「「「「せ、せんせーーーーーー!!」」」」

 

それを最後に先生が意識を手放すのと同時に、少女4人の絶叫が響いた……

 

 

 

 

 

…………そんな茶番は置いといて、先生は立ち上がると、少女達に笑顔で応える。

 

“皆とってもよく似合ってるよ!”

 

「本当ですか。」

 

“うん。今の皆はお姫様………いや、天使様みたいで凄く可愛いよ!”

 

「わあぁ✨そんなに褒めてもらえて私、嬉しいです!」

 

少女とアリスは先生の言葉に飛び跳ねるように喜んでおり、ヒナとホシノも恥ずかしがりながら嬉しそうに頬を赤く染めている。

 

夕暮れの夏の空の下、皆が笑顔で過ごしている。

こうして、少女にとってちょっと特別な夏の一日が終わりを告げた。

 

 

 

 

─────────────────────────────

翌日

 

駄菓子屋内…

 

「少女ちゃん?さっきからそんなに笑顔でなに見てるの?」

 

 

ゲーム開発部部室…

「ねえ、アリス?楽しそうにになに見てるの?」

 

 

アビドス対策委員会部室…

「ん、ホシノ先輩…何だか嬉しそう…なに見てるの?」

 

 

ゲヘナ風紀委員会室…

「委員長、先ほどから何をご覧になっているんですか?」

 

 

 

「えヘヘ♪」

 

「えへへ♪」

 

「うへへ♪」

 

「ふふっ♪」

 

 

 

少女たちは、お揃いで買った手帳を大事そうに手元に抱えながら、いたずらっ子の用な笑顔を浮かべてこう言った。

 

「秘密です。(です!)(だよ~)(よ…)」

 

手帳の中には、あの時撮った友人達のとの思い出(プリクラ)が収まっていた。

 

 

 

 

 

 

……その中の少女達が、とても楽しそうな笑顔を浮かべていたことは、

彼女達だけの秘密である。




これにて番外編の少女夏休みは終わりになります。
皆様が楽しんで頂けたのであれば幸いです。


話か変わりますがこの場を借りて少し宣伝をさせて頂きます。
以前投稿した

【番外編】RTA風味 実績『予定外のハッピーエンド』獲得まで

を連載化して投稿を開始しました。
リンクをこの小説の前書きに貼っておりますので、よろしければ其方もご覧下さい。

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