少女がぽけ―っとした表情を浮かべながら、相割らず目的もなく街中を歩き回っていると、騒がしい話し声が少女の耳に飛び込んで来た。
少女が声のする方を向くと道の少し先の方で、二人の女子生徒が道の真ん中で荷車に積まれた大きめの機械を指さしながら、何かを話し合っていた。
少女はコテンっと小首をかしげながら、その二人の女子生徒の方に歩みを進めていった。
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「うーーん。実に困った事になったね~。」
「困った事になったね~…っじゃないですよ!!!どうするですか部長!!これじゃあ動けないじゃなですか!!」
「いやー、まさか借りてきた荷車の車輪がひしゃげてしまうとは、少し乗せる重量を見誤ってしまったらしいな。……まあ!しかし!これもまた一つの失敗であり!!この私の未来の成長の糧になるのだから問題ないな!!あーはっはっはっは!!」
「笑い事じゃないですよ!!未来の自分のことより、今!この瞬間の事を考えてください!!よりにもよってこんな道のど真ん中で動けなくなって、これじゃあ私達通行人のいい迷惑じゃないですか!!それにこの荷車だって弁償しなきゃいけませんし………はぁ…今月もうちの予算ピンチなんですから…………」
「まあまあ、そう悲観的な事ばかり考えるじゃないよ!!明日は明日の風が吹くというじゃないか!!」
「部長……それ何の慰めにもなってないです………」
「おや、そうだったかな?これはしっけい。だがしかし!!予算の心配なら問題ない!!何故ならこの私の発明した!この機械さえ完成すれば、いくらあの冷酷な算術使いの会計だって、予算を増額するしかないだろうからな!!あーはっはっはっは!!さっすが私!!大・天・才!!」
「………今その機械の試運転に向かう途中で、立ち往生してるんですけど。」
「………………。よしっ!今日の事はキッパリと忘れて、ユウカ大天使様に土下座して予算を頼みに行こうか!!」
「おいっ!!さっきまでの威勢はどこに行ったんですか!!あと、そんなすんなりプライドを捨てないでください!!」
「プライドで研究ができるか!!!私は研究のためなら土下座だろうが逆立ちだろうが、何だってするさ!!なんなら犬の様に足の裏を舐めたって構わない!!」
「そこまでですか!ならもう少し予算の使い方を考えて下さい!うちの部活が火の車なの半分以上は部長の無駄遣いのせいなんですから!!」
「無駄遣いとはなんだ!無駄遣いとは!私は一円たりとも無駄な出費をした覚えはないぞ!!」
「じゃあこの前買ったあの馬鹿でかいモニターは何なんですか!!あれ物凄く高いうえにとっても大きいから部室が圧迫されてるんですよ!!」
「あれは新作の映画を大迫力で観賞し、この私の脳に新たな刺激を与えるために必要な品であり、致し方無い出費だ!!何よりあの作品はずっと待ち望んでいたペロゴジラの新作だったんだぞ!!そんなもの大画面で見るしかないだろうが!!」
「結局本音はそっちじゃないですか!!」
「だが、映画鑑賞…楽しかっただろう。」
「それは、そう…ですけど…。」
「うむっ!ならなんの問題もないな!」
「うぅぅ……絶対、違うような気がしますけど………」
「あーはっはっはっは!!細かい事や過ぎてしまった事を何時までも考え込んだってしょうがないさ!!切り替えっ切り替え!……っと、しっかしこれをどうしたもんか。」
「一先ずトラックでも呼んで、ここから運ぶしかないですね。」
「そうするしかないか~。しかしトラックが来るまでこの道をふさいでおくわけにも……(くいっくいっ)ん?なんだね。おや、君は?」
「部長?どうしたんですか?」
「いや、どうやらこの子が私に用があるみたいでね。」
「この子?」
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少女は部長と呼ばれていた人の服の裾を引っ張ると、少女の存在に気付いた女子生徒が少女の方を見ながら話かけてきた。
もう一人の生徒もそのやり取りで少女の存在に気付き声をかけてきた。
少女は、自分が握っている服の人物に向かって視線を合わせながら、一言呟いた。
「おてつだい…クエスト………ですか。」