もう一人の勇者   作:Katarina T

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IF 少女、変な二人。

「お手伝いクエストとは……ふむ、中々ユニークな言葉じゃないか!!確かに今っ私達は困っている!それこそ猫の手も借りたい程にだ!!だがしかーーし!!悲観的になる事は何もない!この私の頭脳が有れば、この程度の逆境っ!直ぐに追い風に変えて、私の糧に変えて見せるさ!!」

 

「………?(コテン)つまり、てだすけはいらない………ということですか。」

 

「手を貸して下さい。お願いします。もう本当っ今まさに人手が欲しくて困ってたところなんですはい。」

 

目の前の女子生徒はそう言いながら、少女に向かってそれはもう綺麗な土下座を披露していた。

 

今だ少女に羽織っていた白衣の裾を握られたままであったため、白衣が捲り上がって頭が隠れてしまっているが、そんなことお構いなしに、女子生徒は額を地面にこすりつける様に頭を下げている。

 

一体どれだけ追い詰められれば、ここまであっさりとプライドを捨てられるのか気になるところであり、普通の人が目にすれば、突然の行動に慌てるか、呆れるかの二択であっただろう。

 

しかし少女は、特に動じた様子も惚けた様子もなく、ただ黙ってその女子生徒を見下ろしていた。

 

めっちゃ真剣に土下座している生徒をただぽけ~っと眺める少女。そんなはっきり言ってカオスな空気を何とかするようにもう一人のポニーテールの女子生徒が二人の間に割って入って来た。

 

「え、ええっと……。取り敢えず部長はさっさと立って下さい。さっきから周りの視線が痛いので、可及的速やかにお願いします。そして………あの、あなたは、私達に手を貸して頂ける、ということでいいんでしょうか?」

 

「………はい。おてつだいクエストでしたら………て、かします。」

 

少女は女子生徒の質問に答えるようにそう言いながら、手を前方に突き出しグー、パー、グー、パーっと手を握ったり開いたりしている。

 

女子生徒は「うぅぅ~ん。」っと若干眉をひそめながら少女を見据える。

少女の見た目と対応にどう反応すればいいの分からず完全に困ってしまっているようだ。

(手伝ってくれるのは、ありがたいですけど………どうしましょうか)

 

そうやって悩んでいると、ここで先程まで土下座をかましていた白衣の女子生徒が、勢い良く立ち上がると腰に手を当てながら話し出した。

 

「そぉおか!手を貸してくれるか!!ありがたい!感謝しようっ!ありがとう!!」

 

「ちょっ!部長勝手に!!失礼ですよ!」

 

「なぁ~に言ってるんだ!相手の方から手を貸してくれるって言って来てるんだぞ!!ここは寧ろ下手に遠慮して断る方が失礼というものだ!!」

 

「そっそれは、そうかもしれませんけど………」

 

「だから私はっ!遠慮なくっ彼女の好意に甘える!!」

 

「少しは申し訳なさそうにしてください!!やっぱり失礼じゃないですか!!」

 

白衣の生徒は、ポニーテールの生徒の言い分を無視して少女に近付くと、少女の肩に左手を置きながら、右手でなにかの機械が積まれた荷車を指さした。

 

「実はだね!私達はこれからこの大・天・才!足る私が開発したあの機械の試運転とデータ収集を兼ねてこの近くの実験場に行く予定だったんだが………見ての通り機械の重量に荷車の車輪が耐え切れなくなってしまったらしくてね。見事にひしゃげてしまったのさ。はぁぁーーこんなことなら初めからトラックを借りてくるんだったよ。」

 

「自分が生み出した機械は、自分の足で運んだ方が愛着が持てるだろうって言ってたのは、どこのどなたでしたっけ?」

 

「………。まあ、細かい事はいいじゃないか!とにかく私達は、一刻も早くこの機械をどかして、通行人の皆様に快適な歩行をしていただかなくてはならないのだよ!!」

 

「まあ、その通りですね。迎えを呼ぶにしても、流石にこのままというわけにもいきませんし。ですけど………これ、三人で何とかなるでしょうか。」

 

ポニーテールの生徒が不安そうに荷車と積まれた機械を見る。

その機械は全長約2、3mあり、図体もかなり大きく、パッと見ただけでもその重量が多いことが伺える。

いくら銃弾を受けても痛いで済むほどの屈強な肉体を持つキヴォトス人である彼女たちとは言え、たった三人でこれを動かすのは流石に無理だろうっとその女子生徒は思っていた。

 

「部長。これやっぱり三人じゃ無理ですよ。もっと人手がいります。」

 

「ふぅ~む。確かに……三人じゃちょぉっと厳しいかな。しかない、やはり部室で待機している子にトラックと応援を頼んで……うん?君どうしたんだい?」

 

二人の生徒がその様に話している間に、少女はいつの間にか荷車の傍まで向かうと、

 

がしっ

「よいしょっ。」

(ヒョイ)

 

荷車の車輪がひしゃげている方を掴み軽々と持ち上げた。

いくらも一方の車輪は地面に着いているにしても、片方だけでゆうに百キロ以上はあるはずなのに少女はそれを一人で、しかも軽々と持ち上げて見せた。

 

「………ぇ。えええええ!!!!!」

 

「おおおおおおおっ!!!!」

 

そんな有り得ない光景を見て、ポニーテールの生徒は目が飛び出る程驚いており、白衣の生徒は驚いてこそいるが、それよりも興奮気味であり、両者違った反応を見せた。

 

「ちょ、ちょっとどうなってるんですかこれ!?ええっと、大丈夫なんですか!!無理しちゃいけませんよ!?」

 

「あーはっはっはっ!!なんともパワフルだね君は!!うんうん、実に素晴らしいよ!!」

 

「言ってる場合ですか部長!あのっホント無理はしなくてもいいんですよ!もう少しでもっと人が来ますから!」

 

「なあなあ!!君はもっと重い物は持てるのかい?それとも今の重量が限界?だったらどの程度の持ち上げておくことが出来るんだい?是非とも教えてほしいのだが!!」

 

「部長は、ちょっと黙っていてください!!」

 

「………これ、どこにはこぶんです?」

 

 

……その後、取り敢えず通行の邪魔にならないように道の端の方に荷車を寄せた少女は、白衣の生徒の質問攻めをポニーテールの生徒がなんとか止めようとしている攻防をじっと眺めていた。

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