「本っ当に、うちの部長がごめんなさいっ!」
「いや~、あまりにもあり得ない光景を前に、ついつい興奮してしまったよ!おかげで歯止めが利かなくなってしまったようだね!!」
「利かなくなってしまったようだね!!って他人事じゃないんですけどっ!?わざわざ手伝ってくれた人にあんなに詰め寄ったりして!……本当にごめんなさい!怖くなかったですか?不快な思いはされませんでしたか?何なら今この場で部長をしばいて貰っても大丈夫ですので!」
「いやっそれは私が大丈夫ではないのだが!!」
「………。」
その様に騒いでる二人の姿を目の前で見せられているはずの少女は、二人のやり取りに対し、特にリアクションをすることなく、何処か他人事のような何の感情の乗っていない瞳で眺め続けている。
自分には関係ない事と思っているのか……どう反応すればいいのか分からないのか…………それとも、話している事の意味が分かっていないのか……それは、少女の表情から読み取ることは出来ない。
もしかしたら、本当に何も感じていないのかもしれない。
しかし、少女は目の前で繰り広げられている、どこか楽しそうな二人の姿から決して目を離すことなく、眺め続けていた。
そんな彼女たちの下に、一台のトラックが大きなエンジン音を鳴らしながら走って来た。
トラックは少女たちの居る通りの真ん中で停車すると、運転席の扉がバンッ!!っと音を立てて開き、一人の女子生徒が降りてきた。
………いや、降りたというよりも飛び出して来たと言った方が、いいのかもしれない。
その女子生徒は、運転席から空高くジャンプしたかと思えば、空中で見事な宙返りを披露し、
(つるっ……。)
「ふぇっ………」
(ズッッテーーーーーン!!!)
滑って着地に失敗し、そのまま地面に頭からズッコケた。
「「「………………。」」」
その様な事がいきなり目の前で起きた為、先ほどまでの騒がしいやり取りをしていた二人も静かになり、少女と同じように目を丸くさせている。
そして、トラックから飛び出して来た女子生徒はというと、
「……………。ぅぅう。いたいよ~………」
何事もなかったかのように、スッ……と立ち上がると、ぶつけた頭を抑えてうずくまってしまった。
女子生徒の声は小さく聞き取り辛いが、涙ぐんでいるように感じる。
「……はっ!?ちょっと大丈夫ですか!?」
そんな様子の生徒を前に、思考停止状態から回復したポニーテールの生徒が、いち早く駆け寄り怪我などしてないか確認を取るために駆けよろうとする。
しかし、その前に今度はうずくまっていた女子生徒の方が、ㇵッ!としたように顔を上げると、そのままいきよい良く立ち上がった。
よく見ると女子生徒の格好は、白や紺色を基調とした普通のミレニアムの制服とは違い、真っ黒に所々赤の模様がデザインされた物に改造され、肩に同じく真っ黒のマントを羽織り、更には右目に黒をベースに赤い逆十字がデザインされた眼帯を装着している。
そんな女子生徒は、バッサーー!と音が聞こえてくるような動作で、マントを翻すと少女たちの方に振り向いた。
「フー―ハッハッハッ!!我、降臨!!!どうやら我が力が必要のようだな!部長っ!いやっ我と契約を結びし者よ!!!」