家は没落しましたが私は元気です   作:カニ漁船

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今回は繋ぎ回。ダービーステークスまでのね。ところでJRAの年度代表馬ガチャをやっているのですが、グリーングラスだけ来ません。テンポイントとトウショウボーイは来たのに。


合流したった

 ダービーステークスが迫るある日のこと。

 

「やぁやぁカッフェさん。久しぶり」

「えぇ。久しぶり、です」

 

 カフェさんが我々と合流しましたとさ。これから凱旋門賞までの間よろしくしようやぁ。相変らずそちらのお友だちさんはお芋さんにビビってるけど。怖くないよ~こっちも良い幽霊だよ~。悪霊じゃないよ善霊だよ~。

 

「久しぶりだね、南雲君」

「は、はい。お久しぶりです先輩」

「2000ギニーおめでとう。それに、期待の新人トレーナーって呼ばれているらしいじゃないか。先輩として、誇らしいよ」

「い、いえいえそんな!俺なんてまだまだで……っ」

 

 南雲も南雲でカフェさんのトレーナーにペコペコしている。どうも先輩らしい。大変だなぁ。

 

 

 そんなわけで、カフェさんと一緒にトレーニング。いえ~い、どんどんパフパフ~。

 

“んじゃ、僕が教えてあげるからトレーニングやるよ”

「っ、ぽ、ポテイトーズさん、が?」

“なに?なんか文句あるの?”

 

 喧嘩腰はよくありませんぜお芋さん。もっとフランクにいきましょうや。そんなに喧嘩腰じゃビビッて話もできやしねぇ。

 そんで、カフェさんとのトレーニングなのだが。私がやっている自主トレをカフェさんもやるってことに決まった。ま~基本的にまんべんなく鍛えるからね。それに効率的にも悪くない。

 

「トレーナーさんが、考えてくれた、メニューと、そこまで変わらないので、よかったです」

 

 というのはカフェさん談。1時間の入念なストレッチの後、我らでトレーニングをしていく。う~ん、シニア級ということからついてきていらっしゃるな。中々やりおる。

 

「あ、あの、ユートピア、さん。1つ、よろしいですか?」

「なんじゃらほい」

「ま、毎日、これだけの、メニュー、を。こなして、いるのですか?」

 

 まぁそうだね。量に関しては上下するから何とも言えないけど、普段からこれである。

 

「これぐらいは割と普通ですよ。もう少しで休憩ですし、頑張りましょうや」

「は、はい……本当に、クラシック級なのでしょうか?彼女は

 

 やだ~、カフェさんから凄い目で見られてる~。そんな目で見ても何もありませんよ?

 

“……(プルプル)”

“おうおう、どうしましたよ?もっと吠えてもいいんですよ?”

“だいじょぶ、だいじょぶ”

 

 こら!威嚇するんじゃありませんお芋さん!お相手の方ビビってるでしょうが!

 

 

 そんで休憩中。話題は私のレースのことに。

 

「ユートピアさんは、どうしてイギリスのクラシック三冠に?どこに、惹かれたのでしょうか?」

「達成者が長らくいないじゃないですか。そこでよそ者の私が取ったら面白そうだな~って」

「は、はぁ……」

 

 困惑しているカフェさん。フッフッフ、あまりの理由に言葉も出ないってわけですね?

 

「そういえばカフェさんは春天を勝ったみたいで。おめでとうございます」

「ありがとう、ございます。これで、G1を、3つ目ですね」

 

 確か、菊花賞・有・春天でしたっけね。

 

“ユーちゃ~ん、春天ってな~に~?”

「天皇賞。日本ではかな~り歴史のあるレースの1つらしいですよ。長距離のG1です」

“ふ~ん。それって4マイルぐらいある?”

「確か3200mですね」

 

 日本の最長距離G1という位置づけの春天。ただ、お芋さんはお気に召さなかったようで。

 

“え~?それって長距離って言えるの?普通4マイルぐらい走らない?”

「いつの時代の話ですかお芋さん」

「今のご時世、障害レースでもなければ、4マイルも走りませんよ……」

“つってもねぇ。僕とユーちゃんの適性距離は4マイル以上な訳だから”

 

 そう。私はお芋さんに指導されてきたのでお芋さんと適性距離がほぼ一緒なのである!まぁ4マイル以上のレースなんてあまり存在しないので意義があるかと言われたらアレだが。ま、他の距離だって走れますし問題はないね。ちな、1マイルが約1600mなので4マイルは約6400mである。

 

「ユートピアさんは、次はダービーステークス、ですね」

「んあ?あ~、そうですね。次はダービーですね私」

「自信の、ほどは?」

 

 ダービーステークスへの意気込みですか。ありますよ、勿論ありますとも。ありすぎてあふれ出るくらいにはある。

 

「2000ギニー勝ったしね~。ここも軽~く勝っちゃいますよ」

「……ですが、ダービーステークスは、勝つのがとても難しいと聞きます。コースに距離、厳しい戦いになるかと」

 

 あら、カフェさん忠告してくれるみたいで。嬉しみですね。私のためを思って……!ユートピア感激!

 

「……いえ、冷静に考えて適性距離4マイルなユートピアさんに、距離は関係ありませんね。しかも、ポテイトーズさんは、こちらで走っていたわけですし」

“そーゆうこと。そ・れ・に~?ダービーステークスでは()()を使うもんね、ユーちゃん!”

 

 あぁ、そうですね。お姉さまアレを使うわ!

 

“えぇ、よくってよ”

「なんの、話しですか?」

 

 おっと、置いてけぼり食らっているカフェさんにちゃんと説明しなくては。

 

「次のダービーステークスでは、領域を使おうかと思ってまして」

「ッ!?り、領域、を?もう使えるんですか?」

「えぇ。使うのは久しぶりですけど、ま~大丈夫ですよ。無問題無問題~」

 

 お芋さん的には領域は結構好きらしい。私としては別に好きでも嫌いでもないかな。使わずに勝てるならま~それでいいや的な。でもたまには使わないと勘が鈍るから使わないとね。

 

「それじゃ、休憩終わりなので頑張りましょうかカフェさん。行くべ行くべ」

「あ、は、はい」

“頑張ってねユーちゃ~ん!”

 

 おうよ、任せてくれたまえよお芋さん。ダービーステークスの目標は──大差勝ちで行きますか

 

 

 

 

 

 

 マンハッタンカフェは戦慄した。こともなげに言い放ったダスクユートピアの言葉に、慄いた。

 領域。半ば都市伝説のように扱われているが、学園のトップ層が使用している極限の集中状態と呼ばれているものだ。マンハッタンカフェ自身も使うことはできる。事実有記念や春の天皇賞は領域を使用した。

 ただ、領域に至るまでの道は生半可なものではなかった。日々のトレーニングで己のことを深く理解し、いざ実践で走って、ライバルとの死闘を経て、最後に勝ちたいという執念が生まれることでようやく至れるようなもの。マンハッタンカフェはそう認識している。

 

(けど、ユートピアさんは)

「あの口ぶりだと、小さい時から使えたかのような」

“こ、こわわ~。おっそろしいね、ポテイトーズ……さん共々”

 

 だが、ダスクユートピアは小さい時から使えた可能性がある。

 

“ユーちゃんはマジの天才だよ。理由は色々とあるけどね”

“ユーちゃんの領域はすっごいよ~?僕に勝るとも劣らない!”

“下手したらみんな喰われちゃうかもね?”

 

 ポテイトーズも絶賛……彼女はダスクユートピアに関してはほぼ絶賛するのであまりあてにはならないが。少なくともダスクユートピアは領域を持っていた、ということになる。

 

「そうなると、2000ギニーは」

()()()使()()()()6バ身差つけたわけだよね?つっよ~……”

 

 あのメンバーでよくそんな芸当ができたものだとマンハッタンカフェは思う。ダスクユートピアの強さを改めて実感した。

 

 

 別の場所で、マンハッタンカフェのトレーナーと南雲が2人を見守る。

 

「凄いね、南雲。まさか自分の後輩がイギリスのクラシックレースを勝つなんて」

「あ、あはは……アリガトウゴザイマス」

「追い詰められないとやる気を出さなかった君が、こっちですぐに結果を出すなんて……やっぱり、君はやる気を出せば凄いトレーナーだよ」

「アハハ」

 

 遠い目をするマンハッタンカフェのトレーナー。後輩の成長を喜んでいるようだった。

 

「俺はなんも変わってませんよ。結果を出せてるのだって、ダスクユートピアが凄いからであって」

「謙遜はいらないよ、南雲。これまでのレースは全て、君達の勝利なんだ。誇ったっていいんだよ?」

「い、いや。俺は本当に何もしてなくて……」

「君は、いつの間にか凄く謙虚になったみたいだね。あまり自分を卑下しても良くないよ。ちゃんと自分を誇らないと」

(違うんです!マジで俺何もしてないんですって!)

 

 あの手この手で自分は何もしてないと主張するが、全て謙遜していると先輩に捉えられてしまう南雲なのであった。




ユーちゃん

適性距離は4マイル以上。なお、それ以下のレースも普通に走れるし強い。

お芋さん

4マイルのレースを増やせ。作れ。

マンハッタンカフェ

小さい頃から領域を使えたユーちゃんに戦慄する。

お友だち

相変わらずお芋さんが怖い模様。

南雲トレーナー

先輩にも信じてもらえん模様。

次回はダービーステークス。
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