家は没落しましたが私は元気です   作:カニ漁船

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レースは続くよどこまでも。


好調に走ったった

 ──特別企画。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス出走者達へのインタビュー。

 

Q.意気込みの程は?

 

「戦争です。これ以上日本のウマ娘にデカい顔はさせませんよ」

 

 そう語るのは英チャンピオンステークスを勝ち、3月にドバイシーマクラシックを制したウマ娘ナサエス。彼女だけではない。

 

「ダービーステークスの大差勝ちは勿論のこと、エクリプスステークスもシニア級相手に勝利を飾った……だが、キングジョージはそうはいかない」

「我々とて、欧州のウマ娘としての誇りがある。これ以上醜態を晒すわけにはいかないんでね」

「ダスクユートピアの快進撃は私が止める」

「……時は来た。それだけです」

 

 かつての2000ギニーの勝ちウマ娘に仏オークスウマ娘、プリンスオブウェールズステークスを制したウマ娘は語る。これ以上日本のウマ娘──ダスクユートピアにデカい顔はさせないと。彼女の快進撃はここで止まると。自信満々に答えていた。

 イギリスの報道各社は震える。

 

「どちらに転んでもいい。今回のキングジョージは──面白くなるぞ!」

 

 日本からの来訪者ダスクユートピア。英クラシックの二冠に加え、エクリプスステークスを3バ身差で勝利したウマ娘VS欧州で名を馳せているシニア級のウマ娘達。世紀の一戦が、まもなく始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 アスコットレース場。バ場の状態は堅良であり、走るには問題ない。ウマ娘達はすでにスウィンリーボトムと呼ばれているアスコットレース場のコーナーを回ってオールドマイルコースを走っていた。

 

《現在先頭はサフェンディ、サフェンディが先頭だ!ナサエスは前から3番手の位置、サフェンディからは4バ身程離れている!最後方は()()()()()()()()!なんとダスクユートピアは後方待機策に出た!ダービーステークスの時よりもさらに後ろにつける!》

《ダービーステークスの時は驚きの走りを見せてくれましたからね。今回はどのような策があるのか?》

《先頭サフェンディからは16バ身以上は離れているぞ!このオールドマイルコースで差を詰めるか?ダスクユートピア!それとも最後の直線まで待つのか!》

 

 ペースとしてはやや平均。前につけているウマ娘の方が有利になるようなペース。

 

「『頑張れよー!今日も凄い脚を見せてくれー!』」

「『このまま無傷で連勝だー!ダスクユートピア!』」

「『応援してるわー!』」

 

 声援が飛び交う中、勝負が動いたのはオールドマイルコースを半分切った頃。最後方に控えるダスクユートピアが、大外からグングンと上がって行く姿が目に入る。

 

《さぁて、ここでダスクユートピアが動いた動いた!大外から猛然と上がって行くぞダスクユートピア!オールドマイルコースも半分を切った、位置を押し上げていくダスクユートピア!》

《他のウマ娘もペースアップしていますね。さぁどう動く!》

《ダスクユートピア上がってくる!ダスクユートピアが上がってくる!またも彼女の劇場が始まるのか?オールドマイルコースをウマ娘達が疾走します!》

 

 レースを見ながら、ダスクユートピアのトレーナーである南雲は嘆息する。

 

(相変わらずえげつねぇわ本当。追い込みでも走れるのかよ)

「ぶっちゃけ、なんも疑っちゃいなかったが……マジもんの天才だな本当」

 

 ウマ娘は性格によって走りやすい位置というものがある。逃げが得意な子がいれば、後方でレースをする子だっている。稀にどの位置でも勝負ができるという万能脚質の子もいるが、ダスクユートピアはそのタイプだ。

 逃げもできれば追い込みもできる。先行でも差しでもどこでも走れる。しかも全てが高水準。逃げで走ればスタミナですりつぶすことができ、追い込みで走れば抜群の切れ味で誰よりも速く駆け抜ける。

 

「とんでもねぇよなぁ……本当」

 

 今日の献立どうしようか?と考えながらレースを観戦する南雲。ほぼダスクユートピアの勝ちを確信していた。

 

 

 最後の直線に入り、ダスクユートピアは──先頭へと追いついていた。

 

《最後の直線へと入ります!先頭はナサエスに変わりました!先頭はナサエス!しかしドーダンも追い込んでくる!そしてそしてぇ!大外からダスクユートピアだ!ダスクユートピアが上がってきた!》

《やはり素晴らしい末脚!後方待機策でも問題ナシ!》

《今回も始まる黄昏劇場!まるでスキップを踏むかのようにアスコットの芝を駆け抜ける!欧州で見せてきた黄昏劇場はアスコットでも開演!ダスクユートピアは止まらなぁぁぁぁい!》

 

 1人、また1人と鮮やかに抜き去っていくダスクユートピア。

 

「『なんでよぉぉぉ!?』」

「『どうなってんの本当に!』」

 

 必死に食らいつこうとするも楽に躱される。ダスクユートピアはバ群の一番外を華麗に疾走。誰にも止めることはできない。

 最終的に。先頭を走るナサエスを残り200m地点で捕らえ。そのまま後続を突き放して3バ身差の優勝を飾った。

 

《ダスクユートピア!ダスクユートピアが勝ちました!このアスコットでも健在の剛脚!キングジョージを制したのはダスクユートピアだぁぁぁぁ!》

《それにしても素晴らしいですね。オールドマイルコースからグングン上がって行って、最終的には3バ身差の快勝劇!これはクラシック三冠は貰ったも同然でしょう!》

《2着はドーダン、3着はナサエス!勝ちタイムもレコードではありませんが素晴らしいタイムでした!ダスクユートピア、彼女の次走が非常に楽しみです!》

 

 勝利したダスクユートピアはというと。Wピースで観客席、というよりはカメラに向かってアピールしていた。

 

「いえーい。日本のみんな見てる~?私は欧州で元気にやってるよ~。とりま次はインターナショナルステークス走るんでよろよろ~」

 

 次の戦いはインターナショナルステークス。

 

 

 

 

 

 

 イェイイェイ。順調に勝ってますぜ私は。まぁ。

 

《やた~。またわたしの勝ち~》

「……ミラ子ちゃん。ワンモア」

 

 さっきからミラ子ちゃんにス〇ブラで負け続けてんだけどな!クソが!もっかいだもっかい!

 

《わたしはいいけど、ユーちゃんは大丈夫?そっちはもう夜でしょ?》

「問題ありませんよ。そのために南雲に夜食作らせたんですから」

 

 ポテチ食べたいと言ったら普通に用意してくれましたからね。フフ、殊勝な心掛けです。……あ!凶斬り食らった!

 

「ぐぬぬぬ~!」

《むはは。レースじゃユーちゃんに勝てないけど、ゲームの腕なら勝てる自信あるもんね~》

 

 お、おのれミラ子ちゃんめ!いいもんいいもん!私だってフルパワーマックスでやれば!

 

「ふっ!ぬっ!こん、の!」

 

 まぁ勝てないんですけどね、初見さん。ちなみにお芋さんは興味深そうに見てる。ま~お芋さんの時代だとこのゲーム機だけでもとんでもない代物ですからね。

 

“こんなちっこいもので、色々とできるもんだね~。てか、日本の子とお話しできるってだけでも凄いもんだ。技術の進歩様様だね”

 

 全くだぜお芋さん……ところで現在進行形で10連敗を喫してんですけど、どうしたらいいですかね?

 

“え?無理。僕そんな箱のことなんてよく分からないもの”

 

 デスヨネー。

 

“でも頑張ってユーちゃん!ユーちゃんはできる子、やれる子だよ!フレー!フレー!ユーちゃーん!”

 

 お、お芋さん……!

 

(お芋さんの応援で、元気百倍!)

「次こそは勝ってやりますよミラ子ちゃん!」

《むはは、受けて立つぞよ~》

 

 この後なんとか1勝をもぎ取った。ミラ子ちゃんと楽しくゲームをやれたぜブイブイ。

 

「負けてもなんだかんだ楽しいからいいよね、ゲーム」

“らしいね~。僕にはよく分からない感覚だけど”

「……それはそれとしてコソ練しましょうコソ練。次やる時は勝率を五分ぐらいにしておかないと」

“いいよユーちゃん!向上心の塊!その調子で頑張って!”

 

 任せてくれたまえよお芋さん!




ユーちゃん

サラッとエクリプスステークスとキングジョージに勝った。なおゲームの腕前は並寄りの下手。

お芋さん

ユーちゃんが楽しそうならゲームもやぶさかではない。

南雲トレーナー

今回は胃痛はそこまででもなかった。

ミラ子

ゲームの腕はユーちゃんより上。
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