家は没落しましたが私は元気です   作:カニ漁船

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入学するまでをさらりと。


幽霊と出会ったった

 話をしよう。あれは今から1万と2000年……さすがに産まれてねぇな。まぁ物心がついてすぐの頃。気づいたらふわふわと宙に浮いているウマ娘がいた。

 

“君、僕の姿見えちゃってる感じかい?あの世の住人が見えてる系ウマ娘かい!?”

 

 何言ってんだコイツと思いながらも見えているのでこくこく頷いた。

 

“嬉しいな~!僕が見えてるってことは、君才能あるよ!”

 

 出会った時からテンション高かった。ガンガン距離詰めてくるし。

 

“よしよし、このポテイトーズさんが君を鍛えてあげようじゃないか!”

「……おいもさんで」

“お芋さん!?なんて素敵なネーミング……!才能あるよ君!”

 

 へへ、照れるぜ。とまぁ、これが私とお芋さんの出会いである。ちな、なんで私にだけ見えてるの?とか私にだけ距離近いし他は塩対応だね、と聞いたらそれはもう素敵な笑顔で答えてくれた。

 

“君の才能が飛び抜けているからだね!後はそうだね~、君には幽霊が見える素質もあるんだと思うよ!”

“君のことが気に入った!ぶっちゃけ一目惚れ!好き!他?どうでもいいかな”

 

 私以外をバッサリ切り捨てるお芋さんなのであった。好きと言われて悪い気はしないぜへへへ。てか幽霊が見える素質か。将来はゴーストバス〇ーズにでもなるか。

 

 

 ついでに前回のあらすじ。両親が捕まってお家ないなったけどトレセン学園の理事長に保護されて、彼女の下で生活することになりました。いずれはトレセン学園に通うことになるらしい。

 しかし両親捕まったか~……うん。

 

「ぶっちゃけ残当だよね」

“ま~ですよねって感じ。君達生きてる時代が違い過ぎない?ってレベルのスパルタトレーニングだったし”

「他の子達泣きながらトレーニングしてたし、捕まるのも当然」

“僕の時代はあれぐらい普通だったけどね~。ま、今の時代あんなトレーニングじゃ無駄でしょ”

 

 お芋さんが生きてた時代は昔過ぎてね。参考にならねぇんだわ。てかなんで私の家にいたのやら。は!ま、まさか……!

 

“フッ、気づいちゃったみたいだねユーちゃん……そう!”

 

 私達が出会ったのは!

 

“「運命ってヤツだね!」”

 

 ……イエ~イ!お芋さん分かってるぅ!実際は分からないところさんだけど、きっと運命的なサムシングだろうね。お芋さんにはシンパシー感じるし、お芋さんも私に運命を感じている。これがWin-Winってヤツですか。

 

“多分違うと思うよユーちゃん”

 

 そうですかね?ま~違うと思うわ私も。

 ちなみに私の才能はそれはもうすんごいらしい。地元じゃ負け知らずってヤツだったからね。同年代どころかお家のウマ娘には一度たりとも負けたことはない。

 

“ま、ユーちゃんの敵じゃなかったね。しかも僕の教えもあるから力は万倍!”

「お芋さん助かる~。ぶっちゃけ自主トレとかほぼお芋さんが教えてくれてたしね」

“フフン、任せちゃってくれたまえよ!”

 

 いつも頼りにしてますぜお芋さん。

 さて、現在何をしておりますかというと、アニメの一気見をしております。初めて観るけど、良いねコレ。

 

「あ~自主トレ終わりのアニメが効くんじゃ~」

“ユーちゃんユーちゃん!これ観終わったらガ〇ダム観ましょう!たくさんありますよ!”

 

 慌てるでねぇやお芋さん。時間はたっぷりとあるからな。少なくとも自主トレの時間がまたやってくるまでは自由だ。アニメを消化するぜ!

 

「ぽよ~」

“ぽよ~”

 

 怠惰な時間がたまらねぇぜ!

 

 

 

 

 

 

 緊張が走る理事長室。中にいるのは秋川やよいと駿川たづな、そして学園のウマ娘数人である。

 俯きがちな生徒達に対し、やよいは朗らかな声で緊張を和らげようとする。

 

「安心ッ!そう強張らなくても大丈夫だぞ!君達を詰問するつもりはないッ!」

「今回あなた方を呼んだのは、1つ報告をしたかったからです。みなさんが心配していたダスクユートピアさんのことですが」

「保護ッ!彼女は現在我が家にて生活している!君達もどうか安心して欲しいッ!」

「ッ!ゆ、ユートピアちゃんが?」

「本当ですか!?」

 

 生徒の言葉に深く頷くやよい。嘘でないことを悟った生徒達は、口々に安堵の声を漏らした。

 

「良かった……!ユートピアちゃん無事だったんだ!」

「あのお家から逃げられたんだね!」

「理事長が保護してるなら安心かも……」

「彼女は近いうちに学園に通うことになる!その時に元気な姿をっ?」

 

 やよいは生徒達の様子がおかしいことに気づく。再会できるとなったらきっと喜ぶだろうと思っていたが、少し不安を抱いているような表情だった。

 

「……たづな」

「はい。みなさんにお聞きしたいことがあります……よろしいでしょうか?」

 

 たづなの言葉に迷ったのち、頷く生徒達。聞きたかったのは、ダスクユートピアのことだ。

 

「ダスクユートピア。彼女は、当主曰く全ての頂点に立つウマ娘と言っていた。そのことに心当たりは?」

 

 いきなり核心に迫ろうとするやよい。たづなは諫めようとするが、生徒達は構わないとばかりに答える。

 

「ユートピアちゃんは、一族の中でも突出した才能の持ち主なんです」

「当主様の親族は元々非凡な才能を持つ子がそこそこいたんだけど……ユートピアだけは飛び抜けてたっていうか」

「ダスクユートピアの才能は、()()()()()()なんです」

「……具体的には?」

 

 彼女達が口を揃えるほどの才能。どれほどのものなのか好奇心が湧くやよい。彼女達の口から出てきた情報は、驚くべきものだった。

 

「中央の卒業生に勝てるぐらい、です。しかも、まだまだ成長途中なのに」

「はっ?」

「小さい頃から飛び抜けた才能で、同年代の子達は負けっぱなしでした」

「かく言う私達も勝ったことはないです……」

 

 口を開けて固まるやよい。現時点で学園の卒業生に勝てるほどの実力者と言われたら固まるだろう。しかも、日本でもトップレベルの中央の、だ。

 

「多分、当主様から英才教育を受けてきたんです。あの子が他の子といるの見たことないから」

「……ということは、つまり」

「はい。()()()()()厳しいトレーニングを重ねてきた……そうに違いないです」

 

 ダスクユートピアが一体どのようなトレーニングをしてきたのか……彼女の強さを知っている生徒達は容易に想像することができた。

 

「血反吐を吐くようなトレーニング……全てはお家のためにと、あの子はずっと頑張ってきました……っ!」

「感情もいらない、ただ海外のレースを勝つための道具として育てられてきたんです!だから私達、凄く心配で……!」

「無事で本当に良かった……!」

 

 涙を流す彼女達。ダスクユートピアのことを心から心配していたのが分かる。ただ、そんな彼女達には引っかかることがあった。果たしてダスクユートピアは、走るのが好きなのか?ということである。

 

「当主様からずっと強制されて、他の生き方を知らないと思うんです。だからあの子、走るのそんなに好きじゃないのかなって」

「楽しそうに走ってるとこ見たことないし、お家のためにってずっと走らされてきたからどうなんだろうって」

「そこがちょっと、引っかかって……」

 

 顔を見合わせる生徒達。そんな生徒達を安心させるように、やよいとたづなは微笑む。

 

「問題なしッ!諸君らの心配はいらないぞ!」

「学園入学に関しては、ダスクユートピアさんの意思です。自分から進んで学園に入りたいと仰っていました」

「それに、彼女は走るのが好きらしいぞ!だから大丈夫だ!」

「「「ッ!」」」

 

 学園長からの言葉を聞いて、再度涙を流す生徒達。良かったと、会うのが楽しみだと口を揃える。

 

(ダスクユートピアは、みんなに好かれているようだな)

(これなら、心配はいりませんね)

 

 落ち着いた後生徒達は退出する。やよい達は笑顔で見送った。

 

 

 やよいとたづな。2人だけになる理事長室。2人の考えは一致していた。

 

「一・安・心ッ!だな!」

「そうですね。周りの方との交流は悪くなかったみたいです」

 

 学園に入学する時の不安要素だったダスクユートピアの友人関係。家が家だけにどうなることかと心配していたが、これなら大丈夫そうだと2人は安堵する。

 

「ただ、彼女が()()家にいた頃のルーティンは早々変えられないだろう」

「はい……今頃、なにをしているのでしょうか?」

「リラックスできていると良いのだが……」

 

 不安が1つ無くなれば、新たな不安が出てくる。今秋川家にいるであろうダスクユートピアはなにをしているのだろうか?やよい達の仕事に少しばかり支障が出た。

 

 

 

 

 

 

 いや~、名作ですわ!アニメ最高じゃね?超面白いんだけど。

 

「ところでお芋さん。このポテトチップスとやら最高じゃないですかね?超絶美味いんですけど」

“本当ですよ!後世ではこのようなポテトが生まれているなんて……!最高!グッド!”

 

 実家じゃ食べれなかったからな~。ポテチさいこ~!でもカロリー凄いからトレーニングちゃんとしないとね。お芋さんは私と味覚共有して味わっている。便利だね。

 

「そういやそろそろ入学ね我ら」

“そうですねぇ。とりあえず頂点(テッペン)取りますか”

「ま~とりあえずね」

 

 学園入学に関してはやよいさんやたづなさんから確認された。本当に入学するのか?と。ま~困ることもないし、走るの嫌いじゃないし即OK。嬉しそうにしてたな。てかポテチ食べながらアニメ観るのって罪だわ。今までこれ出来なかったってマジ?我が家クソすぎんだろ。ま、もう解放されたからどうでもいいか!

 

「てか両親が用意した家庭教師兼教官もま~アレだったね」

“あぁ!もれなく全員ゴミでしたね!僕が教えた方が有意義ってもんですよ!”

「身も蓋もねぇぜお芋さん。事実だけど」

 

 むしろお芋さんが凄すぎるんだけどね。お芋さんの教えisパーフェクト。なのでお家のトレーニング方法など実践したことがない。結果にも出てるから向こうも強く出れない。むしろ私の自主トレを推進してたからね最後には。ワロス。

 にしても学園ねぇ。

 

「親戚の子達元気にしてるのかね?」

“あ~……そういえばいましたね。あんま覚えてないけど”

「ちょいちょ~い。仮にも僕の親戚の子ぞ?」

“いや、別に。ユーちゃん以外はそんなに。しかも僕が見えてないってことは才能がアレってことだし”

 

 言うんじゃないよ。てか幽霊が見える素質も必要でしょうが。それはともかく元気にしてるんですかねぇ。ま、きっと元気にしてるでしょ。

 こんな生活を続けることしばらく──私とお芋さんは学園に入学しましたとさ。ま、お芋さんは幽霊なので入学してるの私だけですがね。




ユーちゃん

親戚の子達の才能がアレなことを否定しないあたり割とドライ。アニメ沼に嵌った。

お芋さん

教えは最高クラス。なお愛しのユーちゃん以外には塩対応だし家が用意した教官たちをゴミ扱いである。アニメ沼に嵌った。

親戚のウマ娘達

ユートピアとの仲は割と良好。

理事長と秘書

ユートピアがお家に縛られてないか心配しているが当の本人はすでにどうでもいいと思っている模様。

次回はトレーナー(犠牲者)の登場。
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