目を覚ますとそこは一面白の謎の空間だった
…いや、どういうこと?
――いまいち現状が飲み込めない。俺の名前は月雅奏、いたって普通の高校生…こうやって自分の名前とかが分かるってことは記憶喪失になったってわけじゃなさそうだな。
となるとますますなぜ下校途中だったはずの俺がこんなわけのわからない空間にいるのか分からなくなってきた、誰でもいいからこの現状を説明してくれ…
「おお、やっと起きよったか」
「!?」
急に声をかけられ驚きながら後ろを見るとそこにはいかにも仙人ですといった風貌の老人が立っていた。
さっきまで俺以外だれもいなかったはずなのになんでいきなり後ろに人が現れるんだ!?もしかしてこれは夢…?
「残念ながら現実じゃよ」
「え?」
あれ?俺今喋ったっけ?
「いきなりのことで困惑しているじゃろうが結論から言うと君は死んだ」
何言ってんだこいつ、いきなり現れて君は死んだとか言われて信じるやついないだろ。新手の詐欺か?
「誰が詐欺師じゃ!初対面の相手を詐欺師呼ばわりするとは失礼にも程があろう!」
「いやいやいきなり死んだとか言われても意味が分からないって!…ってなんで喋ってないのに会話できてるんだよ!?」
「なんじゃそんなことか。簡単なことじゃよ、わしが君の心を読んで会話しておっただけじゃ」
改めて言おう、何言ってんだこいつ。
「その顔は信じておらんな…まあいい、信じようが信じまいが君が死んでしまったというのは事実じゃ。そのことについては受け入れてもらうしかないの」
「だからいきなり死んだとか言われても意味わからないんだって!ちゃんと説明してくれよ!」
「ではきくが君はここで目覚める前に自分が何をしているか覚えておるかの?」
「それぐらい覚えてるさ。学校が終わってそのまま家に帰って…あれ?」
家に帰るまでの記憶がない…?
「やはり覚えておらんようじゃの。実は君は家に帰る途中通り魔に襲われ死んでしまったんじゃ」
通り魔に襲われて…?
「正確に言うと襲われそうだった同級生を庇って死んだんじゃ。あれを見た時は中々勇気のある人間じゃと思ったわい」
「まるで実際に見てたみたいな言い方だな」
「そりゃそうじゃ、実際に見ておったからの」
本当に見てたなら助けてくれたってよかったのに…
「残念ながらそれはできんかった、わしは現世には干渉できん決まりじゃからな」
「なんだそれ、まるで神様みたいな言い方だな」
「ほう、勘がいいの。そのとおり、わしは神様なのじゃよ」
…はあ!?
――神様説明中――
「要するに…あんたは地球を見守る神様で、たまたまあんたが見てる場所で俺がクラスメイトを庇って死んでたから興味を持って俺の魂をここまで連れて来たと?」
「その通り、要約ありがとう」
「いや滅茶苦茶干渉してるじゃん!俺の魂持って帰ってるじゃん!」
なにが現世に干渉できないだよ!?人の魂勝手に持ち去ってるじゃねえか!やってることが窃盗と一緒だよこの爺さん!
「何を言っとる、現世には干渉しとらんぞ」
「いやだから俺のたましi「話は最後まで聞かんか!」…はい」
「何もわしは面白半分で君をここまで連れて来たわけではない。ちゃんとした理由があるんじゃよ」
理由?今の話のどこにそんなのが…
「というのも君が庇ったクラスメイトじゃがな、本来ならあの時死ぬはずじゃったんじゃよ。そこを君が庇ったものだから運命が変わってしまっての、君がこの先生きるはずじゃった分の寿命がそのクラスメイトに移ってしまったんじゃ」
「寿命が移る?そんなことあり得るのか?」
「いや、こんなことは今までなかった。まあ今まで起こらなかっただけで今後も同じようなことが起こるかもしれんがな。とにかく、君は自分の寿命を他者に譲ったことで死んでしまった、というわけじゃ。」
「そうか…でもそれであの子が助かったのならよかっt「しかぁし!」聞けよ!」
「それでは君が可哀想じゃと思ったのでな、自らの命を捧げてまで他者を助けようとした君の優しさに対して報酬を与えようと思う!」
「…報酬?」
「そう!そしてその報酬とは!君を生き返らせるというものじゃ!」
…駄目だ訳が分からん。まあ目が覚めてからずっと意味わかんないことばっかりだったけども。
「まてまてまて!そもそも生き返ったとしていろいろ面倒なことになりそうだろ!死んだはずの奴が次の日に普通に学校きたら大騒ぎになりそうだし…!」
「ああ、その点は大丈夫じゃ。生き返るとは言っても元の世界ではないからの」
「元の世界じゃない?どういうことだ?」
「というのものう、いくらわしが神といってもさすがに一度死んだ者をそのまま元の世界に生き返らせるということはできんのじゃ。そこで君には元居た世界とは別の世界、いわゆる平行世界に転生してもらおうと思う」
「…」(絶句)
いやいやいや、平行世界?転生?だめだ、脳の処理が追いつかない…
「まあ転生とは言っても赤ん坊からやり直すわけではなく姿かたちなどはそのまま…ん?どうした?聞いておるのか?」
はっ!しまった、あまりに話が壮大すぎて考えるのを止めるところだった。まあ平行世界とか言っても今まで通りに生活していれば特に問題もないだろうしな、うん。大丈夫大丈夫。
「あ、ああ。ちゃんと聞いてるよ。」
「では早速じゃが君を転生させようと思う。あ、ちなみに君が転生する時代とかは完全ランダムじゃからな。そこはどうしようもない」
「はあ!?ランダムって人がいない時代にとばされるかもしれないってことかよ!?」
冗談じゃない!こちとら極々普通の生活を過ごしてきた一般学生だぞ!?見知らぬ土地にとばされて一人孤独にサバイバルなんてことになったらどうするんだよ!転生一日目に死んじまうよ!
「大丈夫じゃ、そういった場合のために君に能力を与えよう」
「能力?」
「そう、君が転生する世界は元居た世界とは違い妖怪がいる世界じゃ。ただの人間など一瞬で殺されてしまう。せっかく転生したのにすぐ殺されては意味がないじゃろう?」
「よ、妖怪?獣とかじゃなくて?というか能力っていってもどんな能力を…「ではそろそろ転生させるぞい!」だから聞けよ!」
「ではさらばじゃ月雅奏!第二の人生、心ゆくまで楽しむんじゃぞ!!」
「だから説明しろおおぉぉぉ…」
そして俺の意識は遠のいていくのだった…