東方巡遊録   作:九櫻

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第二章 諏訪の国
第十二話 一億年後の目覚め


 

―とある国、とある神社にて―

 

「うーあー、ひーまーだー」

 

この国を治める祟り神である私、洩矢諏訪子は重大な危機に直面していた。それは暇である。国を治める立場なんだから色々とやることがあるだろうって?思ってるよりもないんだなーこれが。政治的な仕事は主に従者たちがやってくれてるし私がすることと言えば国を治める神として君臨することで民たちから信仰をもらうぐらいだ。もちろん国をあげてのお祭りとかなら色々とすることもある。しかし今はお祭りの時期でもないし国は平和そのものなので神としてなにかするべきこともない。退屈は人を殺すというがまさか神すらも殺そうとするとは…。

 

「暇だなー、なんか面白いこと起きないかなー」

 

などと言いながら部屋で寝転がっていると突然見回りの兵士が飛び込んできた。

 

「す、諏訪子様!至急報告したいことが!」

 

「そんなに慌ててどうしたのさ。言ってごらんよ」

 

「れ、例の洞窟で観測された神力が突然膨張し始めました!おそらく洞窟に潜むなにかが目覚めたのかと…」

 

その報告を聞いたとたんにずっと感じていた退屈が吹き飛んだ気がした。おそらく今の私は笑っているのだろう。なんでも言ってみるものだ、まさかほんとうに面白そうなことが起きるとは。

 

「よし!なら早速確かめに行こうじゃないか!すぐに兵を準備しな!」

 

「は、はい!」

 

すぐに何人かの兵で隊を組み洞窟へ向かうように指示する。これはあくまで国を守るためだ。もし洞窟にいるのがこの国に対して何らかの悪巧みをしてるやつだったら大変だから確かめに行くのだ。決して面白そうだからという理由ではない。

 

などと自分に言い訳をしながら兵を率いて私は洞窟へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

―洞窟最奥にて―

 

 

目が覚めるとそこは屋内だった。

いやわけわからんのだが。なんで俺は気を失うたびに見知らぬ場所で目覚めるのだろうか。というかほんとにここどこだ?

 

たしか俺は蓮華との戦いを終えて都に戻ろうとしたはず…、そうだ思い出した!都に戻ろうとしたときに爆発に巻き込まれたんだった。たしか月に移住したあとは都の技術を悪用されないように跡形もなく吹き飛ばすとか言ってた気がする。その爆発のせいでここまで吹き飛ばされたんだろう。というかあんな爆発に巻き込まれてよく生きてたな俺。ところでどれくらい気を失ってたんだろうか。

 

ふとあたりを見渡すとどうやら俺がいるのは洞窟のようだった。いくら吹き飛ばされたからってそんな都合よく洞窟に入り込むものか?もしかしたら俺が吹き飛ばされたところにあとから洞窟ができたんじゃ…、そうすると何百年も眠ってたことになるけど。

 

そんなことを考えながら俺は起き上がり自分の姿を確認する。布津御魂剣は傷どころか錆ひとつなかったがそれより問題は俺の服だった。

もともと蓮華との戦いでかなりボロボロだったのが爆発のせいでもっとひどくなっていた。ほとんど破けており辛うじて服の形が分かる程度だった。

 

今の俺はこれしか服ないんだけどな…、そう考えながら洞窟を歩くと光が見えてきた。おそらく出口だろう、とりあえずどこか人のいそうなところを探そう。

 

そうして洞窟をでた瞬間、あっさり人に出会えた。ただし武器をこちらに構え明らかに敵対した状態でだ。

 

「この洞窟にあった神力の正体はお前だな!何のつもりで私の国に近づいたのか教えてもらおうか」

 

自分のおかれた状況に困惑していると兵士らしき人達をかき分け一人の幼女がでてきた。

 

「私の国に入り込んでここまで大きな神力を垂れ流してるんだ、よっぽどの理由なんだろうね」

 

「私の国って言われても…、そもそもここがどこかも知らないんだけど」

 

というか神力? そう言われて自分の神力を確認してみると蓮華と戦った時よりも神力が増えているのが分かった。俺が気を失っている間ずっとこれが漏れ出ていたのか。

 

俺はすぐに神力を引っ込める。

 

「!? 神力が消えた…?というかなんであんた神なのに霊力があるのさ!」

 

「あー、俺純粋な神様ってわけじゃないんだ。半分神様で半分人間、現人神ってやつだ」

 

「現人神? ということはあんたが月夜見様の言ってた…」

 

「今月夜見さんのこと言ったのか!? 今は月にいるはずなのになんで知ってるんだ?」

 

「たしかに月夜見様は今は月にいるよ。月に行ったあと他の神たちに式を飛ばして頼んできたんだ。地上で月雅奏っていう現人神に出会ったら色々と助けてやってほしいって」

 

そうだったのか。俺が地上に残ることになったことを気にかけてくれたのか、俺が現人神だって知っているのは月夜見さんだけだったから向こうだと俺は死んだことになってるだろう。生きている保証もなかったのにわざわざ他の神様に頼んでくれていたなんて…

 

「それで、話の流れ的にあんたが月雅奏ってことでいいんだよね?」

 

「ああそうだ。ところで君は?さっきここが自分の国って言ってたけど」

 

「そうだよ。ここは私が治める国、諏訪の国さ。そして私はこの国を治める祟り神 洩矢諏訪子だよ。とりあえずここじゃなんだし、私の神社に案内するよ。詳しい話はそこで聞くよ」

 

そうして俺は諏訪の国に迎え入れられた。

 

 

 

「あ、ところで月夜見さんが月に行ってから今ってどれくらい経ってるんだ?」

 

「さあ?気にしたことないしそもそも知らないよ。昔人間と妖怪の大きな戦いがあったていうけどそれが一億年前の話だったかなあ」

 

俺一億年も寝てたの!?

 

 

 

 

 

 

 

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