八意さんに連れられて俺は都を案内されていた。都に入る途中門番らしき人に止められたが八意さんがさっきの出来事を説明してくれたおかげで特に問題なく入ることができた。ところで都まで案内してもらったのだが今はどこに向かっているのだろうか。
「なあ八意さん。都に入ってからずっと歩いてるけど今はどこに向かってるんだ?」
「言ったでしょ?都に住めるように頼むって。今からこの都を管理しているお方にあなたのことを説明しに行くのよ。それと呼び方だけど永琳でいいわ。これから同じ場所で暮らすことになるのだし、いつまでも他人行儀でいるわけにもいかないじゃない」
「そ、そうか。じゃあ改めてよろしく、永琳」
「ええ、こちらこそ。…着いたわよ。ここがこの都を管理している神、月夜見様の屋敷よ」
…ん?今何と言ったのだろうか。神?神が人間の住む都の管理者だと!?
「やあ、君が月雅奏くんだね?もうすでに聞いているかもしれないが自己紹介させてもらうよ。私はこの都の管理を務めている月夜見だ。なんでも永琳の命を救ってくれたそうじゃないか。この都を任されているものとして礼をいうよ」
そう言って月夜見さんは俺に頭を下げた。いやいやいや!神様がそんな簡単に頭下げていいのか!?
「いやいやいや、頭上げてくださいよ!俺はたまたま悲鳴が聞こえたから駆けつけただけでそんな神様が頭を下げるようなことしてないですって!」
「そういうわけにもいかない。本来であれば私が守るべきはずの民を君は自らの命を顧みず妖怪に立ち向かい救ってくれた。そのような相手にはしっかりと礼儀を尽くすべきだ。そこには人も神もないんだよ」
なんというかすごく礼儀正しい神様だった。よそ者であるはずの俺に対しても真摯に向き合ってくれる、こんな人(神)が統治しているならそりゃ妖怪がうろつくような世界でも平和な町を築けるよなあ。
「さて、永琳の話では君は行く当てがないんだったね?」
「はい。ですので月夜見様、可能であれば彼をこの都で住まわせてやりたいのですが…」
「もちろん構わないとも。むしろ私からお願いしたいぐらいだ」
そんな感じで俺の都居住の件はサクッと解決した。
「ところで永琳、少し席を外してもらえるかな。彼と二人きりで話したいことがあるんだ」
「分かりました。では失礼します」
そういって永琳は部屋から出ていった。俺と話したいこととはなんだろうか。わざわざ永琳を部屋から出したということはよっぽど聞かれたくないことなのだろう。
「さて、奏くん。君と話したいことというのはだね、君が纏う神力についてなんだ。君が纏う神力を私は知らない。いったい君は何者なんだ?」
神力?なんだそれ、そんなもの俺は知らないんだが…。
「神力?なんですかそれ?」
「それほどの神力を纏いながら知らない…?噓は言ってないようだが…いやしかしこの気配は間違いなく…」
俺が神力とやらについて尋ねると月夜見さんはなにやらブツブツとつぶやきながら考え事を始めてしまった。なにかまずいことでも聞いてしまったのだろうか…?
「ふむ、どうやら本当に知らないようだね。すまなかった、突然変なことを聞いてしまって。神力というのはその名の通り神が持つ力のことだ。人間なら霊力、妖怪なら妖力を持つように神には神力が宿っている。そして不思議なことに人間であるはずの君が神力を纏っているんだ。何か心当たりはないかな?例えば神から何かをもらったとか…」
神からもらった…?もしかしてこの服と刀のことか!?
「神からもらったものといったら…今俺が着ている服とこの刀がそうです」
そう言って俺は能力で貰い物の刀を取り出し月夜見さんに渡した。
「!!これは…、いやしかし誰がこんなものを…?」
刀を渡したとたんまた月夜見さんがなにかをつぶやき始めた。あの刀そんなにヤバいものだったのか…?
「奏くん、君はいったいこれを誰に渡されたんだい?」
「じ、実は…」
――少年説明中――
「なるほど…君は一度死んだがその神を名乗る老人によってこちらの世界に転生してきたというわけか」
「はい、信じてもらえないかもしれませんが…」
「いや、これで納得がいった。まさか別の世界の神からの贈り物だとは…道理で私の知らない神力を纏っているわけだ。そしてこの刀も、魂を別の世界に送ることができるほどの力を持つ神ならこれを持っていてもおかしくはない」
そういうと月夜見さんは俺に刀を返してくれた。
「奏くん、君はその刀について知っているかい?」
俺は首を横に振る。
「そうか、なら教えてあげよう。その刀はただの刀ではない。とある神が使ったとされ、またその神の化身ともいわれる神器…その名も、布津御魂剣」
…はあ!?