東方巡遊録   作:九櫻

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第四話 特訓開始

永琳の家に住むことになってから一週間が過ぎた。最初は色々と慣れないこともあったが一週間も経てば都での暮らしもそれなりに馴染んできた。そんなある日、俺は永琳に話すことがあるからと呼び出された。

 

「で、話って?」

 

「警備隊の入隊試験のことよ。月夜見様の計らいで試験は受けられるけど入隊するには実力がなければ難しいわ。そこであなたには修行をしてもらおうと思うの」

 

なるほど、言われてみればその通りだ。警備隊というからにはある程度の実力がなければ話にならない。試験自体は受けられるといってもそこから先は俺の努力次第なのだ。

しかし修行といっても具体的になにをすればいいんだろう?

 

「修行内容についてはもうすでにある程度こっちで考えてあるわ。はいこれ、ちゃんと頭に入れておいてね」

 

そう言って永琳が渡してきたのは修行内容が書かれた紙だった。霊力操作の訓練から剣術、組み手や能力の訓練などといったことが書かれている。

 

「修行するってのは分かったけど組み手とかは誰とやるんだ?まさか永琳とやるわけじゃないだろ?」

 

「そのあたりも心配ないわ。ちょうどあなたと同じ時期に入隊試験を受ける知り合いがいるから剣術や組み手はその人に頼んであるから。私は主に霊力操作と能力に関して教えてあげる」

 

「そうか、じゃあよろしく頼むよ。ところで入隊試験っていつ?」

 

「1か月後よ。それまで明日から毎日修行だから覚悟しておいてね」

 

そんなわけで入隊試験にむけての修行が始まったのだった。

 

 

 

 

次の日俺は早朝から永琳にたたき起こされた。訓練場で永琳の知り合いと修行してこいとのことだ。いくらなんでも早すぎるだろ…。

 

眠気に抗いながら都にある訓練場に行くと既に誰かがいるようだった。あの人が永琳の言っていた修行相手だろうか。

 

「あの、もしかして永琳の知り合いの方ですか?」

 

「ええ、そうですが…ということはあなたが永琳さんの言っていた方ですね。初めまして、私は綿月依姫といいます」

 

「はじめまして、俺は月雅奏です。綿月さんも入隊試験を受けるんですよね?それなのにわざわざ俺の修行につき合わせちゃってすみません」

 

「いえ、お気になさらず。私も修行の相手がいなくて困っていたところなので。それと気軽に依姫、と呼んでくれて構いませんよ。綿月だと姉とどっちか分からなくなるので…。それに敬語も必要ありません。これからは共に切磋琢磨しあうのですし」

 

「そうか?じゃあそうさせてもらうよ。改めてよろしく、依姫」

 

そうして依姫と軽く挨拶してから修行を始めることになった。まずは現時点で俺がどこまで戦えるのかをみるために一度模擬戦をするようだ。依姫から渡された木刀を構えながらどう攻めるか考えてみるが素人から見ても隙が一切なかった。

 

このまま何もしなかったら修行にならないし、かと言って無策で突っ込んでも返り討ちにあうのは目に見えてる。となると…

 

 

――依姫side――

 

 

永琳さんの頼みで目の前の男…奏さんに修行をつけることになった。正直私も修行相手を探していたところだったのでもちろん引き受けた。手始めに奏さんがどれほどの腕前なのか確かめるため模擬戦をすることにした。

 

はじめのうちは互いに出方をうかがっていたが奏さんのほうから突っ込んできた。

奏さんは躊躇せずに私に木刀を打ち込んできた。剣術は素人とのことだったがその割には中々筋がよかったし何より真剣に私と修行してくれたのが嬉しかった。今まで模擬戦をしてきた相手は皆私が女だというだけで手加減をしたりそもそも真面目に相手しなかったりというような者ばかりだった。もちろんそんな相手は実力でねじ伏せたが…。仮にも都の警備隊という重要な役割を目指す者が相手を性別だけで侮るというのはどうかと思う。妖怪の中には見た目で油断を誘い襲ってくるようなものもいるというのに。だが今目の前で立ち合いをしている彼は今まで戦ってきたどんな相手とも違った。私を女だからと侮らず、自らの全力をもって私に挑んでくれている。その事実が私のやる気をより沸き立たせる。ならばこちらも全力で迎え撃とう!

 

 

そうして何度も打ち合っていると次第に奏さんの顔に疲労が見えてきた。それもそうだろう、今日初めて剣を握った彼と幼少の頃から訓練を積んできた私とでは体力や膂力の面でかなりの差がある。むしろよくここまで打ち合っているものだ、そろそろ模擬戦は終わりにするべきだろう。彼はかなり筋がいいから試験までには十分な剣術を身に付けられるだろう…

 

などと考えていたそのときだった

 

「はあああああ!!」

 

(フェイント!?)

 

木刀同士が打ち合う瞬間彼は私の木刀を避けたのだ。とっさの動きに反応できなかった私の一撃は空を切った。

 

「そこだあああああ!!!」

 

彼がその隙を見逃すはずもなく私の木刀を弾き飛ばした。まさか突然フェイントを入れてくるとは…様子見とはいえ初心者に一本とられるとは私もまだまだということだろう。しかし以外にも私の心には負けた悔しさよりも先にこれほどの相手とこれからも戦えるのだという嬉しさがあった。

 

「お見事です。今回の模擬戦、あなたの勝利ですよ。奏さん」

 

 

 

 

 

 

 




はい、初めての戦闘描写でした。これを戦闘描写というのは無理っぽいですが…
次回からはもう少し書けるように頑張ります
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