男のウマ娘とトレーナーシンボリルドルフ   作:段ボールの中の玉ねぎ

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二人でのレース

ルドルフ「よしアップはもう終わったな。では早いところ初めてしまおうか。」

 

そう言ってシンボリルドルフはその場でぴょんぴょんとジャンプしながら言った。

 

イオ「ああもうアップは十分だ。さっさと始めようぜ」

 

レース前だと言うのにどうしてもさっきのふざけた走りと言われたことに腹が立ってしまっている。このままではいけないと思い、俺は一度目を閉じて深呼吸してもう1度前を見た。

 

ルドルフ「よしでは早速始めようか。距離は模擬レースと同じ2400mとしてこの石が地面についたらスタートだ」

 

そう言ってシンボリルドルフはターフの外に落ちていた石を拾って一度こちらを見た。

 

ルドルフ「スタート位置についたな。じゃあいくぞ」

 

そう言ってシンボリルドルフは石を空に向かって投げた。

石が投げられた瞬間に自分の中の集中力を全て石に向けた。その瞬間に石がとてもスローに落ちているいる気がした。そして落ちる瞬間に俺は今までにないほどの力を足にかけた。

 

ドゴォ!

 

スタートの瞬間に俺の体は今までにないほど足によって前へと押し出され、そしてそのままどんどん前へと進んでいった。いつもよりもはるかに体が軽い気がした。その良い流れのまま内側に入ろうとしたがそれを拒むように一つの流れる白い流星に防がれてしまった。

 

シンボリルドルフ「悪いね簡単に内を取られるわけにはいかないよ」

 

イオ「な?!」

 

イオ(マジかよ!?今までにないほどのスタートダッシュだぞ 何で平然と隣にいるんだよ)

 

そう言いながらシンボリルドルフは俺と並走を始めた。そのまま第一コーナーに差し掛かってしまう。そのまま内側を取られているのでどんどんシンボリルドルフの背中が離れて行ってしまう。コーナーを曲がり終わってまた直線へと入っていく。シンボリルドルフとの差は1馬身ほどの差が生まれている。しかしその差は文字以上に大きく、その背中はすでに点に見えてしまうほど空いている様な気がした。すると前のシンボリルドルフと一瞬目が合った。

 

イオ「え?、、、は?」

 

一瞬思考が止まった。何でレースをしているはずのシンボリルドルフと目が合う?俺はシンボリルドルフと反対方向に走っているのかとまで思ってしまった。

 

この間約1秒様々な思いがイオの中を駆け巡った。そしてに最後に残った思いは怒りだけだった。

 

イオ(俺ごとき後ろを見て、様子を確認しても勝てるってか 舐めるな!!)

 

自然と足に凄まじい力が入る。その瞬間またもう1段階体が軽くなりシンボリルドルフとの差を一瞬のうちに埋めてしまった。そしてついにシンボリルドルフの前に出ることができた。しかし前に出たのも束の間、第二コーナーへと差し掛かった。またここで抜かされてしまうと思っていたがこの第2コーナーではずっと俺の後ろにピッタリとついていた。

 

そして直線に差し掛かった頃にシンボリルドルフよりも前にいることにより一度自分を落ち着かせることができた。

 

イオ(今まで完全に熱くなりすぎてた このままじゃスタミナがもたねーな)

 

ここで少し無理をするのをやめて最後のスパートのために温存しておこうと決めたが、ここで今自分が置かれている不気味な状況に気がついた。

 

イオ(何でだ!?何でずっと俺のすぐ後ろについている!今までの速さなら追い越せるはずなのに)

 

もう目の前には第3コーナーが迫ってしまっている。頭の中で考えている余裕はない。今できることはペース配分を今からでも整えていくことが最善と判断して走り続けた。

 

しかしシンボリルドルフの手の上で踊らされている様な気がしてならなかった。

 

ついには第3コーナーに入ってもすぐ後ろにピタッとつかれたままだった。模擬レースの時とはまた違う気持ち悪さがイオを襲った。この気持ち悪さがイオの一度冷静になった心をもう一度錯乱させた。

 

そしてイオは凄まじい焦りに襲われて、もう1度足に力を込めて風を切り始めた。

 

イオのすぐ後ろについていたシンボリルドルフとの間に少しずつ開いていった。ここでイオは気持ち悪さから完全に解放された。

 

イオ(よしもうすぐ後ろに気配はない。このままこれをキープして、、)

 

後ろにもう気配はなくなったはずだったが、後ろから強烈な威圧感を感じて思考がストップした。

 

そして一瞬だが体が動かなくなる。初めての経験だった。

ここまで凄まじい威圧感をレース中に受けたのは

 

その瞬間 大地が揺れた

 

一瞬だった。爆発音もような音と共に白い流星が凄まじいスピードで俺の横をかけていった

 

イオ(なんでなんでなんで なんでこの一瞬で俺より前にいるんだよ)

 

レースはもう最終コーナーを過ぎ、最後の直線に差し掛かった。

 

すでにイオとシンボリルドルフとの差は3馬身ほど開いてしまった。

 

イオ(これが三冠馬なのか。これでもう引退したウマ娘!?ここまで違うものなのか)

 

このレースでの走りは今までにない最高のものだった。でも離されてしまっている現状がここにあった。イオにとっては相手との実力差にここまで絶望したのは初めてだったが、、、

 

ここまでこいつに勝ちたいと思ったのも初めてだった

 

イオ「いやまだ負けてねえよ!!!!ここからだろうが!」

 

もうスタミナなんてほとんど残っていなかったが、それでも全力で足で地面を蹴って前へと進んだ。もうあとゴールまで300mを切ってしまった。しかしもうそんなことを気にしている余裕もなく今のイオにはシンボリルドルフの背中しか見えていなかった。

 

するとシンボリルドルフの背中が少しだが近くなった様な気がした。少し、少しづつだが近くなっている。確実に確実に。

 

イオ(いける いける いける‼︎)

 

しかし一気にシンボリルドルフのスピードが落ちる。おかしいと思いふと横を見るともうゴールをしていて、レースは終わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イオはターフへと寝転び、てんを仰いだ。

改めて自分が本当の全力を出して負けたことを実感した。そして今まで感じたことがないほどの悔しさがイオの中を駆け巡った。

 

イオ「くっそっ」

 

自然と涙が流れてきてしまう。するとシンボリルドルフはそばに寄ってきた。

 

ルドルフ「ふざけたと言ったことは悪かった。しかしこれだけは言いたい。模擬レースの時とは、全く違っていたぞ」

 

イオ「確かに模擬レースの時とは、違って普通に走れていたからn」

 

ルドルフ「そうじゃない」俺の言葉を遮ってそういった。

ルドルフ「あの時とははるかに違う。あの時よりもはるかに楽しそうに走っていたよ君は」

 

シンボリルドルフは少し息を整えながらそういった。

 

イオ(なんでもうほとんど息整ってんだよ。こっちはまだ立てねーよ)

 

ルドルフ「それはそうと少し失礼するよ」

 

そう言って、シンボリルドルフは俺のズボンの裾を捲って足を触り始め、そして色々な場所を押し始めた。するとふくらはぎの特定の場所で激痛が走った。

 

イオ「いっつ」かなりの痛みについ声が出てしまう。

 

ルドルフ「済まない 大丈夫か?」その問いに俺は少し頷いて返答する。

 

そしてシンボリルドルフは少し考え込み、何やらぶつぶつ言い始めた。しばらくしてシンボリルドルフは、すくっと立ち上がった。

 

ルドルフ「立てるか?あまりここにこんな状態で長居するのも良くないだろう。少し場所を移そう」

 

確かにいつまでもこんなふうにターフの上に座っているわけにはいかないし、もう走る体力も残っていない。そしてまずは自分の体を起こそうといたが

 

イオ「あれ?うまく力が、、」

 

立つために足と腕に力を入れようとするのだが、うまく立つことができなかった。

 

ルドルフ「あの速さで走り続けたんだ。もう歩けなくても不思議じゃない。仕方がない」

 

そう言ってシンボリルドルフはこちらに背中を向けて、俺のそばにそっと座った。

 

ルドルフ「何にをしている。早く肩を掴んでくれ 私がおんぶして運ぼう」

 

なされるがままに俺は肩に手を掴んでおんぶされる。その背中からはとても大きく感じた。そうしてシンボリルドルフは歩き始めた。側から見れば男子学生が年もそこまで変わらない女性におんぶされている奇妙な感じに見られるだろう。上半身にもうまく力は入らず、完全に上半身もシンボリルドルフの背中に預けている。しかしこの時間帯はもう外に出ている生徒はほとんどおらず、この姿を見られることはないのだが少し恥ずかしさを覚えてしまう。

 

イオ「どこへ向かってるんだ?」

 

ルドルフ「私のトレーナー室だ。あれだけの走りをして立てなるまでになっているんだ。まだ少しつくまでに時間がかかる。少し寝ておけ」

 

その言葉に安心してしまったのか一気に眠気が襲ってきた。そしてそのままシンボリルドルフの背中で俺は意識を手放した。




今回も読んでくださってありがとうございます‼︎
何度も言う様ですがたくさんのお気に入り登録と閲覧ありがとうございます。
次の話もできるだけ早く出せる様に頑張っていきます‼︎
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