【オリウマ・オリトレ】へっへっへっ…俺は闇のトレーナー   作:ゴールド@モーさん好き

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佐竹優斗の秘密①
実は元トレーナーである実の兄に対し、ある事を頼んでいる


16話 記者会見

 ある日の昼下がり、記者達が集まり多数の視線が2人の男と1人のウマ娘に注がれていた。

「まず初めに今日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。とはいえ今日発表する内容は重要性が低いものなので、肩の力を抜いた感じで聞いてくださると幸いです」

 男‪──‬宵月剣人はにこやかに笑いながら記者陣に話しかける。

「現在担当しているオーガナイトはクラシック2冠を果たし、最後の冠たる菊花賞に向けて練習を行っています。皆様には伝説の瞬間、いえ……〝伝説の1年〟を体験させれるという確信があるとここでお話させて頂きます」

 その言葉に記者陣はざわめき出した、クラシック3冠だけでも偉業であるのに、それに加えて『現状今年無敗』のオーガナイトにそれを言うという事は、かの世紀末覇王が成したグランドスラムを行うということだ。

「すいません! それでは、菊花賞は勝つ前提で、次のレースを決めているということでしょうか!?」
「はい、菊花賞後は皆さんの投票の結果に左右されてしまいますが、有馬記念を勝たせて頂こうと思っています」
「ッ! シニアクラスのウマ娘にも十分勝てると、そう思いなのですか?」

 その問いに対し、傍らのウマ娘が答える。

「はい、勝てると思ってます」
「その自信が砕かれるとは、微塵も思っていないのですか?」
「思ってはいませんが、望んではいます」
「は?」
「私は今までクラシック級で名だたるウマ娘とレースを走ってきました、ですがどれも〝彼女〟に迫る気迫を持った方は居ませんでした。はっきりと申し上げます‪──‬私と勝負出来たウマ娘はユアホープただ1人のみです」

 その言葉に記者達は空いた口を塞ぐ事も、言葉を発する事も出来なかった。レースに出れば勝つ、2バ身3バ身差は当たり前。そんな彼女を唯一負かした事が出来た者の名を出され、何も言い返せなかった。

「故にこそ私は有馬記念に希望を持ちながら赴くんです、勝つ為では無く‪──‬勝負をする為に」

 

 その言葉は酷く傲慢で、けれども孤独を纏う寂しさがあった。

 

「さて、〝私の愛バの宣戦布告〟が終わった所で本題を話そうと思います」

「本題、有馬記念への出走宣誓が本題では無かったのですか?」

「はい、というのも私事で申し訳ありませんがこの度新たなにウマ娘を3名ほどスカウトし、チームを組むことになりました。チーム名は酔いどれ知らず。こちらは私の同期で信頼できるので一緒にチームを立ち上げ、サブトレーナーとして3名の担当をやって頂く予定です」

「皆様こんにちは、私の名前は佐竹優斗。チーム酔いどれ知らずのサブトレーナーをやらせて頂いてます」

 

 記者達は気づかなかった。この男が余りにも覇気がなく、ほか2名が溢れる程覇気があるせいで目の前に立っている男が数ヶ月前インタビューする為だけに奔走し、決して許可を取れなかった男だったという事に。

 

「申し訳ないのですが、ユアホープさんの〝元〟担当トレーナーである佐竹優斗トレーナーで合っていますでしょうか」

「はい、その認識で概ね合っています。私はユアホープの〝現〟担当トレーナー佐竹優斗です」

 

 散々手を焼いた相手が目の前にいる、記者陣が彼を見る目が好奇な物に変わるのはすぐだった。

 

「担当の脚を壊したあとに一気に3名もの担当を取るのは些か御自身がやった過ちを過小に見積もりすぎでは無いですか? また同じ過ちを繰り返すとは思わないのですか?」

「お言葉ですが私は過ちが起こってから、過ちについて考える程愚鈍ではありません。私はユアホープをスカウトした時からずっと脚について細心の注意を払っていましたし、ユアホープと何度も脚について医者を交えての話し合いをしてきました。確かに彼女はあのレースで脚に傷を負いました、けれどソレは彼女自身の覚悟と決意の選択であり、外野からどうこう言われる筋合いはありません」

「何だそれは! 反省の色が見えないぞ!」

「私がすべきは反省では無く贖罪であり、やるべき事は佐竹優斗として生きるという事をユアホープ本人からぶつけられました。部外者たる貴方が口を挟む隙間はホコリ程も無いと考えて頂きたい」

(ほへぇ、つい最近まで精神やられてた奴とは思えないキレの良さだな優斗)

 

 それから数度優斗に対し、記者から心も無い質問とも取れない批判が来るもつい最近まで心無くそうとし、今は覚悟も決めた優斗には〝効いてる様子が見えなく〟粛々と返して言った。

 

「会見付き合わせちまって悪かったな……ほれ、奢りだ」
「おう、サンキューな」

 剣人は自販機で買ったサイダーを差し出す、俺は爆速で心臓が動き火照る体を冷やすために一気に喉へと流し込み息を吐く

「はぁっキッついなぁ、自分でも嫌だと思ってる事を真正面から他人に突きつけられるの」
「だから今日は来なくても良いと言っただろうが」
「ばっか、どうせいつかバレる。そうでなくとも他のトレーナーと組んでチーム組みますって言う時に、片割れが居ないんじゃアレだろうが」
「だが……」
「いいんだ、表舞台に復帰するなら遅かれ早かれだ。それを信頼出来るお前の隣でやれたんだ、まだマシって奴だよ」
「優斗……」

「まぁなんにせよこっからだ、こっから俺はもう一度始める……お前らも最強にあぐら書いてたら俺らに抜かれるからな」

「ふっ望む所です」

「むしろさっさと追い越して来れねぇと張り合いが足らねぇからな、ちゃっちゃか来てくれ」

「…………」

「…………」

「「くっははは!」」

 

 俺らは睨み合い、数刻後笑いあった。こいつらなら最後まで最強であり続けるだろうという信頼を、彼らなら追い越してくれるだろうという信頼を、〝絶対にそうは差せない〟という自信と共に胸へ募らせた。

 

「来月には夏合宿が始まるが、デビュー前3人組はどうするつもりなんだ? あの3人は体を追い込む事よりも、体作りが有線されると思うが」

「俺もそう思ってはいるんだが、夏合宿なら学園にいるよりも付きっきりの指導が出来る。体作りは日頃の生活習慣も大事になるからな、そういう意味でも参加しようと思う。それと、オーガナイト」

「はい、なんでしょうか佐竹トレーナー」

「…………いや、今はまだ言うべきじゃない。すまないが忘れてくれ」

「おいおい気になるじゃねぇか教えろよこの野郎〜ウリウリ」

「しょうがねぇだろ、少なくとも実感できるのは最短で1年か2年……もしかしたらもっと先になるかもしれねぇ事なんだよ……」

「佐竹トレーナーがわざわざ私にお話しようとするという事はそれ程の事なんですよね」

「あぁ、少なくとも〝キミにとって〟は必ず大きい事になる。担当3名とはまた別でね」

「それまで、私は何をしていたら?」

 

 そういう彼女に、俺は申し訳ない気持ちを持ちながら〝また〟希望を持たせた。

 

「ターフに居てくれ、ターフで最強であり続けてくれ‪。〝俺たち〟の最大で最愛のライバル、オーガナイトよ‪」

「そ、れって……」

 

 俺の言葉ニュアンスを正しく受け取ったオーガナイトは涙を零しながら、腕を胸元で握り俯く。

 

「はい、〝約束〟します……私は絶対、誰にも負けません。オーガナイトこそが最強だと、示し……続けます」

「…………ありがとう、俺たちも全力を持って事に臨む」

 

 剣人はオーガナイトの肩に手を添えながらこっちを向きながら不敵に笑う。

 

「良かったのか、敵に塩なんか送ってさ。あの3人がしんどくなるだけだぜ?」

「あいつらはあいつらで強さを持っている、例え相手が絶好調の〝鬼ヶ島の主〟でもな」

「そうかよ…………サンキュな」

「こっちこそだよ、沢山〝待たせちまう〟が、絶対何とかしてみせるよ」

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