【オリウマ・オリトレ】へっへっへっ…俺は闇のトレーナー 作:ゴールド@モーさん好き
俺はユアメモリーに条件を言い渡した後ある場所に向かっていた……
「ここに来るのも、久しぶりだな」
そこは俺のトレーナー質、資料の粗方を寮に持ち込んだ後1度たりとも足を運ばなかった場所だ。俺は今日ここにある物を取りに来た。
「ん? 鍵が空いている?」
おかしいな、前来た時はしっかりと戸締りしたはず……そうでなくとも警備員さんが消灯の見回りの際確認してるはず。
「…………」
たづなさんや他の事務員さんからここを借りるという旨を聞いた覚えも無い、不法侵入者? 厳重なこの中央トレセンでか?
色々考えたが中を見ない事には答えなど見つかるはずも無い、そう断じた俺は勢いよく扉を開けた。
「おい! 誰かいるのか!」
そこには──
「遅いよトレーナー、来るとわかってても退屈過ぎて帰ろうかと思ったよ」
「え」
俺の愛バ、にして本来なら家で療養中であるはずの〝ユアホープ〟がソファに座っていた。
「ほ、ホープ!? なんでキミがここに、家で休まなきゃいけないだろ!」
「まぁまぁ、せっかくの久しぶりの再会なんだからそう目くじらたてないで。よっこいしょ──あっ」
「ホープ!!!」
ソファから起き上がろうとしたホープは力がしっかり入り切らなかったのか体勢を崩しかける、俺は荷物を放り投げ倒れかけてるホープを抱きかかえる。
「あはは、元気な姿トレーナーに見せたかったんだけど……かっこつかないね、これじゃ」
「全く……カッコつける前に栄養と体力を付けてくれ、ホープ」
「にへへ、ごめんなさいトレーナーさん」
家を抜け出した事を怒ろうかと思ったけど、心配と安堵の方が強くなってしまった。俺は抱いてるホープの頭をポンポンと撫でながらゆっくりとソファに座り直させようとして、ホープが離れない為お姫様抱っこのままソファに座る事にした。
「色々と聞きたいことはあるが、まずなんでホープがここに居るんだ?」
「メモリーにさ、今日トレーナーさんの事逆スカウトしてはっぱかけてくるって聞いてたんだ」
「いや止めたれよ、こんな疫病神を妹に憑かせるな」
「…………」
「んだよ」
「いや、本当にトレーナーさんを〝変えちゃった〟なって」
「はぁ?」
「トレーナーさん、自信満々なタイプでは無かったけど、そこまで卑屈に自虐する人でも無かったよ」
「そうだな……でも違うぞ、お前に変えられたんじゃなく、自分で自分を見つめ直した結果なだけだ」
「トレーナーさん……」
「んっん、話は戻してトレーナーさんは多分メモリーの逆スカウトの件をどうあれ受け入れると思ったんですよ」
「なんでだ? トレーナーとしての業務はもう半年位やってないのに、なぜそう言いきれるんだ」
「そんなの簡単だよ」
ホープは真っ直ぐ俺の目を見つめ、ふにゃりと微笑みながら口を開く。
「私が貴方を知ってるから」
「! 〜っ耳年増が何色気出してんだ、アホ」プイ
「えぇ、私そんなつもり無かったのにそう言われるの心外なんだけど……ねぇなんで今私から視線逸らしながらそう言ったの! ねぇ!」
「うっさい!はい! はい! 続き聞かせてホープ」
「ふむぅ、絶対後でつっついてやる……それで私は思ったの、貴方はきっと〝アレ〟をここに封印してて、メモリーの話を受けた貴方はきっと取りに来るって。トレーナーさん、真面目だから」
「ホープには叶わんな……」
ホープが指さした先には、彼女と同じ澄んだ空色のジャケットに他にも寒色で纏められた〝1式〟がハンガーに掛けてあった。
「お前にとっては、ただのスーツだろ」
「アレは、トレーナーさんが〝私のトレーナーとしての正装だ〟って言ってくれた物だよ? 忘れるわけないじゃないですか」
「トレーナーさんが今日ここに来るって分かったから、トレーナーさんがメモリーの件受けてくれるって分かってたから、今日貴方とこうして話したかった。その為にたづなさんに相談して入れさせて貰ったの」
「そうか、でも普段はまだ車椅子とか使ってるんだろ? あんま無茶はしないでくれ、お願いだ……」
「うん、それは本当にごめんね」
俺の愛バ、ユアホープは足を損傷し選手生命が絶たれた。その傷というのは、簡単に言えば筋肉の損傷だ。
元よりホープは急激にスピードをあげると他のウマ娘以上に脚へ負荷が掛かってしまう体質だった。
それ故に俺たちは策を講じ、あるウマ娘を参考とした追込みによる超ロングスパートで徐々にスピードを上げて走るウマ娘だった。そんな彼女がほぼトップギアだった所、思いの力によって更に数段無理やりギアを上げてしまった。それにより脚の筋肉が破損するだけに留まらず、後遺症が彼女を蝕んだ。
「ねぇ、トレーナーさん」
「なんだホープ」
「私、今は退院はできても療養とリハビリで通学はもう少し先になりそうです」
「そうだな」
「その間、どうしても私は貴方と話す事が簡単には出来なくなります。けれど、やっぱり寂しいです……辛い時、何時も貴方が支えてくれていたから、何時も貴方が私を信じてくれていたから、頑張れました。けどそれは貴方を定期的に感じる事が出来てようやく為せる事だと痛感しました」
ホープは泣きそうな声で、言葉を綴る。
「やっぱり私には貴方が必要なのです、だからどうか通話でも良いので定期的に声をきかせて頂けないですか?」
「そんなの、お安い御用だ」
俺はホープ安心させる為に抱いてる腕に力を入れる。
「ありがとうございます、トレーナーさん……ふふ、これじゃものすごく面倒くさい女みたいですね」
「気にするな、俺も好きで世話焼いてんだ」
「ぶぅ、面倒くさい事は否定してくれないんですね」
「お前が面倒くさいのは元からだったろ」
その後、俺たちは久しぶりに沢山話しあった。
会えなかった間やった事、思っていた事、起きていた事を沢山話した。
そうこうしているとホープのスマホに電話が掛かった、彼女のお父さんからだった。どうやら今日は車で来ており、元からこの時間帯には帰る予定だったらしい。
俺はダダをこねるホープを車椅子に座らせ、そのまま駐車場に行きお父さんへこのジャジャウマ娘を無事引き渡した。
「本日はお仕事中、連絡も無しに来てしまい申し訳ありません」
「いえ、平気です。きっと、連絡を頂いていたらまだホープと顔も合わせられなかったと思うので……だけど今日ホープに会えて良かったです、恥ずかしながらコレでようやく私は腹が決まりました」
そういうと、ホープのお父さんも1度目を瞑り数秒置いてから覚悟を持った面持ちで口を開いた。
「分かりました、〝娘たち〟をよろしくお願いします」
「はい!」
「……貴方のその顔をもう一度見れて、本当に良かった。ホープ、もう帰るから改めてトレーナーさんにお礼言いなさい」
「うん! トレーナーさん、今日は会ってお話できて本当に嬉しかった! また、お話いっぱいしようね! 約束だからね!」
「あぁ、約束だ」
俺らはそうやって指切りをし、別れた。その後一旦トレーナー室に戻ると、俺は着替えを済ましとある場所に赴いた。
3回程ノックをした後、ハキハキとした声で俺は部屋に入る。
「失礼します!」
「待っていたぞ、トレーナー!」
理事長は〝待望〟と書かれた扇子を開きながら、嬉しそうにしていた。