【オリウマ・オリトレ】へっへっへっ…俺は闇のトレーナー   作:ゴールド@モーさん好き

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今回からトレーナーに名前が着きます


4話 ライバル登場!友情のエール

「時間も時間だし、トレーナー室の掃除は明日にでもするか。久しぶりで埃が少し溜まってたしな」

「あれ、〝優斗〟? こんな所で何やってんだ?」

「剣人か、なにちょっとした野暮用だ」

 

 俺を優斗と呼んだこの男は宵月(よいづき) 剣人(けんと)、俺の同期トレーナーだ。そして‪──‬

 

「こんにちは、〝佐竹〟トレーナー」

 

 俺の事を佐竹トレーナーと呼んだこの娘はオーガナイト、剣人の担当にして現クラシック級の2冠ウマ娘だ。

 

「こんにちはナイト、久しぶりだな」

「はい、お久しぶりです」

「元気そうで良かったぜ優斗、本当になんでこんな所に……」

 

 剣人は俺が今しがた出てきた理事長室と、久しぶりに引っ張り出したスーツを何度か見ると顔を真っ青にしながら俺の肩を掴む。

 

「ま、まさかお前トレーナー辞めるのか!? あの噂は本当だったのか!?」

「ばっ! や、辞めないよ! 辞めたかった気持ちはあるけど、今はもう平気だ」

「そ、そうかそれならいいんだ……俺、お前が苦しそうだったのに何も言えなかったからさ。ずっと気になってたんだよ」

「寧ろ有難かったよ、お陰で悩む事に集中出来たしな……なぁ聞いてくれよ剣人」

「なんだ?」

「俺、これからトレーナー業を再開するんだ。教官としてじゃなくて、担当を取って」

「本当か! そりゃ良いや! それで? アテは有るのか? 教官して沢山のウマ娘と触れ合ってたんだろ?」

「あぁ勿論、名前はユアメモリー……ホープの妹だ」

「ホープさんの妹さん!」

 

 俺の出した名前に真っ先に反応したのは、ホープ現役時ライバルとして競い合っていたオーガナイトだった。

 

「そうですか、彼女の……佐竹トレーナー、その子はお強いんですか?」

「おいおい2冠ウマ娘がそんなにがっつくなよ……はっきり言えば今年入ったばっかの新入生、本格的な練習はトレセンに入ってきてからっぽいからまだまだ荒削りの真っ最中って所。けれど……〝強くするよ〟、必ず」

「‪──‬っ!」

 

 俺の言葉を受けた彼女は、好戦的な笑みを浮かべた。

 

「こらっ」

「ひん! ……うぅ、トレーナー、愛バを急に小突くとは何事ですか」

「久しぶりに会った人に向かってそんな好戦的な笑みを浮かべる奴があるか! わりぃな優斗、センシティブな話題だったろうにこのクールバトルジャンキーが水さして」

「平気だよ、それにもう吹っ切れた。多少心に凝りがあるが、そのうち自力で何とかできる位だ。だから、その……心配させて悪かったな」

 

 俺はライバルであり、友人である剣人にそう笑いかけた。

 

 戦友と久しぶり話し合った後、今度飲みに行く約束をした後帰宅。アレコレを済まし、ベッドへと身を投げ出す。

 

「ふぅ、今日は疲れたな。精神的にかなりどっとした」

 

 担当の妹に逆スカウト、療養中であるはずの担当にドッキリを仕掛けられる、ずっと避けてた覚悟を決める、そして……

 

「片や初担当を輝かせた2冠トレーナー、片や初担当を壊した無能トレーナー……ふっ〝ライバル〟が聞いて呆れるよな」

 

 俺は同期で、ライバルで、友人である男を思い出す。

 アイツが先輩なり、嫌味ったらしい奴だったら或いは別だったのかもな……

 

「やめだやめだ、俺だってG1トレーナーだ。ホープの頑張りから目を逸らすなこのアホンダラ……もう寝て、切り替えよう」

 

 

 ♢

 

 時は少し遡り、トレセン学園。

 

 俺は〝優斗〟と別れてからナイトを寮へと送っていた。そんな時ナイトがふとこんな事を聞いてきた。

 

「トレーナーさん、私はあとどれくらい走れるでしょうか」

「どうした急に、もしかしてどこか身体に不調が出始めてきたのか?」

 

 クラシック路線の3冠目、菊花賞に向けてスタミナトレーニングを増やしてはいたが量を見誤ったか? そう思ったが、ソレを本人から否定される。

 

「いえ、身体は至って平気です。ただ、先程佐竹トレーナーが話していたホープさんの妹さん……彼女と走る迄は引退出来ないなと思い、そうすると彼女がどれだけ早熟だったとしても今クラシック級たる私と公式で戦うには最低でも2年か3年程必要だなと、そう思いまして」

「なるほどな……」

 

 ナイトにとってユアホープはライバルであるが、ただのライバルでは無い。当時少なくとも俺が観測する限りそれまで〝公式の有無を問わず、無敗〟を誇っていたナイトが初めて敗れた相手だ。

 ナイトはレース後初めて負けて、〝歓喜の涙〟を流した。それ程までにナイトにとって自分と対等な実力を持つウマ娘の存在は驚愕で、それでいて切望していた存在だった。そんな相手が怪我により勝ち逃げなど、絶望でしか無かった。

 クラシック路線と言われる華々しいレースの数々、どの相手をとっても強敵揃いだった。だったのだが、彼女が失った〝穴〟を埋める者は居なかった。

 けれども今日、その穴を埋めれるかもしれない相手の存在を知り、あまつさえ片割れが〝強くする〟と誓ってくれたのだ。昂るなという方が無理だろう。競いたいと思うなという方が冷酷だろう。

 だが、それでも聞かなければいけなかった。

 

「走りたいか」

「はい」

「今年からデビュー出来たとして、公式での最短でも2年で相手はまだクラシック級だ、シニア級まで待つと最短3年だ」

「そうです」

「お前の身体が持つかどうかも分からないし、ユアメモリーというウマ娘がそこまで強くなるかも現状不明だ」

「理解してます」

「それでもお前は諦めたくないんだな?」

「はい」

 

 全く、優斗も俺達も、ホープの嬢ちゃんには敵わないらしい。罪な嬢ちゃんだよ全く……

 

「分かった、長期的且つ不安定な目標としてプログラムに組み込んどく」

「よろしいのですか? 自分で言っといてアレですが、かなりのワガママ且つ現実的では無いお話ですけど」

 

 ナイトが言っている事もわかるし、多分俺が他の立場だったらアホらしいとすら思うだろう。けどな……

 

「あいつらに負けて悔しいのが自分だけだと思うなよ? オーガナイト」

 

 そう不敵に笑うと、ナイトは一瞬目をぱちくりとさせると、真面目な顔がすぐさまクシャッと崩れた。

 

「ふふふ、そうでしたね。貴方も私と似て、負けず嫌いのライバル好きでしたね」

「おうよ! ライバルが苦難を超えたんだ! だったら俺達だってあいつら以上の苦難を超えてやんねぇとなぁ!」

「ええ! そうですね!」

 

 俺とナイトは拳をぶつけ合い、未来のライバルと競う決意を出した。

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