NieR短編   作:舞うL


原作:NieR:Automata
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ふと降ってきたNieR短編です。

※細かい設定や時間軸、キャラクターの口調などおかしな場合があります。
温かい目で見守ってください。


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9Sと不思議な電話

 

『――あーあー。もしもし?聞こえてるかな?』

 

「え…」

 

繋がるはずのない旧時代の電話から声がした。

 

――水没都市。

かつて人間が暮らしていたそこは、エイリアン率いる機械生命体によっていつ崩れてもおかしくはない。

僕――9Sことヨルハ九号S型はヨルハ二号B型……2Bさんとの任務が終わった後、フィールドワークの一環で度々ここを訪れていた。

今僕の目の前にある電話も幾度となくこの街で見かけてきたものだ。

でもそのどれもが壊れており、再起動はできなかった。

こんなことは初めてだった。

 

『あれ、聞こえてないのかな……。おーい、もしもーし』

 

ただ呼びかけを続ける男の声。

もしかすると機械生命体の罠かもしれない。

奴らはそういう卑劣な手を使ってくる。

しかし、もし、そうではなかったとしたら………。

 

「聞こえてますよ〜」

 

僕は気づいたらその電話を耳に当て、言葉を返していた。

もしこの電話の主が月面に居る僕らの創造主、人間であったのならば。

何らかの理由で地球と繋がることができたのならば。

僕らアンドロイドに伝えたいことがあるのならば――。

 

『お、良かった。えーっと、アンタは……』

「ヨルハ部隊所属ヨルハ九号S型です」

『ん…ん?な、なんだって?よ、よる?え?』

 

……やっぱりこの感触は機械生命体とは考えられないですね。

機械生命体が流暢に喋ることは……まぁ、ありましたけど、疑問を持つこと……もありましたけど。

なんだか、この電話の主はそれらとは違う気がする。

それこそ、本当に人間……。

 

「……ヨルハ部隊所属ヨルハ九号S型です。仲間からは9Sと呼ばれています」

『そ、そうか。じゃあ俺も9Sって呼ばせてもらうよ』

「えぇ、お願いします」

『じゃあ9S、早速だが俺の話を聞いてくれないか?』

「話ですか?」

『あぁ、別にマルチとか詐欺とかそんな話をしようって訳じゃないから安心してくれ。よくある……馬鹿な話さ』

 

電話の主は何処か哀愁のある声色でそう言った。

機械生命体には再現することのできない人間の複雑な感情。

それを感じ取れた時点で、僕は電話の主に持っていた警戒心を解いた。

まぁ、一割程の警戒心だったけど。

とりあえず男の話が本格的に始まる前にやれることはやっておかないと。

 

「…ポッド、引き続き周囲の警戒をお願い」

「了解」

 

僕の声に反応した黒いボディカラーに赤い頭頂部を持つの飛行物体。

ヨルハ部隊に標準装備されているポッドとよばれる随行支援ユニットだ。先程から僕の周りを飛び回って、機械生命体の反応を探ってくれている。

一応この近くにいた機械生命体は倒しているが、もしもがあると怖い。

 

『……俺には家族がいてな。嫁と子供が二人。女の子と男の子だ。休日には家族4人でキャンプに行ってBBQをしたり、遊園地なんかにも行ったりしてたんだ。

嫁とは学生時代に出会ってな。今でこそ仲良くやってるが、最初は気に食わない女だと思ってたんだ。何でもかんでも俺の先を行く彼女に嫌気が差して嫌がらせなんかもしてた。……今思えば馬鹿だったなと思うよ。

まぁそれから色々あって二人でモールに行ってショッピングしたり、水族館なんかも行く仲になった』

「えっ、気になる部分ぼかしましたよね?色々って何があったんですか?それにモールでのショッピングについても気になりますね。一体どんな感じで……」

『色々は……色々だ。流石に恥ずかしすぎて人には言えん!モールもただ普通に回っただけだ!アイツに似合う服を見繕ったりだな……」

「へぇ〜……」

 

服を見繕う、ですか。

そういえばこの近くの森にショッピングモール跡地があったような。

衣類なんかは残ってないかもだけど、今度2Bさんと一緒に行ってみるのも良いかも。

2Bさん……、どんな服が似合うかな。

 

『と、とにかく!それから俺は彼女と結婚して二人の子供を抑えたんだ。俺と似てたのは髪質ぐらいでな、顔つきは嫁に似てとても可愛いかった。俺は愛らしくて愛らしくて仕方がなかった。子どものためならなんだって出来るなんて全能感すらあった』

「実際、家族で旅行に行ったりしてたんですよね。いいお父さんじゃないですか」

『あぁ……。あの日までは多分、そうだったんだろうな』

「……?」

『……9S、君には大事な人はいるか?』

「……ええ。大事なパートナーが」

『そうか……なぁ9S。お前は■■するなよ』

「え」

『俺は……俺は家族を■■ことができなかった。■てることしか■きなかった。あの時■くことが■■■のは■だけだった。なのに……■けなかった!……これはそんな■の■■だ。ずっと、あの■から■■してたんだ』

「ッ!電波が!!」

『■■してたさ。このまま■■が■■■まうんだ、って。でも9S、■が■きる■■は俺の■■た■■の■■だと思うんだ……。最後■俺■■を■いて■■てあり■■う。いつ■■た、会■る日まで――』

「まだ聞けてないことが沢山……!!」

『……ツーツーツー……』

 

僕の思いとは裏腹に、無情にも通話終了のコール音が耳に鳴り響く。

電話はもう動かない。

 

「……ポッド。このことは僕たちだけの秘密だ」

「疑問:ヨルハ九号S型は何故そうする?」

「……なんとなく、かな」

「不明」

「まぁ、いいじゃない。秘密の1つや2つ、あったほうが魅力的ってこの前読んだ本に書いてあったし」

「……」

「……。さ、さて!そらそろバンカーに戻って次の任務に備えようかな!!ポッド!ここから一番近い転送装置は?」

「……回答:南東に300m移動した地点に存在する」

「それじゃ、そこに向かおう!!」

「……」

 

そうして、僕の不思議な体験は終わりを告げた。

これ以降こんな事は起きなかったし、本当に何だったかは謎。

……でも、とりあえず2Bさんとしたいことはいくつかできたかな。

 


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