つ よ つ よ 先 生 ( 廃 人 )   作:カンタレラ

1 / 2
 oomSEST NCとは
 omake_overhaul_modifyEx_SukutuEdition_SouthTyris_NasukoCustom
 と呼ばれるヴァリアントの略称です
 そもそもヴァリアントって何? って気になる方もいると思いますので、簡単に説明するとマイクラとかそういうゲームのMODに当たるやつって考えれば概ね問題ないです
 それを入れると何ができるのかと問われればそれはもう色々としか言えませんが、主な要素で言えば鍛治や魔法作成、称号とかトロフィーとかならくとかその他諸々etcetc……
 要するに多すぎて説明できないです
 この作品内で登場した要素については後書きか何かで説明します
 『最果て』はNCで新たに追加された称号でHP20億とすくつ10000層に到達することで獲得できます
 ちなみにすくつ1000層で『廃人』の称号が取れます


廃人、キヴォトスに来る

 あなたは今ならくというネフィアにいる。

 ダメージ無効のエンチャントを無効化し、雑魚の速度が最低でも100万を超えたその地獄は、なんの下準備もせずに突撃すれば速度差に押しつぶされてミンチになるのが関の山だ。

 そんな地獄も、下準備さえしてしまえばあなたは鼻歌交じりで1000層でも1万層でも潜り続けられるようになってしまった。

 

 

 そんなあなたは特に目的もなく、やることもないため暇つぶしでならくというネフィアを潜り続ける。

 主能力を鍛え上げてはそれも廃人のその先の限界へと辿り着いた。

 スキルは限界にたどり着いた後にそもそも上げる意味がないことに気づきつつも、限界に達したスキルを見て悦に浸った。

 魔法は……正直面倒だったが暇だったため時間をかけて特訓を行った。

 装備はハンマー+60と《銀文字の巻物》があれば特に困ることもなかった。

 ペットは……利便性重視の構成をしたため、戦いについて来れそうにも無いので置いていった。

 

 一つ惜しむべきは、己の体が未だ一般的な人体を逸脱していないことだろうか。

 あなたはこの世界で己を鍛えていくうちに、とあることに気付いた。

 すべての装備部位を指で揃える23指が最強だと。*1

 ノースティリスに来た直後、13部位ある種族からカオスシェイプへ種族変更を行い、部位を増やした後に遺伝子学で変更してしまえば簡単に23指が完成してた。

 あなたはもう経験を積んでしまったため、それは到底叶わぬ夢となってしまったが。

 複雑な肉体による速度低下や武器を装備できない欠点など、この段階まで来てしまえばそれら全て飾りとなってしまってる。

 本当に惜しいことをしたと、正直後悔しているが今更変えるのも面倒だ。

 

 それはさておき、そんなあなたはただ宛もなく、やることもなく彷徨うようにならくを潜り続ける。

 はっきり行ってしまえば退屈だった。やることが無くなってしまった。

 腕試しで本気の神々も倒し、《Tow》*2も入念な下準備の下に討滅してしまった。

 この先があるようにも思えないし、あったとしても別の、それも決して超えられぬような壁にぶち当たるだけだ。

 あなたは強くなること以外はほとんど目的もなかったため、限界まで鍛え上げた主能力、スキル、魔法、装備、それらが終わってしまった故次の目的が無くなってしまった。

 強くなることに心血を注ぐがそれ以外の、所謂トロコンやアイテムコンプには中々食指が向かなかった。

 

 ”そろそろこの身を埋めてしまおうか”

 あなたはそう考え一度自宅に帰ろうかと思い、帰還の魔法を唱えた。

 この魔法は数分、数秒、或いは数瞬の間に望んだ地点へ転移するモノだ。普段ならいつも通り自宅へ帰るところだったが、ここであなたは違和感に気付く。

 違和感というが、あなたにとっては随分と慣れ親しんだものだった。

 この感覚は呪われた帰還の巻物を読んだ時に発生する、強制的な転移先の変更だ。

 だがおかしい、あなたは自身のストックを消費して発動させたのだ。魔法自体が呪われるわけもなく、強制的に別の場所へと転移される謂れもなかった。

 あなたは再度帰還の魔法を唱えキャンセルしようとしたが、ここは乗っかってみるのも手かと思いキャンセルはしなかった。

 どうせ地中に埋まるかこの地を去るだけだったのだ。なにか異常事態が起こるなら最後にそれを楽しむも良し、何も起こらなければこの身を埋めて二度と這い上がらなければいい。

 そう思ったあなたは、嬉々としてその転移に望んだ。

 

――――――

 

 寝ていたのだろうか。

 あなたはがたんがたんと心地よく揺れる乗り物の中で瞼を上げる。

 あなたはいつ眠りについたのだろうと一瞬思考を巡らせるが、そういえば転移した際に無理やり歪められたなと思い出す。

 とはいえ今の今まで転移中に意識を飛ばすこともなかったため、あなたの中では十分な非常事態だった。

 

「目が覚めたみたいだね」

 

 ふと前方から声がかかる。微睡みと思考の海に浸ってた所為か、その声の主に気付くのが遅れた。

 そちらに目をやると、二人の女が座席に腰掛けている。

 

「おはよう、でいいのかな」

 

 声をかけてきた女は柔らかい笑みを浮かべている。緑がかったショートボブにパンツスタイルのスーツを着用していた。

 

「私は……そうだね、先生と呼ばれていた。君の依頼人に当たる人かな。そして隣の彼女が■■■……駄目だ、検閲が掛かってるらしい」

 

 隣の女、白を基調とした制服に青とピンクが入り混じったロングヘアーの女だ。ところどころ負傷を負っているのが見受けられる。

 依頼人なるものがその女の、おそらく名前であろう台詞にはノイズが走り、うまく聞き取れない。

 

「それは彼の世界の管理者による気まぐれですから」

 

 面倒だな、と内心ぼやくが管理者ともなるとあなたからは手の出しようがない。

 あなたは多くに信仰される神であろうと本気を出した願いの神であろうとミンチにしきる実力があるが、管理者なるものは生まれてこの方目にしたことは無いし、顕現させる方法も無い。

 あなたは出会えさえすれば殺しきれるが、出会えない相手には本当にどうしようもないのだ。

 

「ただそれもあまり気にする必要もないでしょう、飽くまで貴方の世界の管理者であって、こちらの世界……キヴォトスに干渉する必要がないでしょうから」

 

”そうか。それで依頼内容は?”

 

 あなたは疑問を口にする。

 あなたが来た意味、これから何をすればいいと。

 それらの疑問をスーツの女が答えていく。

 

「君を呼んだ理由は、そうだね。可能性の模索、というべきか」

 

”可能性の模索っつったってな……”

 

「私も途中で責任を放棄する真似はしたくなかったんだけれど……でも、それ以上に私自身がもう限界みたいなんだ」

 

「ええ、恐らく色彩の嚮導者となり他の世界線に乗り込んだ際に多くの傷を受けたのも原因の一つでしょう」

 

”だから代役として私が呼ばれた、と。具体的には何をすればいい”

 

「君には先生として生徒を守り、そして導いてあげてほしい」

 

「それと、望まれない結果、来る終焉、捻じれ歪んだ終着点を回避してほしいのです」

 

 あなたはなるほど、と一言いい少し考え込んだ。

 が、考えれば考えるほど一つの結論にたどり着く。

 

”それ、俺じゃないほうが良くないか”

 

 そう、あなたは基本的に暴力以外の解決は好まない。理由は単純、他の手段が面倒だからだ。

 弁を弄するより、策を講じるより、何よりも拳や武器を突き出して魔法を行使する方が手数が少なく手早く済むためだ。

 あなたは階層の守り人を探すのが面倒という理由でメテオを落とす。周囲に同業者がいようとも。

 そして強い使命感も責任感もない。まだあなたがノースティリスに来て間もない頃、あなたの行動の如何によって戦争が起きようともあなたは気にすることすらしなかった。

 あなたはあなたの目的のために動いた結果、それがうまく働いただけである。

 

 そういったことをあなたは自覚しているため、その先生という役職には不適格ではないかと指摘した。

 

「だからこその可能性なんだ、君と私では何もかもが違う。性格に関しては真反対と言っていいほどだ。そういった要因が何を生むのか、私は知りたい。今までやってきたことは正しかったのか、それとも間違ってるのか」

 

”つまり俺は試金石ってことか。だが何も回答ってのは一つだけじゃない。あんたが何をやってきたかは知らんが、そのやり方だって間違ってるとは言えないはずだ”

 

「そうだといいんだけどね……でも私は失敗を重ねすぎた、何度も繰り返した結果がこの様だ。泣きたくなってくるよ」

 

 そう言って彼女は笑っているが、自己に対する嫌悪感やら罪悪感を滲ませているのを犇々と感じる。

 たがあなたの様な廃人は基本的にはろくでなしなので特になにか思うところもなかった。

 

”あっそ、そりゃドンマイだったな。とりあえず依頼に関しては了解した”

 

「あ、ただそれをするのに3つ程約束してほしいんだ」

 

 そういってスーツの女は3本指を立てる。

 

「1つ、生徒には手を出さないでほしいんだ。その生徒がどれほど道を外した子であっても君だけは手を差し伸べて味方であってほしい」

 

 指を1つ折り曲げた。

 

「2つ、生徒達の自主性を重んじてあげてほしい。ただ、その子だけではどうしようも無くなった時は君が手を貸してより良い方向に導いてあげて」

 

 2つ目の指を折り曲げた。

 ここで雰囲気が変わる。その女の表情は至って穏やかだが、その目からは限界まで煮詰まった殺意が垣間見える。

 

「3つ、生徒達の舞台に土足で踏み込むような無粋な大人は絶対に許さないこと。恩赦や慈悲を与える必要はないよ。あ、ただ排除するというのなら教育上宜しく無いから生徒の見えない所で、ね」

 

 最後の指を折り曲げたとき、力み過ぎて爪が掌に食い込んでおり血が滲んできてる。

 

”どんだけ煮え湯を飲まされてきたんだあんたは……”

 

 あなたは軽く引いた。

 

「約束を守ってくれるなら、君専用に調整した大人のカードをあげる。限定的な奇跡の使用。君にわかりやすく言うのであれば願いの杖の発展型だと思ってくれればいい」

 

”……願いの上位互換か……すさまじいな”

 

 願いの魔法も万能ではあるが、その効果はどうしてもかなり限定された個人規模で収まってしまう。ただこのカードを使えば、恐らく特別品質のアイテムであろうと問答無用で生み出せるだろうし、相手に死を問答無用で押し付けることもできる。ならく産の魔物でさえ仲間として呼び込むことも可能だろう。

 

「元々私のカードだったんだけど、名義変更しておくからここぞという時に使うように、いいね?」

 

”いいのか? 俺が約束を違えない保証はないぞ”

 

「本当は守って欲しいんだけど、君をこちらに呼び込むために力を使ってしまって私にはもう差し出せるものがなくてね。持ってた所で無用の長物なんだ」

 

”…………そうかい。まあ貰った以上できる限りは守るさ”

 

「うん、ありがとう」

 

「では次は私から」

 

 制服の女が手を挙げる。スーツ女もあなたからすれば結構な難題ではあるが、この女はまた別の厄介事のような気がしてならない。

 

「現状、このキヴォトスには5つ分岐点があります。アビドス対策委員会、時計じかけの花のパヴァーヌ、エデン条約、カルバノグの兎、百花繚乱。以上の5つです」

 

 あなたの脳裏に映像が巡る。

 片目を包帯で覆った少女。

 巨大な機械を操る赤目の少女。

 自身の血か返り血で濡れた少女達。

 胸を抑え大粒の涙を零す少女。

 あなたはそれで動揺することはない。よくあること、とは言わないが怪電波や毒電波を受信することがあなたにとってそう珍しくはなかった。

 

「そのどれか一つでも結果が望まれぬものであれば、その時点でキヴォトスの滅びが確定します」

 

 あなたは苦虫を潰したような顔になった。

 声には出してないがその表情には、クソ面倒だと書かれてる。

 

「手段は問いません、過程も関係ありません、ですが生徒達の犠牲は一人も出さずにこれらの分岐点を通過する事が最低条件となります」

 

 これを聞いた貴方は”(正直埋まってたほうが良かったかもしれん)”と考え直してたところだった。

 

「バットエンドは論外、ビターエンドは以ての外、ノーマルエンドですら足りずトゥルーエンドではあと一歩届かない」

 

 あなたは片手で顔を覆い隠した。

 

「所謂ハッピーエンドでなければ、それら全ては望まれぬ結果となります」

 

 そのまま空を仰ぎ見た。

 

「このキヴォトスは一見なにもないように見せかけて、その実薄氷の上で成り立っております」

 

”ってことはだ、それらの攻略にはある程度の制限を受ける訳か”

 

 ハッピーエンドとなると下手な行動ができなくなる。どういった行動が修正不可能な結果を残すか分からないためだ。

 スーツ女の行動をある程度模倣するのが安定択のように見えるが、それはこいつらが望むものでもないだろう。

 ある程度アドリブを利かせる余地を持たせ、複数の策を同時に巡らせ、それらが失敗しても修正可能な範囲で済むように抑える。大きな失敗だとしてもあなたの個としての力で無理やり踏み倒す。

 

”……面倒くせぇー”

 

「はは……まあ……うん」

 

 どちらも苦笑いを浮かべるばかりで、否定する言葉を持ってこない。ということはそれ相応の難易度だということなのだろう。

 ”(今からでも入れる墓穴はあったかな)”と思考を巡らせ始める。

 

「もちろん私からも報酬を出しましょう、とはいえ現状私達はこのような状態なので前払いのみとなってしまいますが」

 

 提示されたものは3つ。

 超法規的な権限を持つ連邦捜査部顧問としての立場。

 ハッキングから戦闘指揮までこなせる超高性能AI搭載のタブレット。

 リソースさえ注いでしまえばあらゆる物質を生成可能なクラフトチェンバー。

 

”とはえい実際の進行を見てみないとできるとは言い難いな”

 

「一筋の可能性さえ見つけてくれれば良いのです。最初から完璧を求めては立ち行きいかなくなりますよ」

 

”……リロードしろってのか”

 

 あなたは肺に詰まった息を一度吐き出し、覚悟を決めた。

 

”いいさ、分かった。どうせ暇だったんでな、やるだけやってやるよ”

 

 二人は安堵したように声を漏らす。

 

「生徒達を、よろしくお願いします」

「捻じれて歪んだ終着点とはまた別の結果を……どうか、よろしくお願いします」

*1
エーテル病によって装備部位が消失しないため

*2
速い、硬い、即死の三拍子揃った最強の裏ボス。初手HPとMPを1にしてダメージ無効を貫通する即死を放つ。近接ではカウンターで即死を放ち魔法は耐性の影響でほとんど削れない。その上与えられるダメージにも上限がある




結局チュートリアルにすら行かんかったね。
ちなスーツ姿の女のモデルはよわ先。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。