目指せカムラの暴風   作:零課

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多分ギルドにとっても色々とアマツを思い浮かべていそうですよねあれ。


百竜夜行

 「いよいよ・・・ね」

 

 

 「既に第一から第三砦では戦いが始まっている。けど基本は里守りは被害を出さないように遠距離から消耗をさせるように注力しているようだ」

 

 

 「うん。ここからでも聞こえるし、みんな無事だといいけど・・・」

 

 

 始まった百竜夜行。砦の外も、そしてモンスターを誘導、迎撃する場所も里のみんなが連携して行うまさしく総力戦。

 

 

 それぞれフゲンおじいちゃん。ウツシ教官、ヒノエ、ミノト姉さんらが陣頭指揮をとって三つの関門を守りつつ削り、そのトドメかつ最終防護壁が私のいる場所だ。

 

 

 「きっと問題ない。アイツラのことだぜ? 逆にボコボコのヘロヘロだよ」

 

 

 「それで済むのならいいけど・・・近づいている気配はするしねえ・・・フユリ。用意はできているの?」

 

 

 「もっちろん。いやーいい飯を用意できたんで大量における。掃除はちと面倒だが」

 

 

 「それくらいで済むほうがよっぽどいいわよ。む・・・来たわね。戦闘用意!!」

 

 

 指示を飛ばし、周辺にバリスタ、大砲、速射砲に弾丸を装填している里守りのみなさんもすぐに台座について戦闘用意。

 

 

 フユリの友達のアイルー隊とマツカゼの姉弟たちの連合部隊も急いでバリスタやスイッチの前に張り付く。

 

 

 段々と足音が近くなり、見えてくる。フルフル、アケノシルム、リオレイアにロアルドロス。今まで私達が倒してきた大型モンスターが、一匹だけでも厄介だったのが数匹も。しかも後ろからまだやって来る気配が有る。

 

 

 普通にゾットする光景だが、それでもここは最終関門。そこに来るまでの数々の防衛設備の火力にさらされているせいで消耗が私でも見て取れるほどで、これは大分ありがたい。

 

 

 「バリスタ隊は空を飛んでいる連中を撃ち落とせ! 大砲隊は柵を超えてきた連中とバリスタ隊が叩き落としてきた相手ごと吹っ飛ばす。速射砲はそれらのリロードの合間を補助するように! 私達も撃つわよフユリ!」

 

 

 「アイアイサー!」

 

 

 ここからは私達の仕事。思い切りこの消耗しきった奴らにとどめを刺して、里を守り切るのだ。

 

 

 前もって置いておいた竹の中に満載した爆弾が爆発し、近くにおいておいた大タル爆弾Gにも誘爆させてアオアシラとフルフルをふっ飛ばし、閃光玉でアケノシルムとリオレイアを落としてから大砲の連発がその翼を焼け付かせてトドメに速射砲で放たれるボウガンの弾丸が射抜いていく。

 

 

 「オトモ撃龍槍。発射ー!」

 

 

 そして、フユリの友達のアイルー隊で放つ、なんとミニミニサイズとはいえモンスターを転ばせるほどの火力を持つ小型アイルー式撃龍槍が放たれてロアルドロスを押し返す。

 

 

 「そのままそのまま! マツカゼ、撃龍槍発射! その間にこっちも仕込みをばらまくぞー!」

 

 

 「わふぅ!」

 

 

 まだまだやってくるモンスターの群れが里守りの砲撃陣地を狙っていくも、そこには撃龍槍が設置されているのですぐさまスイッチを入れて本来は古龍や超大型モンスター相手にぶつける殺意の巨大な槍がモンスターたちをふっ飛ばして、エグリ、一撃で命を奪い取る。

 

 

 フユリもその間に仕込み。もとい育てていたものを砦のモンスターの通路や歩く場所にばらまいていく。

 

 

 「そらそらそら~極悪マキムシ地獄! 歩けると思うなよー?」

 

 

 マキムシ。猟具生物の中でも基本は一つの枝に集団で生活している虫なのだが、その甲殻がとにかく頑丈、そして小さく鋭く、マキビシのような形をしている。

 

 

 それを刺激を与えると棘が上に向くようにして自分等を食べさせないようにするのだけど、この棘はモンスターの甲殻の隙間からなら古龍でもチクリと、しかも針の細部のせいかすごく痛く思わずのけぞったりたたらを踏むほど。

 

 

 この猟具生物をギルドから百竜夜行の間はと許可をもらって私の畑の一部で養殖。捕獲していたのを保管していたのだけどこれをフユリが里守りの砲手がいるところにも撒いていくのでへたに動けば刺さる、里守りを倒そうとしても刺さる。動かなければ後ろから押し出されるか踏み潰されるという状況。

 

 

 「第一砦のほうは既にモンスターが全部通り過ぎたようね。そのメンバーのウチ元気な人達をこっちに回すようお願い。それとあっちで討伐できたモンスターの死骸も確保!」

 

 

 「「「おうよ!」」」

 

 

 「だんだん相手の方もここで使えている分第三砦での消耗する時間が増えているし、こっちもフユリのマキムシとみんなのお陰でダメージも与えている。押し込んでしまいましょう!」

 

 

 とにかく今はひたすらに消耗しきった奴らを倒しまくる。倒して倒して、とにかく凌ぐ。そうする間に回復したメンバーと残った設備で私達が倒しきればいいのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅううー・・・・」

 

 

 「お、終わったかあー・・・いんやーすごいなあ・・・そこらの下位ハンターだと数年分か十年分くらいは大型を倒したんじゃないか・・・?」

 

 

 「多分そうでしょうねえ~あー・・・どうにか乗り切った・・・」

 

 

 一昼夜が明けて。ようやく最後のリオレイアを倒して百竜夜行をひとまず乗り切った。設備も最終砦の前らへんはボロボロだし、モンスターの死骸や血肉、鱗や毛皮の破片で絨毯ができているように思えるほど。

 

 

 ぶっ続け、休憩もトイレも食事も十秒。長くても1分ちょいで済ませつつの戦いを終えてぐったりと速射砲の側でへたり込む。

 

 

 数十匹、小型モンスターも含めれば数百、千に行くほどは倒したんじゃないかと思うほどの数を里のみんなで仕留めた。カムラの努力の成果とギルドの支援のおかげ。

 

 

 「この成果の内何割かがギルドに行くんだっけ? ふへぇー次回の支援も貰えるかなあー・・・あー・・・ボコボコーラおいしー」

 

 

 「ちゃんと守りきれたし、貰えると思いましょうよーほはー・・・お茶が美味し」

 

 

 そして、これだけの大規模な砦、その防衛設備を成り立たせる物量、弾薬、それらを支援してくれているギルドにもこの大量に討伐したモンスター、その素材が何割か送られる。百竜夜行という獣害を起こすモンスターの肉体の調査に、シンプルに支援をする代わりにその倒したモンスターの素材を支援物資の御代替わりにもらうということ。

 

 

 あちらも大金と資材を無償で放り投げられるわけではない。見返りとして、正当な報酬としてこの百竜夜行は良くも悪くもギルドにとっては一気にモンスターの素材が手に入る稼ぎどきと言えるのかも。

 

 

 確か、砂漠の街では砂漠の中に済む古龍が出るとその鉱石を求めて腕自慢たちが採掘と討伐に向かうとか? カムラの場合は希少ではないけど汎用性や物流に乗せやすい商品を手に入れるにもちょうどいい機会というべきか。

 

 

 「ま。無事に一幕乗り切れたし、まだまだ百竜夜行は続くみたいだし、私達も最終チェックをシてから戻りましょうよ」

 

 

 「そうだなー」

 

 

 とにかく、ギルドが支援した成果として百竜夜行を迎撃成功できた。ひとまず投資する対象として、カムラの里から住人を避難させずに問題ないと見てもらえるはず。

 

 

 「あ、シオンさーん。お疲れ様ー!」

 

 

 「あ、ヨモギちゃん。イオリ君」

 

 

 「一旦落ち着いたみたいですね」

 

 

 「そのようね。いやー思ったよりもきつかったけど、最後の砦、後半の機能も使わずに済んで良かったわー・・・」

 

 

 「あ、そうそう。里長がキャンプに集まれって」

 

 

 チェックをしているとヨモギちゃんとイオリ君が武器を担ぎながら歩いてくる。あの子達も支援として動いてくれていて、しかもウツシ教官曰く筋が良いとのこと。いずれハンターになるのかちょっと気になる。私の妹、弟弟子になるかもしれないし。

 

 

 しかし、キャンプ?

 

 

 「うーん。怪我人が出たんですか?」

 

 

 「あ、いえ。そういうわけじゃなくて一度それぞれの被害状況を聞いたうえでどの程度守りを残すかどうかを話し合いたいってことらしく」

 

 

 「それで最終砦を守り抜いたシオンさんも準備ができたら来てねって!」

 

 

 「あ。それなら一安心。ふふふ。じゃあ早速行きましょう・・・!」

 

 

 それは、砦の入口からふと現れた。紫と金色、黒の鎧を纏う武者鎧をまとうような獣竜種。紫色の鬼火をまといつつアオアシラを咥えてこちらを見るや、それをまるで玩具のように軽々と放り投げてくる。

 

 

 そのアオアシラはあのモンスターの爪? もだがそれ以外にも爆発と思われるダメージを負っているのがよく分かる。こいつがしたというのか。

 

 

 「っっ!! 下がって!」

 

 

 「「!!」」

 

 

 二人も構えて臨戦態勢を取るけど、明らかに消耗している様子がない大型の獣竜種。しかも、私が見たことのない・・・いや、確か絵巻物に書いてあったような・・・?

 

 

 下手に相手のこともわからないうちにぶつかるのは、まだハンターとして未熟で肉体も出来上がっていないこの子達を守りながら戦うのは危険すぎる。

 

 

 「おいおい。姐さん。流石に暴れるわけじゃねえよな?」

 

 

 「まさか・・・消耗もありますけど・・里長の指示もない」

 

 

 「なら、逃げましょう!」

 

 

 「うん!」

 

 

 「フユリ、マツカゼ! 二人のそばについて避難場所の穴に!」

 

 

 それにシンプルに疲れているのだ。最後の砦を放棄するのかといえば心苦しいが、かといって今は勝てる見込みと可能性が少ない。数はこっちが上だけどさっきまで消耗していたモンスターを叩いていた私が逆に消耗した状態で万全のモンスターに挑む。

 

 

 危険すぎて今は一度逃げるが勝ち。オトモたちにヨモギ、イオリたちを引っ張らせて、あるいは背中に乗せて急いで人が通れるだけのサイズにしている土穴に走らせる。

 

 

 「わぁー! 追っかけてきた!」

 

 

 当然、食いやすい餌がいるとあちらも追いかけてくるけどこっちも百竜夜行の備えの残り。たまたま残っていた最後の一個を、閃光玉を放り投げていく。

 

 

 眩しい光がその鬼火をまとうモンスターの目をくらませている間に急いで私も翔蟲で土穴に飛び込んで様子を見る。

 

 

 「ーーーーー!!!」

 

 

 当然というか、モンスターは私達を食おうと入り切らないほどの狭い穴に身を突っ込もうとしていくけど、もとは土穴。しかも大きな岸壁にほっていたものだ。壊れるわけもこじ開けられるわけもなし。

 

 

 しばらくもがいた後に、先程のアオアシラが逃げようとしたのを追いかけていったのか私達の前から消えてしまい、とりあえず一息つくも、里長の方に会いつつ情報をもらうことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅむ。あいつがでたか・・シオンたちが出会ったモンスターは怨虎竜マガイマガド。百竜夜行と共に現れ、その群れを食う化け物だ」

 

 

 「は、はい・・・!? あれを・・・食う・・・!!?」

 

 

 いやいやいや。それはもはや古龍級じゃないですか。小さな村とはいえ最新鋭、最高峰の製鉄技術を持つカムラの武装と砦で対処がようやくなあの百竜夜行。それを食べるために現れるって。

 

 

 「え、ええ。あの群れを? いや、すごい・・・逃げて正解だったね。イオリ君」

 

 

 「うん。僕らじゃ絶対に太刀打ちできなかったよ・・・」

 

 

 「五十年前。カムラの里は百竜夜行に加えて怨虎竜にまで襲われて被害はより大きなものへとなってしまった」

 

 

 「そいつが今回も来たってことか・・・増援のハンターを呼ぶべきじゃないかい? フゲン里長」

 

 

 フユリの言うとおりでしょうね。如何せん。相手がまさかのあの群れを餌場にして現れるとは。いやこれをするって確かオストガロアという超大型古龍と、イビルジョー、後イャンガルルガとかくらいじゃないでしょうか。

 

 

 「それは無論行う。が、今の我々にはフユリ、お前の主という頼もしいハンターがいる。シオン。お前に怨虎竜の狩猟を任せたい。里の危機を、お前が救ってくれないか」

 

 

 そういって私の肩を掴み、まっすぐに見つめてくるフゲンおじいちゃん。そういうのは、モンジュさんに託すべきだと思うけど・・・でも、多分これを見据えて私は鍛えられた部分もあるんだろうし・・・うん。

 

 

 「わかりました。里長フゲン。その依頼、カムラのハンターとして受諾します」

 

 

 「おう! 頼もしい限りよ!」

 

 

 「そ、それなら私も狩猟手伝うよ!」

 

 

 「僕も・・・! どこまでできるか分からないけど・・・でも、できる限り」

 

 

 ヨモギちゃんにイオリ君もあれを見て、そしてマガイマガドを知ったうえでそれを選べるのはすごい胆力。だけど、それはしなくていい。

 

 

 「うふふ。頼もしい援軍。だけど、あなた達はそれを無理にしないでいいですよ。今はできることをコツコツと。ね」

 

 

 「その通りよ。ヨモギ、イオリ。その心構えは大事だ。しかし、前に出て狩猟をするのみがこの里を守る手段ではない。お前さん等ができること、得意なことでシオンを、里を支えるのも大事であり必要だ。だから今は狩猟に参加すると武器を構え、鍛えることのみに専心せずに、日々を善く生きよ。

 

 

 さぁて。他の砦の方からもマガイマガドがいなくなった報告を受けているし、討伐したモンスターの死骸、素材もわんさか手にできた。これらで資材の補給と修繕に当てていくぞ。が・・・その前に今は休むために里に帰るぞ!」

 

 

 里のために狩猟以外でどうすればいいのかと答えを考えているヨモギちゃんとイオリ君だけどひとまず今は疲れを抜くために帰りましょうかということでみんなで仲良く無事に帰宅。

 

 

 けが人は出たけどみんな元気で、何より死者が出ないのが一番。これなら、次の百竜夜行もきっといけるはず。




 百竜夜行をビュッフェ方式にするとかほんとまがにゃんイカれているなあー
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