下手すればそこにティガレックスとかイビルジョーとかもやってきかねないというね。
「さてさて。シオン。ここしばらくまたマガイマガドは出ていない。が。ギルドの観測によるとそれと思われるやつは傷が回復している。
マガイマガドは50年前に儂らが戦ったときもそうだが、血肉、骨を貪れる限り傷がいえ、気力も途切れん。百竜夜行という餌にまみれた状況ならなおさらな」
朝方いきなりハモンさんに叩き起こされて寝ぼけた顔のまま急いで飯を食いながらの説明を受けている。
で、まあ聞けばそりゃあマガイマガドのヤバいことヤバいこと。今はこの里。そして遠く離れた一地域のみにしかいないある意味この地域固有種の牙竜種だけど、百竜夜行に合わせてどこかに動いて増えかねないというのは本当にやばい話。
しかもまあ、人里めがけて襲い来る百竜夜行といっしょに動くせいでそもそもの対処も難しい。
下手な古龍襲来よりもこの百竜夜行とマガイマガドのコンボのヤバさに頭が痛くなる。眠気は飛ぶけどこういう形の目覚ましは勘弁ですよ。
「だが、お前さんが色々なモンスターを狩猟してくれたおかげでこのマガイマガドを百竜夜行からそらして誘導できるからくりを出来そうなのだが・・・一つ素材が足りない。それと、罠を多く欲しい」
「ほほう。その狩猟依頼です? 私のハンターランクで間に合えるモンスターなら挑みに行くけども」
ふむ。流石ハモンさん。確か、元ガンナーだったそうだし色々と薬剤の調合とかも合わせてマガイマガドにあの大量の百竜夜行のモンスター、つまりは餌よりもより良いものと思わせるものと認識させて誘引させるのかな?
で、ハンターの私にそのからくりの素材調達と。どんなモンスターだろう?
「いや、交易のあのロンディーネとか言ったか。あいつからあるものを取引してほしいのだ。品はこれだが。さ、行って来い」
メモ用紙を渡してからすぐに私の家から追い出していくハモンさん。からのフユリにオメーも出て行けと言われて握り飯を渡して二人揃って家から追い出される。
うーん。メモもあるし、急いでいきますかあ。あのマガイマガド騒動から色々狩猟もしてきて交易もお金もあるし。
「ふむふむ。ドスゲネポスの麻痺牙に、ヒプノックの催眠液が詰まった睡眠袋がいくつか欲しいと。それ以外にもシビレ罠に落とし穴多数。そして各種生肉と・・・
大口の仕事となるし、なるほどこれは色々と必要なのも納得だ! 任せ給えシオン殿! 全部そろえて見せる!」
「助かります。マガイマガド討伐に必要だそうでして。まあ、どう扱うかは不明ですけどね」
早速交易所でロンディーネさんに頼めばすぐにでも用意すると頼もしく胸を叩いて、ぷるんとたわわな果実が揺れる・・・おっと・・・思わずオッキしちゃう。
にしても、交易で頼むものとはと思いましたけどなるほど私達の地域や狩猟許可範囲ではいないモンスターの素材は交易するしか無い。
あと、その素材。ヒプノックやドスゲネポスの毒。これらはマガイマガドも食べた経験がなさそう。つまりはまあ、食べる際にその毒などの耐性がない可能性が高いから肉や罠に仕込めばだいぶ時間を稼げるかもしれないってのは私でもわかる。
あれだけいろんなモンスを食いまくるモンスター。しかもまあ無尽蔵の食欲と、多分食べた先からエネルギーや鬼火に変換しているであろうやつだから、ほんと地元の毒とかだと効きが悪いと考えるのは妥当。
「私もスラッシュアックスとかを自衛で学んでいるが、ああいう武器の複雑な機構を作り出し、その上で頑丈に扱えるようにしている工房の技士たちには頭が上がらない。
その中でも製鉄に秀でたカムラの鍛冶師でもあるハモン殿の作るからくり・・・実に興味があるし、特有のモンスターを誘引するからくり。自衛にもだが、村を守るためにも良さそうだしぜひ学びたいものだ」
「うーん・・・一応、聞いては見ますよ。そういう技術でその地域の主のモンスターたちを人里から遠ざけられる技術が確立できればいいですし」
「おお、頼めるか友よ! カムラ随一のハンターの君なら助かるよ。私の方は交易で成果を出していくとするので、ぜひ!」
ロンディーネさんが熱い握手と熱意を見せてくれるのが嬉しく私もほほえみ返し、手を握り返す。
この技術とかが軽いものなら、ぜひ私も広めたいですしね。
「感謝します。シオンさん。私も姉さまも鍛えるべきということで動いているのですが・・・その、教官に見つかればハンター兼業をさせられそうでして・・・」
「教官。優しいけどスパルタですしねー。うふふふ。まずは軽めに。と?」
「そうです。そして、ハモン殿の作ってくれたこのからくりがすごく良さそうでして」
狩猟依頼をこなし、今は百竜夜行のための砦も補強が終わり、交易で頼んだ品々が届くまでは暇になるかも。
と思っていたら今日の依頼を終えたあとに雑用を手伝っていたミノト姉さんと一緒にからくりヨツミワドウを相手にランスと双剣の鍛錬。
ヒノエ姉さんもミノト姉さんもすごく強い。だけどまだスタミナがない。ハンターには優になれるけどもう少し鍛えないといけないということでふたりとも鍛錬をしようとしている。らしい?
で、ヒノエ姉さんは定期的にウツシ教官から指導を受けているけど基本インドア派なミノト姉さんはコツコツじっくりとやりたいけどいきなり厳しくバシバシ動かしまくるウツシ教官は怖いらしい。
「ほっ! でも、ミノト姉さんの才能はみんなスゴイと言っているし、いいと思うんですけどねー?」
「いやいや! ヒノエ姉さまと一緒に訓練を受けるときもへとへとなのにまだまださせようとするんですよ!? 持たないです! ふっ!
だからヒノエ姉さまの訓練が休みのときはあなたと一緒にしたほうがいいかなって」
からくりヨツミワドウの四股踏みをガードカウンターでランスを穿ちつつ色々私の見ていないところで頑張っているところがわかる。
ただ、うん。ほんと私から見てもすごい才能の持ち主だし、そりゃあ教官もワクワクするよね。
あの姉妹二人揃って鍛えればすぐにでもマスターランク級にも問題なくいけるという怪物だし。
あれ? 私いらなくね?
「ふふふ。でも、嬉しいな。ミノト姉さんともこうしてよく一緒に遊んだし、また忙しい中でもこう出来て」
「・・・そうですね。今は百竜夜行のさなか。こういう狩猟の修行や用意などで日々忙しいですが。いつかそれも終わって穏やかに。この前のように食事会とかでもできるようになれば嬉しいです」
「そのためにはマガイマガドをまず・・・だけど、それで終わるのかな?」
今マガイマガド対策に重点も置いているけど、私が聞く限りだとあれ百竜夜行の獣を狩るけど、百竜夜行を起こしているという話はフゲンおじいちゃんたちも言っていないからなあ。
問題の元凶は一体なんだろうか? 今目の前にある百竜夜行とマガイマガドという災禍にも対応できる目処が立ちつつある中だからだろうけど、ちょこちょここのことが疑問に浮かぶことがふえた。
「わかりません。ただ、少なくても今はマガイマガドと百竜夜行。その二つを越えてからでないとその先への動きも考えられません。そして、その希望はシオンさん。アナタに託しています。
私も姉さまも、あなたが無事にマガイマガド討伐をできることを願っています。だから、どうか強くあり続けてください」
「はい。そこはもちろん。姉さん!」
「ええ。はぁっ!」
ランスチャージと螺旋斬で合わせてからくりヨツミワドウに攻撃を仕掛けて成功した所で今日の練習は終了。私がこのあとウツシ教官と話をしている間にミノト姉さんはこっそりと戻りうまい具合にさらなる練習に巻き込まれることを防ぎましたとさ。
とりあえず、今は鍛えつつ百竜夜行に備えていくだけ。マガイマガドに備えて防具も。やれることをやるだけよね。
次回はマガイマガドでーす。