守月スズミへ愛を込めて   作:Another2

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100割捏造マシーン

【急募】原作でのスズミの出番【出演】


幸せへの第一歩

 先生の周りには沢山の生徒が集まる、私が通うトリニティは勿論、ミレニアムやゲヘナ、他にも様々な学校から毎日生徒が出入りする、それもシャーレの当番制度というものがあり一度に沢山の生徒が押し掛けない様にするといった処置らしい。

 最初は正義実現委員会のハスミさんやゲヘナの風紀委員会のチナツさん、ミレニアムのセミナーのユウカさんと私の四人だけだった筈ですが、いつの間にか担当する人数が増えた様で、私自身自警団としての活動がある為に際立って先生とお会いする事が出来ていないのですが、最近の先生の周りにいる生徒はなんと言うかこう、凄くキラキラしていて、オシャレだと思います。

 先生もそういう子の方が好みなのでしょうか、私は……自分でも面白味のない自覚がありますし、そういうオシャレには興味がない……訳ではないのですけど!その、恥ずかしいと言いますか、本当に自分に似合うのかどうかが分かりかねると言いますか……それに、昔のこともありますからね……とにかく!これを機に私も少しは身嗜みに気を向けてみるのもいいのかもしれません。

 

「とは意気込んでみたは良いものの……何をどうすれば良いのか分かりかねますね……」

 

 オシャレをすると言っても私自身そういうのは最低限しかしてこなかったと言うのと、気をかけている暇がなかった為にこういうことには疎いのです、だからどういったものが良いのか、先生の好みに合わせるのが良いのか、それとも普段とは違う物が良いのか……うぅん……ダメだ、さっぱり分からない、こういうのはレイサさんの方が詳しいんでしょうか……オシャレって、難しいですね。

 

 結局あれから私は何も買えずに店を出てしまった、私自身、ああいったキラキラした物は似合わないと思いますし、何よりその……少し恥ずかしいです。

 

『“スズミはさ、もうちょっと自分に正直になっても良いと思うんだよね”』

 

『はぁ、嘘をついてるつもりはありませんが……』

 

『“嘘つきって言ってる訳じゃないさ、なんて言えば良いんだろう、生真面目って言えば良いかな、過去に囚われすぎているってわけじゃないんだけどね。スズミはさ、学園生活の中で自警団として活動して贖罪するのを旨とし過ぎてて学生の本懐を忘れてる節がある様に思えるんだ”』

 

『……否定はしませんがそれが私の学生として、ひいては自警団としての──』

 

『“うん、それがスズミにとってとても大事な事なのは分かってるよ、でも()()に縛られちゃいけないよ、今のスズミはさ、もうトリニティの生徒であり自警団の一員でもある、でもそれ以前にスズミは今を生きる女子高生なんだ。学生っていうのはね、人生の中で1番楽しい時期でなんでも出来る時期なんだ、皆には長生きしてほしいし少なくとも私より後に死ぬかもしれないんだけど、それでも人生の総合的な長さから見れば学生の時期なんてあっという間さ”』

 

『……そう言う物でしょうか』

 

『“そう言う物だよ、人生なんて一回こっきりなんだ、もっと欲張って良いんだよ、スズミは特にね”』

 

──もっと、欲張る……ですか、簡単に言ってくれますよね、昔の私に比べて今の私は既に満たされていると言うのに、それでもなおあの人は足りないと言うのですから、どちらが欲張りなのでしょうか。

 だけど、いつまでも過去に囚われていても前進はしない、ならば今日だけ……ほんの少しだけ自分の欲に従ってみましょう。

 

「あの、此方の商品、貰えますか」

 

「〇〇円のお買い上げとなります、ありがとうございましたー」

 

 明日は久しぶりの当番の日、大丈夫、あの時の日々に比べればなんでも無い、苦しくもなんとも無いはずだ。

 

“やぁ、スズミ、今日はよろしくね”

 

「はい先生、本日はよろしくお願いします」

 

“……リボン、似合ってるよ”

 

「ッ‼︎あ、ありがとう、ございます……」

 

 あの日私が勇気を出して買ったのはなんの変哲のないリボン、それでも以前までの私なら似合わないのではと思い手が伸びなかった代物。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()、それが以前先生が私にくれた言葉であり、私に勇気をくれました。

 周りの人から見ればとても小さな前進かもしれません、でもこの小さな前進の為に私はとても勇気を振り絞りました、初めて訓練を行った時より緊張したかもしれません。

 

──気付かれなかったらどうしようかと思った。

 

──似合ってないと思われたらどうしようかと思いました。

 

 でも、先生はすぐに気づいて似合ってると言ってくれました、その一言で私の心がどれだけ救われたのか、貴方は知らないのでしょう。

 だから、もう少しだけ、ほんのちょっぴりの勇気を、もう一度──。

 

「あ、あの、先生」

 

“どうしたの?スズミ”

 

「あの、その……えぇと」

 

 言葉が詰まる、息が苦しい、ちょっとだけ、ほんの少しの言葉を出すのにさえ私は──

 

──何故お前だけが。

 

──何故のうのうと生きていれる。

 

 駄目だ、最近は聴こえなくなっていた筈の幻聴が脳内でこだまする、視界を埋め尽くすようにあの子達が──。

 

“スズミ、落ち着いて、ゆっくりと、深呼吸して、大丈夫だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ね?”

 

──あぁ、本当にこの人は、本当に……

 

 先生に言われた通り一度深呼吸を挟んで、喉まででかかった言葉を改めて発言する、今も尚こだまする幻聴を張り切って、私は──。

 

「あの、先生、もし、先生さえよろしければ、この後、お出掛けでも、しませんか?」

 

“いいね、どこに出掛ける?”

 

「最近、身嗜みに気を遣ってみることにしたんです、ですがその、私はそう言うのに詳しくないので……先生と一緒なら私も勇気が出ますから……」

 

“勿論良いよ、スズミも年頃の子だもの、今ある学生生活を楽しまないとね”

 

……言えた、ちゃんと言葉にして伝えれた、その現実に私は心の底から安堵する。

 

“スズミ”

 

「は、はい!」

 

“よく頑張ったね”

 

──本当にこの人はこういうことをすんなりと言う。

 

 先生は()()()()()()悪い大人ではありません、それは今までの事で分かりきっています、でも……

 

「先生は狡い大人です……」

 

 結局終始先生の掌の上だった訳で、だけど先生に救われたのも事実で、嬉しい反面モヤモヤとした心残りだけが私に残った、だけど不愉快な感じはしませんでした。

 

……え?この後の買い物の話ですか?それは……私と先生の二人だけの内緒という事で。




スズミの過去については脳内で思い描いて、これいいなと思いながら書き殴ったら思いの外地獄になりました。

弊作のスズミと原作スズミはなんの関わりもありません。
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