妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第18話 仏閣巡り

 京都の地方テレビ局である京都放送で、るりとわかばの二人が京都の街並みを散歩する番組をする。

 

 しかし今は梅雨のシーズンで、雨の中を散歩するのは濡れるのではないかという話もあったが、ディレクターによってあえて雨の中で散歩をすることで晴れの日とは違う景色が見れるのではないかということで決行した。

 

 そしてその収録の日、三室戸寺にて散歩をすることとなって撮影を開始する。

 

「るりとわかばの――」

 

「京都の街へでかけよう! 皆さん、こんにちは。常盤わかばと――」

 

「紺野るりでございます。今回お邪魔させていただきますのは、こちらの三室戸寺さんでございます」

 

「ここは梅雨の時期になるとアジサイの花がたくさん咲き、雨の中の散歩コースでも有名なのよ。私もよくここでおじいちゃんとお散歩に行ったわ」

 

「思い出深いところなのでございますね。わたくしも楽しみでございます♪」

 

「そこで……気分転換に浴衣を着てお散歩してみることにしたわ。夏が近いからあえて浴衣にすることでもっと和の空気を味わってもらいたいの」

 

「素晴らしいでございます。では唐傘をさしてお散歩に参りましょう」

 

「さすが大和撫子アイドル……!」

 

 本来は私服で散歩に出かけるはずだったが、最初の放送という事で張り切って浴衣で散歩をするとわかばが案を出した。

 

 るりもその案に賛成で、ディレクターも最初は悩んだが見てみたいという事で採用した経緯がある。

 

 そして二人の浴衣姿はあまりにも美しく、スタッフ全員を魅了していた。

 

 撮影中にも通行人に何度も注目され、浴衣美人がいるということでたくさん客が来たのだ。

 

 だが撮影中という事で邪魔したら悪いという事で、一般客はあえて離れて遠くで見つめることにしていた。

 

 最初の撮影を終えると、お坊さんがやってきて合流する。

 

「これはこれは月光花のお二人様、よくぞ三室戸寺へお越しいただきました。私がこの三室戸寺を案内させていただきます和尚です」

 

「「よろしくおねがいします」」

 

「では最初におすすめのコースへご案成します」

 

 和尚はるりとわかばをおすすめのお散歩コースへ案内し、最初は山門へと向かった。

 

 山門は見上げるほど大きく、わかばは興味津々で山門を見つめていた。

 

 歴史のある木造の門に目を輝かせ、和尚は嬉しそうにわかばを見つめる。

 

 山門を抜けると、今度は道端にたくさんのアジサイが咲き誇り、小粒の雨の中でよりアジサイが映えていた。

 

「アジサイの花道がとても美しいでございますね」

 

「ええ、とても美しいわ」

 

「ではお二人に問題です。アジサイは土の成分によって花の色が変わります。酸性ですと青くなり、アルカリ性ですとピンク色になります。では真ん中である中性になると何色になるでしょうか?」

 

「中性になるとあれね」

 

「そうでございますね。せーの――」

 

「「紫(でございます)!」」

 

「さすが平安館のお嬢さま方、正解です。青とピンクの間の色である紫になるのです。少々簡単すぎましたかな?」

 

「いえ、普通の方ならなかなか気にしないので、新鮮な気持ちで答えられましたでございます」

 

「ははは、さすが平安館のお嬢さまだ。エリートなのに謙虚だね。では次に参りましょう」

 

 和尚はアジサイのクイズを出し、るりとわかばは簡単に答えを当てる。

 

 和尚は平安館の生徒がみんなエリートなのに鼻にかけないところが好きで、よく生徒たちにお散歩をさせていた。

 

 次は石庭へ案内し、日本庭園の美しさをわかばたちは感じる。

 

「ご覧ください、大きな松の木に雨粒が滴って美しい眺めでございます」

 

「この日本は四季折々の景観があって、さまざまな国の人たちを魅了しているのね。私も感動したわ」

 

 雨の中の美しい景色に感動すると、湿気によってわかばのメガネが少し曇り始める。

 

「あら? メガネが少し曇ったわね……」

 

「わかばさん、ハンカチをお貸しするでございます」

 

「すみません紺野先輩、お借りします」

 

 わかばは曇ったメガネをハンカチで拭き、拭き終えたらすぐにるりへと返す。

 

 メガネを拭き終えて何度もスマートフォンで撮影をして美しい景観を残していた。

 

 そしてついに本殿に着き、わかばとるりは本田の賽銭箱に小銭を入れ、静かにお祈りをする。

 

(この世界がいつまでも平和でありますように……)

 

(いつまでも人々が笑顔を忘れませんように……)

 

(彼女たちは邪な気持ちがないな……)

 

 この和尚の正体は実は妖怪で、わかばたちの心が少しだけ読めていた。

 

 純粋で穢れのない祈りを知って安心し、和尚は優しくため息をついて安心していた。

 

 そして最後は花の茶屋でデザートを食べる。

 

 そこにはお寺では珍しくパフェがあり、わかばとるりはパフェをご馳走する。

 

「このブルーペリーとストロベリーはアジサイをイメージしたもので、ここの三室戸寺さんのイメージが明確ですね」

 

「それにこの生クリームもとてもフワフワで美味でございます。これは女の子はとても好みそうでございますね」

 

「ここの抹茶も名産品レベルで美味しいのよ。紺野先輩も飲みましょう」

 

「はい♪」

 

「では抹茶を私がお淹れ致しましょう。これでも元々は茶道を嗜んでいたのですよ」

 

 和尚が自ら抹茶を淹れ、わかばとるりはかしこまった。

 

 しかし和尚は笑顔で見守り『そんなに硬くならないでリラックスなさい』と優しくリラックスをさせる。

 

 抹茶が完成し、わかばは礼をしながら抹茶を飲む。

 

「これは……! まるで千利休さんが淹れた抹茶のようなおいしさ……!」

 

「ではいただきます……本当でございますね……! まるで千利休さんがこちらにいらしているかのような……!」

 

「そう言っていただけて淹れた甲斐があるってものですよ。どうぞもっとゆっくり三室戸寺をご堪能くださいませ」

 

 収録を終えてわかばとるりは個人的に散策し、ディレクターも和尚の人柄にほれ込み、和尚に何度も頭を下げていた。

 

 散策を終えて二人は浴衣のまま事務所へ戻るためにタクシーを利用し、ディレクターたちに挨拶をかわす。

 

「本日はありがとうございました」

 

「いえ、こちらこそ美しいものをありがとう。来週も違う場所で撮影するからよろしくね」

 

「「はい!」」

 

「大和撫子精神か……。私も武士道精神を学び直さないといけないな、彼女たちを見てるとそんな気がするよ」

 

「そうですねディレクター」

 

 スタッフの会話はわかばたちには聞こえなかったが、スタッフたちもわかばたちの大和撫子精神と武士道精神に感化され、日本人の和の心を取り戻すことができた。

 

 タクシーではわかばもるりも三室戸寺で興奮してたのか、疲れて事務所に着くまで眠っていた。

 

 事務所に着いて料金を払い、花柳に仕事が終わったことを報告する。

 

「ふむ、ご苦労であった二人とも」

 

「「ただいま戻りました」」

 

「実は焔間殿がセルフチューブで素晴らしい行動をしていたのだ。春日殿たちも戻ってきたことだ、某も含めて全員で見てみようではないか」

 

 ひめぎくが撮ったセルフチューブの動画は月光花にとって大きなチャンスとなるもので、チャンネル登録者数はうなぎ登りになっていた。

 

 ひめぎくが取った行動とは何なのか、花柳含め月光花メンバーは全員スマートフォンに繋いだテレビに釘付けになっていた。

 

 つづく!

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