新暦2018年の京都、そこは人間だけでなく妖怪とも共存している特別都市。
この黒髪のややおかっぱ頭の女の子は
この
その人妖神社であるはなの家に一人の女の子がやってきた。
それは黒髪ショートで活発そうな女の子、
父方の祖父が囲碁のプロ、母方の祖父が将棋のプロで、とても頭の回転が早いトラブルメーカーだ。
はなとは幼稚園からの幼なじみで、二人が通う平安館大学の付属中学校である平安館女学校中等部に通っている。
はなたちは幼稚園の頃から平安館に通っていて、幼稚園からエスカレーター進学をしている。
ひまわりがはなを見つけると大きな声で挨拶する。
「おはよっ! はな!」
「おはよう、ひまわりちゃん」
「昨日も神事お疲れさま! 今日もまた妖怪たちも増えたね!」
「うん。今日はいつもの天狗のお兄さんから大福を差し入れでもらったんだ。今日も気持ちいい風をありがとうって言ったら、『我々が京都にいられるのも人間たちが仲良くしてくれたおかげだ』って」
「そうなんだ。それといいお知らせがあるよ。あの日本文化大使にも選ばれた
「えっ!? あの花柳小次郎さんが?」
「しかも大和撫子アイドルを募集しているんだとか! 前にあった
「そうなんだ、頑張ってね。ひまわりちゃんならアイドルになれるよ。アイドルが大好きだもんね」
「もちろんだよ! 当然はなも一緒にね!」
「えっ……? ええええええええええっ!?」
ひまわりがアイドルのオーディションがあると話し、はなはひまわりなら本気でアイドルになれると信じていた。
しかしひまわりははなをもアイドルにしようと提案し、はなをオーディションに巻き込もうとしていた。
「善は急げってね! ほらほら! 私について来て!」
「待って! 私はアイドルには――きゃああああああっ!」
ひまわりははなの手を引っ張り、強引にオーディション会場である平安館大学に向かう。
平安館大学は西暦が終わった時代に日本の独自の文化の維持と、日本男児の象徴である武士道精神、日本女性の象徴である大和撫子の心得を現代風にアレンジし、古き良き失われた文化にさせないために創立され、幼稚園から大学まである西の名門校。
男子部の平安館学院と、女子部の平安館女学校と分かれている。
学力はとても高く、部活も武道が盛んで数々の部活が全国で結果を残している。
花柳ははなたちが通う平安館女学校に目を付けた花柳は新たなアイドルプロジェクトのためにこの学校を訪れる。
オーディションは当日受付で、初等部からは7人、中等部からは14人、高等部では8人、大学では27人が集まった。
今時に勿忘草色の着物に群青色の袴と武士のような恰好をした黒髪の一本結びの男性、彼こそが花柳小次郎。
アイドル候補生たちの名簿を見て満足したのか扇子を仰ぐ。
その花柳は満足すると扇子を仰ぐクセがあり、残り二人でオーディションは終了することでお開きにしようとした。
「残るは二人か、入るがよい」
「はい!」
「はい……!」
最後の二人のひまわりは堂々とした態度で入室するも、はなは緊張しすぎて声もあまり聞こえない様子だった。
歌とダンス、そして演技力にトーク、そしてモデルのポージングにファンサービスを見終えて面接へ入る。
「さてと、日向ひまわり殿かはアイドルが好きと申したな。アイドルになる目的は何かね?」
「私は名前の通り、向日葵は太陽の方角へ向き、その輝きを吸収していきたいんです! そして私はそんな太陽になって、ファンのみんなに向日葵のように輝きを見て励みになれたらなって思います!」
「なるほど。では春日はな殿、そなたは……ふむ、あの人間と妖怪を結ぶ人妖神社の一人娘か」
「えっと……私は――」
はなは震え声で花柳に話し、元々アイドルになるわけではないので途中で断ろうとするも、オーディションに誘ったひまわりの印象を悪くしないよう最後まで受けると決めた。
そもそもはなは緊張しやすい性格で、そもそもアイドルに向いてないことを自覚している。
――はなの実家の人妖神社ではいつも通り人間と妖怪が平和に交流する日本で最新のパワースポットとなっている。
ここには出会いの縁結び、人間の潜在能力を引き出すご利益、そして武士道精神を鍛えることで有名だ。
その人妖神社の本殿の屋根に謎の男たちが立っている。
「これが今の人間界か。なんとも汚らわしい世界だ。早くこの世界を破壊し、人間を滅ぼさねばならんな」
灰色の肌をしたスキンヘッドの謎の男が社の上に立ち、人々を見て嘆き始める。
当然社の上にいるので目立ってしまう。
「なんだ、あの男は……?」
「なんか肌が灰色じゃない……?」
「我が子たちよ、この穢れた人間界を極楽浄土にしてやりなさい」
「「「ははっ!」」」
謎の男は突然背後から5人組の男女が現れ、その5人組の男女は突然神社に火を付ける。
同時に人間たちを襲い、まるで人間を滅ぼそうとしているようだった。
5人組の男女は手から黒い炎を出し、神社を破壊しつくしていく。
参拝客は悲鳴を上げながら逃げ惑う。
「きゃああああああっ!」
「化け物だああああああっ!」
「がははは! さあ人間ども! 俺様たちにひれ伏せっ!」
「我らが父上、アクドーさまのお通りだ!」
「早く逃げないと死ぬッスよー!」
「あら? この人間……」
謎の男の部下であろう女性が逃げ遅れた男性を見つける。
「た……助けてくれぇっ! せめて俺だけでも助けてくれぇっ! 他の奴らは好きにしていいっ! 俺だけでも……見逃してくれーっ!」
逃げ遅れたスーツ姿の男性を見つけた5人組は、その男性に全員で近づいて囲う。
「ちょうどいい、こやつを地獄界から召喚した罪魔で処すぞ」
「うわあぁぁーーーーーっ!」
灰色がかかった緑色の肌で深緑のオールバックヘアの男性が地面から罪魔を召喚し、逃げ遅れた男性を襲いかかる。
――平安館大学では大きな地震が起こり、神社の方角に黒い煙が舞い上がっている。
「きゃぁっ!」
「何だ!? この地震は!?」
学校が突然大きく揺れ、オーディションは一時中断となる。
花柳が安全を確保するために生徒たちを避難させるも、はなとひまわりは何かを感じる。
「はな! あの方向って……!」
「まさか……!? 家族のみんなが危ないっ!」
煙の先ははなの家である神社の方向だった。
そこでは黒く激しい煙が立ち、地震の後に火事が起きていた。
はなは胸騒ぎが起き、オーディションの途中でも教室を飛び出す。
ひまわりも馴染み深い神社に事件が起きたと判断し、はなの後を追って出て行く。
「二人とも! 安全が確認されるまで動かないで!」
「皆さんはここで待っててください! あそこははなの家の方なんです! 私ははなを追います!」
「日向さん! あなたまで行くことは――って花柳さん!? どうしてあなたまで!?」
「すまないがオーディションは中断だ! 彼女たちが最後とはいえ、某には彼女たちを連れ戻す義務がある!」
二人を止めるためにオーディションスタッフが注意するも夢中で走っていき、後から続くように花柳も神社の方へ走っていった。
二人が神社に着くと黒い炎で燃え盛り、警察も恐れるように一方向を見ていた。
周りには誰も人がいなく、妖怪たちも本来の姿で倒れている。
はなは警察が見ている方向を向くとそこには――。
「これってまさか……!?」
「はな! 大丈夫!?」
「ひまわりちゃん! 来ちゃだめ!」
「えっ!? あれって……!」
ひまわりが遅れて到着し、何者かから逃げ惑う先ほどの逃げ遅れた男性の姿があった。
その姿は黒い
逃げ遅れた男性を避難させ、黒い鬼を見つめるとはなはその正体がわかり、ひまわりは恐怖のあまりに後ろへ下がる。
「グルルルル……」
「ねえ、あれって何……!?」
「ついに現れたんだ……!」
「まさかよくはなのおじいちゃんが言ってた――」
「「罪魔!!」」
はなとひまわりは黒い鬼の正体が罪魔とわかる。
罪魔とは生前に多くの大罪を犯した人間が地獄界に転生した姿で、人間界どころか動物界にもいてはいけない存在。
その罪魔ははなたちに気付くと破壊本能のまま襲いかかる。
「グルルル……! ウガァーーーーーッ!」
「きゃあぁーーーーーっ!」
「ひまわりちゃん下がって! 私が封印する!」
ひまわりは初めての罪魔に恐怖を覚えて悲鳴を上げ、はなは神社直系の巫女として封印を試みようとすると、金棒を左手に持った女の子が突然現れ罪魔に叩きつける。
「させない! 妖怪たちの平和を脅かし、パパを殺した罪魔一族……ここで討つ!」
黄金の二本のツノを生やした女の子が金棒を持って罪魔を離れさせる。
罪魔は女の子のパワーに押され、はなたちから遠く離される。
「はな! 今のうちに逃げよう! 私たちじゃ足手まといだよ!」
「でもあの子を放っておけない! それに何だか……懐かしい感じがする!」
「何言ってるの! いくらはなでも今は自分の命を優先しなきゃ二次災害が起きるよ! もし私たちが巻き込まれたら、あの子絶対後悔するから!」
女の子を一人で置いていけないはなと、逃げないと巻き込まれて二次災害が起きることを恐れたひまわりは口論になり珍しく揉める。
同時にはなは女の子に何か懐かしい感じになり、絶対に守らないといけないと思った。
「グルルルル……!」
「しまった! 思ったより素早い……!」
「喧嘩してても仕方ない! 逃げるよはな!」
「わ、わかった!」
はなは先祖代々伝えられた神話を思い出し、罪魔の存在は本当にいたんだと思い知る。
ひまわりは逃げるために強引にはなの手を引っ張り逃げようとするも、罪魔に気付かれて目が合ってしまう。
罪魔はツノの生えた女の子を素早く通過し、ついにはなたちに近づいてしまう。
はなたちはこのまま罪魔によってやられてしまうのか――?
つづく!