妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第21話 強化された罪魔

 ファーストライブを終えた月光花は京都へ戻り、いつも通り学校に通いながらアイドル活動を続ける。

 

 妖怪メダルも間に合い、ついに妖怪たちの力である妖魔力を手に入れることができた。

 

 しかし新幹線の中で、はなとは長い付き合いの天狗の天風がたまたま相席で、妖怪メダルについてはなが質問する。

 

「天風さん、一つ質問してもいいですか?」

 

「うん、いいよ」

 

「この妖怪メダルって、誰でも同じ妖怪メダルが使えるんですか?」

 

「なるほど、みんなで同じメダルが使えるかってことだね。一応使えなくはないけど威力は弱まるんだ」

 

「どういうことですか?」

 

「実は妖怪メダルはその人にとって最も相性のいい妖魔使いが使えば大きな力が出るんだ。例えば僕のような天狗族なら風属性の妖魔使いが相性がよく、他の属性ではあまり力が発揮されないんだ。はなちゃんだったらこの座敷童なんか使えるんじゃないかな?」

 

「人によって相性があるんですね。勉強になりました。天風さん、ありがとうございました」

 

「こちらこそ聞いてくれてありがとう。僕でははなちゃんの力になれなくて申し訳ないと思ってるよ」

 

 天風とはなは実は天風がはなの名付け親で、花のように凛と咲き誇り、どんなに荒れた天気でも咲き続けるような強い子であってほしいという願いから名付けられた。

 

 そんな二人は信頼関係が強く、はなの家庭教師も務めるほどだ。

 

 ひまわりもはなの隣で真剣に聞き、ひまわりも遊びでやっているわけじゃないとはなは安心する。

 

 京都駅に着き、それぞれの自宅に向かった。

 

 一方こちらは占領された人妖神社の本社、ならびに罪魔一族の拠点。

 

 罪魔一族の将軍であるアクドーを中心に罪深き人間を滅ぼし、人間のいない極楽浄土を目指す悪魔組織だ。

 

 そんな罪魔一族の拠点で五大幹部による会議が行われる。

 

「これより罪魔一族の会議を行う。まず一つ、我々を崇拝する罪深き人間どもの信者が増加傾向にある。その信者どもを利用し、人間とは罪深いものだと人間どもに思い知らせるのだ」

 

「なるほど、兄上はあえて人間を利用し、罪魔力を使って極楽浄土になさるのですね」

 

「さすが罪魔一族で一番の切れ者ね。抜かりがないところがあなたらしいわ」

 

「気に食わないが、人間どもを利用するのは俺様も賛成だ」

 

「さすが兄貴! 俺っちにはこんな作戦浮かばなかったッス!」

 

「うむ、では早速だが我々は人間の七つの大罪をエネルギーとした罪魔力が魔力だ。人間どもには存分に働いてもらうぞ。人類罪魔化計画を開始する」

 

 罪魔一族を崇拝する人が増え、法律を無視して好き放題生きる人が増え、月光花が留守の間に京都の治安が悪化していた。

 

 そこを利用した罪魔一族が人々の罪魔力に目を付け、京都で暴れてもらう作戦に出たのだ。

 

 そこで早速、作戦を決行したのだ。

 

 こちらははなとひまわり、二人は家が隣同士なので一緒に帰る。

 

 しかし家に近づくと少しだけ荒れた街並みに二人は疑問を感じた。

 

「ねえ、ひまわりちゃん……。京都ってこんなにゴミが散らかってたっけ……?」

 

「いや、そんなはずはないよ……? だって平安館の近くはすごく整備されてて綺麗だし、人々も平和で温厚だったよ?」

 

「もしかして私たちが留守の間に罪魔一族が……!?」

 

「かもしれない! みんなにも報告しよう!」

 

 はなとひまわりは変わり果てた京都の街に罪魔一族が絡んでいると思い、もみじたちに緊急連絡を入れる。

 

 連絡してすぐに二人で街を散策し、そこには道ばたに食べ物や飲み物がゴミのように捨てられていた。

 

 はなはあまりの荒れ具合にショックを受けて言葉を失った。

 

 そこでひまわりは通りすがりの男性に声をかける。

 

「あの、すみません! この京都で何があったんですか!?」

 

「君は日向さんのとこの……そうだ、聞いてくれ! 最近この京都の治安は急に荒れてしまったんだ! それも今まで武士道精神に則っていた人々が急に変わってしまったんだよ! 確か集団で和服を着た集団がおかしな笛を鳴らしていて、聴いてしまった人々は性格が変わってしまったんだ! 二人ともおかしな笛の音色には気を付けてくれ!」

 

「はい! 情報ありがとうございます! はな、笛を吹いている集団を探そう!」

 

「わかった! 手分けすると何が起こるかわからないから一緒に探そう!」

 

「その方がいいね!」

 

 はなとひまわりは二人で一緒に笛を吹く集団を探し、京都中を回った。

 

 すると綾小路で不愉快な篠笛の音が聞こえ、二人はそこに向かって行った。

 

 そこには和服を着ている人々が行進をしていて、笛や太鼓を鳴らして人々を洗脳していた。

 

 洗脳された人は急に自己中心的になり、はなとひまわりは人々の動きを止めに入る。

 

「何してるの! ここはゴミ捨て場じゃないよ!?」

 

「うるせえんだよ小娘! 俺が何をしようと勝手だろ!」

 

「しかもまだ食べれる食材を……! こんなのひどいよ……!」

 

「はな! 一応変身して武士道精神を思い出させようよ!」

 

「う、うん!」

 

「「妖魔変化!」」

 

 二人は懐から篠笛を取り出して吹き、変身をして武士道精神を思い出させようとした。

 

 すると突然矢の雨が降り注ぎ、はなとひまわりを襲った。

 

「きゃあっ!」

 

「貴様らが妖魔使いの者か。このようなことをされては困る」

 

「誰っ!?」

 

「その声はまさか……!?」

 

 突然聞こえてきた声は渋くて低く、そして落ち着いたトーンのした男性の声だった。

 

 はなは声の正体がわかったが、ひまわりはまだわからなかった。

 

 はなが後ろを振り返ると、はなの首元に刀の切っ先が向けられていた。

 

「「っ……!?」」

 

「ほう、我が罪魔力を察知するとは……さすが忌々しい春日の血を引く者だな」

 

「あなたは……将軍アクドー!」

 

「アクドーって、はなの神社を焼き払った……!」

 

「我を覚えていて光栄だが、貴様らのようなちっぽけな武士道精神を人間どもが思い出しては困るのだ。人間というのは生まれた時から罪を一生背負い続け、死んでも償われぬまま地獄界にどうせ堕ちるのだからな」

 

 突然アクドーが現れ、はなたちの戦意を失わせよう諭す。

 

 はなはこれまで罪魔に染まりかけた人々をお祓いし、心の罪魔を浄化させてきたのだから、人間の罪深さをよく知っている。

 

 はなはそうだとしても、人間を滅ぼすことには反対していて、アクドーの誘惑にも負けなかった。

 

「私も神社で罪魔に染まりかけた人々を浄化してきたから、人間の罪深さはものすごくわかります。もし人間がいなくなったら確かに地球は平和になるでしょう」

 

「は、はな……!? 何で誘惑に乗って……なるほどね」

 

「そうだろう? ならば春日の巫女よ、汝の力で人間を――」

 

「だけど人間は西暦時代に自分たちの手で絶滅しかけ、二度と立ち直れないほどにまでなって反省し、今の新暦時代として生まれ変わりました。この京都には武士道精神と撫子精神の教えが根強く教わっています。もしこの罪深い姿があなたによる洗脳なら……もう一度武士道精神を思い出させ、そしてあなたたち罪魔一族の思い通りにさせないだけです!」

 

 はなは最初からアクドーの誘惑に乗らない心を持っていて、ひまわりは一瞬だけ不安になったが、何かを思い出したのか不安はなくなっていた。

 

 ひまわりははなの肩をポンっと叩き、はなの心の強さを褒める。

 

「さすがはな! わざと相手の気持ちに乗ってからの自分の意見を言うようになったね!」

 

「相手の気持ちに寄り添いつつも自分の意見を曲げない。相手を全否定することは武士道に反するからね」

 

「そういえばそうだね! というわけだよアクドー、残念だけど私たちはあなたたちの洗脳を解いてみせる!」

 

「そうか、それは残念だ。ならば地獄よりも暗く恐ろしい目に遭ってもらおう。オロチマル」

 

「ははっ! さあ地獄から蘇った罪魔どもよ、汝らの罪魔の本能のままに暴れるがいい!」

 

「「「ヒャハハハッ!」」」

 

「このままでは京都が破壊される……! ひまわりちゃん!」

 

「うんっ! 絶対に京都を守ってみせる!」

 

 はなとひまわりは武器を握りしめ、地獄界から這い上がってきた罪魔たちを浄化して地獄界に戻す。

 

 アクドーとオロチマルはフッと姿を消し、罪魔となった信者らしき人々を置いていった。

 

 はなとひまわりは罪魔から人々を守るために戦った。

 

 つづく!

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