妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

23 / 77
第22話 地獄界の罪魔

 オロチマルという罪魔の男性が命令すると罪魔たちが暴れ出し、はなとひまわりは罪魔と戦う。

 

 罪魔たちははなたち二人に容赦なく襲いかかり、もはや自分さえよければいいのか押しのけてまで倒そうとしていた。

 

 はなはひまわりを援護するために矢を放ち、ひまわりは槍を振り回して薙ぎ払う。

 

 しかし新たに罪魔となった人々も数百人もいて、徐々に罪魔力に犯された人々も次第に罪魔となる。

 

「はな! このままだとキリがないよ!」

 

「ここまで罪魔一族の影響が強くなっただなんて……!」

 

「ヒャハハッ! 死ねっ!」

 

「きゃあっ!」

 

「はなから離れてっ!」

 

 一人の罪魔がはなをツメで引っかき、ひまわりは罪魔をはなから引き離した。

 

 しかし武士道精神で立ち上がれてはいるが、なぜか傷は浅くはなたちは不思議に思った。

 

「引っかかれたのに傷が浅いのは何でなんだろう……?」

 

「わからない……。私は確か直撃だったのに……」

 

「それは私が説明するね」

 

「その声はまさか……!?」

 

 はなは罪魔の攻撃が直撃したはずなのに何故か浅いダメージ程度で済んだことに不思議に思った。

 

 ひまわりも状況が整理できなかったが、それでも冷静な心を維持して不思議な声を思い出す。

 

「もしかして幸子!? 座敷幸子でしょ!?」

 

「同じクラスの幸子ちゃん!? ってもしかして幸子ちゃんって……!」

 

「黙っててごめんなさい。実は私は妖怪の座敷童なんだ。春日さんが持っている妖怪メダルを通じて話しているんだ。座敷童の能力である幸福の力でダメージが通らないようになってるんだ。だけど一回の戦闘でたったの三回しか防げない。だから慎重に使い分けてね」

 

「わかった! ありがとう幸子ちゃん!」

 

「学校では私に勉強を教えてね!」

 

 座敷幸子、はなとひまわりのクラスメイトで、ひまわりの家庭教師的な存在だ。

 

 学業も優秀でクラスでも笑顔を振りまくムードメーカーで、近くにいると幸せを感じやすい空気になるという不思議な力があった。

 

 それもそのはず、正体があの幸福を呼ぶ座敷童だったのだ。

 

 はなが手に持っている座敷童の妖怪メダルが、はなを守ってくれたのだ。

 

 すると今度はひまわりが持っている妖怪メダルが光りだす。

 

「私の妖怪メダルを持つ者よ、聞こえるかい?」

 

「あなたは……?」

 

「君と話すのは初めてだね。私は心を読む妖怪、覚だよ。私の妖怪メダルを持つ者は優れた知略を持つ者と決まっているんだ。あなたのことは花柳さんから聞いている。あなたの囲碁と将棋で鍛えたその知略、読心術に活かしてほしい」

 

「なんだかわからないけど、オッケー!」

 

 ひまわりには心が読める妖怪である覚と通じ合い、ひまわりは早速読心術を使った。

 

 すると罪魔たちの心が簡単に読めるようになり、ひまわりは罪魔たちの心を理解した。

 

『なんで食べるだけなのにいちいち挨拶しないといけないんだ……』

 

『そんなことしても無駄なのに……』

 

『ブランド物が欲しいのにお金がないから支援が欲しい……』

 

『飢えをしのぐためなら盗んでもいいよね……』

 

「なるほど、みんなそれぞれ苦労はあるけど心が罪魔に染まっちゃったってわけか! それなら魂を浄化して武士道を取り戻させよう! はな!」

 

「うんっ! 私も弓矢だけに頼らないもう一つの武器……これだっ!」

 

「はな! その筆はまさか!?」

 

 はなは懐から筆を取り出し、突然目の前で文字を書き始めた。

 

 その文字には剣と書かれ、その空文字をひっくり返すと刀が現れた。

 

 ひまわりはその筆の正体を知っていて、はなにしか使えないこともわかっていた。

 

「あれは春日家に代々伝わる妖魔の筆! あれに書かれた文字は実態となって現れ、そして武器として罪魔を浄化する必殺技を出せるものだ! ということははな……一気に決めるんだね!」

 

「ここまでの数を浄化させるにはこれしかないんだよ! だから一気に決める! 桜花ノ舞!」

 

「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁっ……!」」」

 

 はなの必殺技で一部の罪魔は浄化され地獄界に戻るも、大型の罪魔たちだけは浄化できずにいた。

 

 それもそのはず、今までは下級罪魔だったが今は中級罪魔もいて中級以上は武士道精神だけでは通用しないのだ。

 

 そのことにひまわりはいち早く気付き、はなに伝令をする。

 

「浄化技が効かないってことは、おそらく中級罪魔だよ! 今までは下級罪魔だから効いてたけど、地獄界のさらに深いところにいるってことは罪魔力が強いはずだよ!」

 

「なるほど! わかった! それじゃあこの筆で……魔封陣っ!」

 

「「「……!?」」」

 

 はなは筆で魔法陣を描き、神の力を借りて罪魔を地獄界に封印する呪文を唱える。

 

 すると中級罪魔は魔法陣の中に閉じ込められ、桜の花びらに囲まれて地獄界へと封印されていった。

 

 しかしその呪文はあまりにも体の負担が激しく、激しい疲労感に見舞われるが春日家の血統はその呪文に耐えられる体だったので、はなは無事に済んだ。

 

 そして封印に成功したはなは無言で罪魔の反応を確認し、少し汗ばみながらひまわりに報告する。

 

「はな、罪魔たちはどうなったの?」

 

「全員地獄界に封印されたよ」

 

「そっか、それで怪しい団体はどこへ……?」

 

「私たちが戦ってる時にいなくなった……? まさか……!?」

 

 はなは妖魔力がとても強く、亡くなった人の魂がどこの世界に行ったかを多少は感じられるので、罪魔たちが地獄界に戻っていったのを確認する。

 

 しかし笛と太鼓を鳴らしていた集団が急にいなくなり、嫌な予感がしたはなは走り出した。

 

 それはひまわりも同じで、はなと一緒に街中を走る。

 

 ひまわりは冷静さを保っているので、同じく家に帰ろうとしている月光花の仲間たちに知らせた。

 

『緊急事態発生! 罪魔を崇拝する人たちが怪しい笛や太鼓を鳴らして行進していて、そのせいで罪魔が強化されてる! そしてその笛と太鼓の音色を聞いた人々も強引に罪魔力に染められて破壊衝動に駆られてしまう! 封印の呪文が使えるはなが来るまで時間を稼いで!』

 

 ひまわりは瞬時に罪魔の事情を把握し、チャットでわかったことを全部伝える。

 

 しかしもみじたちはその罪魔がどうなっているかをまだ知らないし、チャットを見ているとは限らない。

 

 それでもひまわりは少しでも情報を共有できるように何度も電話をかけたりした。

 

 仲間の元へ急ぎながらはなとひまわりは学校で習った武士道精神を思い出し、仲間のピンチに駆け付けるのであった。

 

 つづく!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。