京都に戻った月光花のうち、もみじとすみれ、つばきはほぼ同じ方向で一緒に帰っていた。
しかしもみじたちは戻ってきた京都に違和感を覚え、家に帰らずに街を調査していた。
周りを見渡すと人々は辺りで倒れていて、もみじは違和感が恐怖に変わり自前で持っている刀を構える。
「これは一体、何があったのかな?」
「わからないが、不穏な空気だということはわかる」
「先輩方、お気をつけてください。何か邪悪な気配を感じます……」
「もみじ、それは本当か?」
「はい、それも今までよりも強大な罪魔力を感じます……」
「そうか、もみじは忍の家系だから敵の気配がわかるんだね。頼りになるよ」
「もしかしたら、もう罪魔一族の影響が強くなったのではないだろうか?」
「私もそう思います。それに先ほどから私たちを追っている者がいますね……っ!? そこっ!!」
もみじは人とは違う気配を感じ取り、命の危険を察知して刀を抜いて切り裂く。
そこには赤い肌でパンチパーマの男性と、黄色い肌でモヒカンヘアの男性、そして緑色の肌のオールバックの男性の三人が一気に襲いかかっていたのだ。
その三人をもみじがたった一人で抑え込み、男性三人はその場から離れてもみじを褒め称える。
「ほう、我々の攻撃をたった一人で凌ぐとは、人間もなかなかやるではないか」
「クソがっ! 俺様の攻撃を防ぐなんてムカつくぜ!」
「へぇ、人間にも不思議な奴がいるッスねー!」
「いきなり襲いかかるなど何者だ!?」
「申し遅れたな。我はオロチマル、罪魔一族の幹部となる者だ。そしてこの二人は弟の鬼ゴロウとドクロノスケだ」
「そちらが名乗り出したのならこちらも名乗らねばなりませんね。私は紅葉もじみと申します」
「藤野すみれ、よろしく」
「冬野つばきだ、以後お見知りおきを」
オロチマルが人間に礼儀正しく名乗り、それに応えるようにもみじとすみれ、つばきは名乗り返す。
するとオニゴロウとドクロノスケが不満そうにオロチマルに文句を言う。
「兄貴、何で人間なんかに紹介すんだよ!」
「そうッスよー、こんな下等生物なんかに紹介なんかしなくていいッス!」
「その下等生物よりも優れている我々は、人間よりも礼儀正しくなければならぬ。人間は礼儀など愚かしいと思っているのだから、我々がその上を行かねばならぬのだ」
「なるほど、武士道を失った人間よりも自分たち罪魔が優れているということだな……!」
「あなたたちに問います! 何故そこまで人間を毛嫌いするのですか!」
オニゴロウとドクロノスケが文句を言うとオロチマルは人間よりも自分たちの方が精神的に優れているところを見せようとしていたが、それでも二人は納得していなかった。
人間よりも優れていると聞かされたつばきは少し悔しそうに睨み、もみじは罪魔一族に気になったことを聞く。
その質問にオロチマルはちゃんと答える。
「もみじとやら、貴様の礼儀正しさは認めよう。それに免じて全て答えてやろう。まず人間は自分に危険が訪れたら真っ先に自分だけ助かろうとして他人を蹴落とし、そして逃げ惑うほど心が醜い。そして自分さえよければ何でもいい、死ねば何もかも終わりだから好きに生きればいい。これが今も昔も変わらぬ人間の心だ。そんな穢れきった魂を持つ人間をいつまでもこの世界に置いておけば、いずれこの世界はもう一度滅ぶ。その前に我々罪魔一族が地獄界から迎えに来たのだ」
「なるほど、返答に感謝するよ。それで私たちを地獄界に迎えようということなんだね?」
「ふん! まあそういうことだ! お前ら人間の割に物分かりが随分いいじゃねえか」
「人間にもここまで魂が白い者もいるんスねー、知らなかったッス」
「だがいずれこ奴らも人間の罪魔に染まり、世界を滅ぼすきっかけになるかもしれぬ。その前に粛清してこの世界を守らねばならぬのだ」
「だったら私たち人間は、あなたたちの野望を止め、そして本当の平和と秩序を守ってみせます! 先輩方、いきましょう!」
「わかった!」 「うむ!」
「「「妖魔変化!」」」
もみじたちは懐から笛を取り出して変身の曲を演奏し、そして妖魔使いへと変身した。
そこでオニゴロウとドクロノスケは血の気が多いためか戦おうとしていたが、オロチマルに制止される。
「やめておけ」
「何でだよ! 俺様たちがここで殺せば抵抗するやつらはいなくなるだろ!」
「そうッスよオロチマル兄ちゃん! こんな奴らは俺っちたちに任せるッス!」
「こやつら程度の力なら、この罪魔共で十分だ。さあ、地獄から這い上がり、好きに暴れるといい!」
「地獄界ですって……!?」
「まさかそんなことができるというのか……!」
「これは浄化するのに苦労しそうだね……!」
オロチマルが地獄界から罪魔を召喚し、地面から罪魔たちが這い出てきた。
もみじたちはその光景を見て恐怖を感じ、変身して罪魔たちに立ち向かう。
幸いにも人々は既に避難しているから被害は出なかったが、それでも罪魔たちは好き放題暴れ回る。
もみじは鑑定をして罪魔たちを浄化しようと試みた。
「この罪魔たちは今までの罪魔とは違います! 油断せずに必殺技で参りましょう!」
「なるほど、ならばやってみる価値はあるね!」
「ああ、それは無駄ッスよ!」
「無駄かどうか、やってみないとわからないぞ!」
「だから無駄だっての! こいつらは今までの罪魔と違って、中級罪魔だからテメエらの技は効かねえんだよ!」
「何だと……!? それはどういうことだ!?」
「人間は大罪を背負い罪魔力が限界まで達した時、人間としての心を失い死後に罪魔として新たに転生し、地獄界に堕ちてしまう。地獄界にも格というものがあり、その格上の地獄界に住む罪魔はより罪魔力が増すのだ」
「だからいくら封印しようとも無駄ってことッス!」
「そうですか……。罪魔にも格というものがあるのですね」
「ま、そういうこった!」
「ならばもう一度地獄界に封印するまでです!」
「うむ、私たちは負けるはずがない!」
「同時に後で彼らを供養しないといけないね……! そして憎むべきは罪魔一族! 私たちは君たちを許しはしないよ!」
もみじ、つばき、すみれは絶望的な状況を聞かされてもなお諦めず、中級罪魔にも封印技が効くかを試す。
封印技が効いた下級罪魔たちは封印されたが、封印技が効かない中級罪魔たちは必殺技をも跳ね返した。
このままではまずいと思ったもみじたちは追い詰められ、どうすればいいのか悩んだ。
つづく!