妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第25話 覚悟の持久戦

 わかばとるりは京都市の隣町の宇治市に住んでいて、電車で移動していた。

 

 しかし電車はいつもなら人で混雑しているが、いつもより人が少ないことに気付く。

 

 周りをよく見ると何かに怯えるように震えてたり、恐怖のあまりに人を避けたりしていたのだ。

 

 不自然に思ったわかばとるりは笛を取り出し、人目のつかないところへ移動して変身する。

 

「わかばさん、これは何か異常事態でございます」

 

「やっぱりるり先輩もそう思いますか。私もおかしいと思ってました」

 

「この悪い感じ……もしや罪魔一族が関与しているかもしれないでございます」

 

「そうとしか思えません。もう少し街を散策しましょう」

 

「はい」

 

「その必要はありませんよ」

 

「「っ……!?」」

 

 宇治市は京都市と比べて少しは落ち着いているとはいえ、やはりいつもの街の雰囲気と違うことに違和感を覚えて散策をしようとした時に突然礼儀正しそうな男性の声が聞こえ、二人は武器を構えた。

 

 わかばが振り向いた先には電柱の上に男女が二人乗っていて、落ちそうで全く落ちる気配がないので人間ではないことを瞬時にわかった。

 

 二人組は電柱から飛び降り、上手く着地してケガ一つせずにわかばたちに近づく。

 

「申し遅れました。わたくしは罪魔一族幹部の一人のマノジャークと申します」

 

「妹のサトリーヌよ、よろしく」

 

「紺野るりでございます……!」

 

「えっと、常盤わかばです……! 名を名乗るほど礼儀を重視するなんて、罪魔にしては素晴らしい心意気ね……!」

 

「少なくとも人間のような地球で最も下等な生物よりは優れていますね」

 

「なるほどね、返答に感謝するわ」

 

 わかばはリーダーとして前に出て罪魔一族のマノジャークとサトリーヌに積極的に話をする。

 

 分かり合おうとは思っていないが、罪魔一族の誘いや挑発に乗らないように心を強くし、戦わずに済むよう交渉をする。

 

「それで私たちに何か用かしら? 今の私たちの力では幹部であるあなたたちに勝てるはずがないのはわかってるでしょう?」

 

「そうね、身の程を知ってる人間に出会うのは珍しいが、あなたたちの相手は私たちじゃないわ」

 

「何ですって……!?」

 

「あなた方には真の極楽浄土の実験のために付き合ってもらいます。今までは下級罪魔でしたが、今度は中級罪魔を相手に戦い、消耗した隙に我々があなた方に手を下すのです」

 

「わかばさん! 今回の戦いは持久戦を覚悟なさった方がよいでございます!」

 

「そうみたいですね! るり先輩! いきましょう!」

 

「さあ、暴れなさい。地獄界から這い上がった罪魔たち!」

 

 サトリーヌが呪文を唱えると地面から罪魔たちが湧き出て、わかばたちを襲いかかる。

 

 るりが扇で風を起こしたりはたいたりして接近戦を。

 

 わかばは火縄銃で援護射撃したり空砲で威嚇して銃口で叩いたりした。

 

 罪魔たちが弱ったところで封印技を放つも、下級罪魔は効いても中級罪魔たちには全く通用しなかった。

 

「どういうこと……!? 封印技が全く通じないなんて……!」

 

「もしや本当に中級罪魔でございますか……!?」

 

「ほう、そこの二人は他の人間と比べて賢いですね。その通り、いくら中級罪魔に武士道精神を当てても、魂がさらに穢れきった中級罪魔に浄化技は効きませんよ」

 

「地獄界の理不尽な仕打ちで心も魂も余計に穢れきったのだから、武士道を押し付けたところでウザいだけなのよ。もっとも、前世の人間時代に散々好き勝手に生きたのだから自業自得、因果応報なのだけどね」

 

「では私たちの必殺技が効かないとなればどうすれば……!?」

 

「っ! わかばさん! 妖怪メダルを使う時でございます!」

 

「妖怪メダル……? そういえばそうだったわね! 現に光っているもの!」

 

 るりは妖怪メダルが光ってることに気付き、取り出して妖怪メダルを使おうとわかばに促す。

 

 わかばも妖怪メダルが光ったことに気付き、ポケットから取り出して使おうとした。

 

 すると妖怪メダルの方から声が聞こえる。

 

「やっと気づいたんだね! わかば姉さん!」

 

「その声は……近所の篭目一郎くん!? あなた妖怪だったの!?」

 

「そうだよ、一つ目小僧だったんだ。正体を隠してごめんね、いざという時にだけ話すよう母さんに言われてたんだ。そして今がその時だよ」

 

「一郎くん、今度はおじいちゃんの盆栽を見に来てね!」

 

「家元ー! 俺の力を貸してやるぜ!」

 

「その軽い口調は……土井九郎さん!?」

 

「歌舞伎の途中だけど、ガシャドクロの能力で身軽になって素早くなるはずだぜ! 俺の能力、上手く使ってくれよな!」

 

「感謝でございます!」

 

 わかばには近所に住んでいる小学生の男の子である一つ目小僧が力を貸し、一つしかない目を利用して視力が上がり、一転集中できるようになる。

 

 それによって視野こそ狭くなるが射撃をするには百発百中の力が必要で、確実に罪魔たちに弾丸を当てられるようになった。

 

 一方のるりは歌舞伎俳優で紺野流日本舞踊の門下生の一人であるガシャドクロの男性によって力を与えられ、扇で戦うというスタイル上、動き回らなければならないので体を軽くしてスピードを高くするという能力になる。

 

 るりは体が軽くなり、思うように動けるようになったことに驚きながらも罪魔たちを動き回って混乱させる。

 

 妖怪たちの力こと妖魔力を身に付けて時間を稼ぐと、ようやくはなたちが合流する。

 

 つづく!

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