妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第26話 春日家の魔法

 わかばとるりが妖魔力で時間稼ぎをしていたら、ようやくはなたちが駆けつける。

 

 はなは家宝の筆で中級罪魔を封印する力を唯一持っていて、ひまわりたちもそれによって罪魔たちを封印することができた。

 

 しかし罪魔の数があまりにも多いため、わかばたちに説明している暇がなく、はなたちも笛を吹いて変身する。

 

「わかば! るり! お待たせ!」

 

「ひまわり! みんな!」

 

「来てくださったのでございますね!」

 

「もちろんですよ! さあ先輩方、罪魔たちを弱らせて、はな先輩に封印してもらいましょう!」

 

「わかった!」

 

 もみじが二刀の刀で罪魔たちを斬り、すみれが杖を回しながら叩き、つばきが薙刀で薙いだり斬ったりして罪魔を弱らせる。

 

 ひまわりが的確な指示を出しながら槍で距離を取り、その隙に一気に叩いて突き刺す。

 

 一方のはなは集中するように封印の文字を書き、慎重かつ確実に封印できるようにする。

 

 同時にはなはひまわりたちがダメージを負わないように座敷童の能力を使い、三回までノーダメージにするようにした。

 

 サトリーヌがはなに気付き、すぐに危険だとわかり奇襲を仕掛ける。

 

「あなたは何か特別な力を感じるわね! あなたを好き放題させるわけにはいかないわ! 今ここで死になさい!」

 

「……」

 

「そうはいくかっ!」

 

「くっ……!」

 

「はなには指一本も触れさせないんだからね!」

 

 間一髪のところでひまわりがはなを守りきり、サトリーヌの攻撃を防ぐ。

 

 わかばもるりも長い戦いで疲れている中でつばきとすみれ、もみじが加勢したことで負担が減り、ひまわりははなを守ることではなはより集中する事おができる。

 

 そしてついに封印の文字が完成し、呪文を唱えた。

 

「みんなの頑張りを無駄にしないためにも、ここで決めるっ! 魔封陣!」

 

「「「っ……!?」」」

 

 罪魔たちは一か所に集められ、ついにはなの魔法陣に囲まれ、地面へと引きずり下ろされて封印されていく。

 

 しかし一日に三回も封印の呪文を唱え使ったので体の負担は激しく、そのまま倒れ込むようにしゃがむ。

 

 隣にいたひまわりが介抱し、はなが倒れないようにした。

 

「はな!」

 

「ひまわりちゃん……みんな……。私……頑張ったよ……」

 

「私たちははなにばかり負担をかけ過ぎた。本当に申し訳ない」

 

「先輩である私たちももっとしっかりしないといけないのに……ごめんね」

 

「わたくしたちもまだまだ修行が足りないでございますね……」

 

「大丈夫です……。この力は代々春日家にしか使えない罪魔封印魔法ですから……」

 

「はな、これ以上君にだけ負担をかけたくない。だから私たちにも使えるようにしてほしい。このまま君が使い続けたら体がいくらあっても足りないと思うんだ」

 

「そうですよ、はな先輩だけ辛い思いして罪魔と戦うなんて許しませんよ。私たちは年は違えど、同じ月光花の仲間なんですから」

 

「みんな……。わかった、お父さんに相談してみる」

 

(幼なじみとして私は何もできなかった……。おじさんに本気で頭を下げて春日家の力の修行を受けよう……)

 

 これ以上はなにだけ負担をかけさせたくない、そんな強い想いが月光花をさらに強くさせていた。

 

 はなは春日家の直系なので封印魔法の力が強いが、その代わり体の負担が激しく疲れやすいのだ。

 

 その様子を三回も見てきたひまわりは、はなを見つめることしかできず自分の無力さを悔やんだ。

 

 罪魔こそ封印されたがサトリーヌとマノジャークは、疲れ切ったはななどお構いなしに襲いかかる。

 

「うわっ!? いきなり何をするんだよ!」

 

「春日はな……何故あなたが危険だと感じたかわかったわ。あなた、お父さまを地獄界に封印した春日家の末裔ね」

 

「やっぱりわかってしまうのでございますね……!」

 

「なるほど、だからサトリーヌは急にあの小娘のところに飛び込んだのですね。ですが今ここで殺しにかかってもあまり意味がないと判断し、一時撤退することにしましょう。だが次に会う時は……あなた方に命はないと思いなさい」

 

 マノジャークとサトリーヌはそう言い残して姿を消していき、はなたちは罪魔を封印することに成功した。

 

 しかしはなの疲れは激しく、一人で帰れそうにないのでみんなではなの家まで運ぶ。

 

 はなの家に着くとひめぎくが迎え出てくれ、はなの様子を見てビックリする。

 

「おかえりみんな。先に帰ってたけど……はな!? その姿はどうしたの!?」

 

「ひめぎくちゃん……中級罪魔が地獄界から這い出て……私が三回も封印魔法意を使っちゃって……」

 

「すごく疲れてる……! とにかく早く布団に寝かせましょう!」

 

 ひめぎくは慌てながらはなを布団まで運び、ひまわりたちも手伝う。

 

 ひめぎくの慌てっぷりは深刻で、幼なじみで長い付き合いのひまわりもひめぎくの様子に気付いている。

 

 はなは布団に入ると疲れを癒すように深い眠りについた。

 

 その隣でひめぎくも含めひまわりたちが見守っていると、はなの家族が全員揃って入ってくる。

 

「はな! 上級封印魔法を使ったって本当か!?」

 

「ああ、はな……あなたって子はなんて無茶を……」

 

「うむ、じゃがグッスリ眠っているようじゃ。命に別状はない」

 

「よかった……!」

 

「後のことは我々春日家に任せて、君たちはそれぞれのお家に帰りなさい。心配しないで、私たちがしっかり回復するまで看病するから」

 

 はなは生きていることに安心した家族は、はなを看病するためにみんなを帰そうとする。

 

 みんなが言われるがまま帰ろうとしている時、ひまわりだけは全く帰ろうとしなかった。

 

 ひまわりの様子を見たもみじたちは、ひまわりに帰るように諭す。

 

「ひまわり先輩、春日さんたちにご迷惑だから帰りますよ」

 

「嫌だ! これ以上はなにだけ負担をかけたくないって思ったもん! おじさんがはなと同じ力をつけさせてくれる修行を認めるまで絶対に帰らない!」

 

「でもあの魔法は体の負担がかかる危険な魔法なのよ! 春日家でも大変なのに血の繋がりのない私たちが使ったらどうなるか……」

 

「だったらこのままはなに死ねって言うの!?」

 

「それは……」

 

「私ははなを失いたくない! 苦しいことも一緒に分け合いたい! 世界を救うためなら苦しいことも厭わないって決めたから!」

 

「ひまわりくん……。決めたよ、私もここに残る。同じ仲間がこんな状態になるまで頑張ったんだ。このまま見るしかできない自分が悔しい。だからこそ私も修行を認めてくれるまで帰りません」

 

「そうですね……紅葉流忍術師範としても己の無力さを感じてしまいました。私もここに残ります! 罪魔一族にだけは絶対に負けたくありませんから!」

 

「後輩たちに先を取られるとはな。私もみんなの力になりたいと思ってます。どんなに体の負担が激しかろうと、このままだとはなはどうなるかわからない。だからこそ危険な賭けだが、命のリスクは分散する方がいい。だから私もここに残ります」

 

「最年長としてではなく、同じ妖魔使いとして、そして世界の平和と秩序を守る仲間として見捨てるわけにはいかないのでございます。はなさんはたった一人で封印魔法を使い、そして春日家の伝統を守り抜いたのでございます。だからこそ、わたくしもお力になりたいのでございます」

 

「月光花のリーダーとして本当は慎重な判断をしたいところだけど、仲間が危険だとわかっててやったんだもの。自分だけ楽な道を進みたくないわ。月光花のリーダーとしてだけでなく、同じ世界を救う仲間として、月光花は春日家の封印魔法の修行の許可を認めるまでここに残ります。中途半端な気持ちではなく、全員本気です」

 

 ひまわりのワガママは次第にもみじたちの心に火を付け、ひまわりは先頭に立ってみんなをリードする性格がいい方向に向かった。

 

 はなを想う強い気持ちにはなの父は感動し、母は涙ぐんでひまわりたちを抱きしめた。

 

 祖父はいい仲間に恵まれたなと心で思い、はなの頭を優しく撫でる。

 

 そしてはなの父は咳払いをしてついに許可をする。

 

「いいでしょう。ただし中途半端にやめることは許しません。今まで使ったどの魔法よりも高度で難しい魔法だからね。それに……春日家以外にも春日家の魔法を使う者は実は歴史上でたくさんいたんだ。だから君たちに使えないほど危険ってわけではない」

 

「そうなんですか!?」

 

「だが一日に何度も使うと体に大きな負担があるのは事実だ。それに耐えるだけの体力が必要だ。普段から流鏑馬で体を鍛えてるはなでさえ三回使ってこの状態だ。それほどの覚悟は……全員あるみたいだし大丈夫か。ならばこの封印の筆をみんなに預ける。それは人間の心の強さである武士道精神、妖怪の特殊能力である妖魔力、そして神々の特別な力をわけてもらう神通力の三つが必要だ。はなはその三つの能力が高く、簡単に春日家の魔法を全て使えるようになった。君たちにはその修行を受けてもらおう」

 

「「「ありがとうございます!」」」

 

「ただし、君たちはアイドルで学生だ。アイドルをしながら勉強もしっかりし、そして世界を救う使命をどっちも中途半端にしない事だ。と言っても全員文武両道の平安館に通う生徒だから今更かもしれないが」

 

「任せてください。私たちは平安館女学校の生徒ですから、文武両道を貫きます」

 

 ひまわりたちの熱意に負けたはなの父は修行を認め、それぞれの家に帰るように伝える。

 

 今までの会話を聞いていたはなは眠りながら涙を流し、最高の仲間たちに恵まれたと感謝をする。

 

 こうしてアイドルをしながら武士道精神、妖魔力、そして神通力の三つの修行が始まった。

 

 つづく!

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