妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

28 / 77
第27話 運動会参加

 罪魔一族の強化に追われながらもアイドルとしての仕事も順調で、今となってはローカルアイドルという枠を超えて東京でも仕事が入るようになった。

 

 その評価によって旬な新人アイドルたちが参加するフレッシュなアイドル運動会のオファーが月光花に来ていた。

 

 しかしはなは神社巡りの旅、ひまわりは囲碁と将棋の解説、つばきとすみれは特撮の撮影、わかばは舞台の稽古、そしてるりは日本舞踊のコンクールがあって運動会は断念していた。

 

 そんな中でもみじだけがスケジュールを上手く確保することができ、運動会への参加を表明した。

 

 花柳はもみじの元で見守り、運動会の会場へ赴いた。

 

「紅葉殿、あまり余計な力を入れないようにするのだぞ。いくらライバルがいるとはいえ、普段通りの力で挑めば結果は自ずと出る。勝負に焦ることはない」

 

「はい。では花柳先生、行って参ります」

 

 花柳はもみじが負けず嫌いな性格を把握していて、あまり力を入れ過ぎずに自分の力を信じて挑めと励ます。

 

 もみじは紅組として運動会に参加する。

 

 ついに開会式が始まり、もみじは気合の赤いハチマキをギュッと締める。

 

「さぁ始まりました! アイドルだけのフレッシュ運動会! 司会は私、本田綾香でお送りします! みんな盛り上がっていこうね!」

 

「「「おー!」」」

 

「では選手宣誓を、沖田つかさちゃんお願いします!」

 

「はい。宣誓! 僕たちアイドルは、ファンの皆さんに夢を与え、運動会を通して、さらなる絆を深め、正々堂々と戦うことを誓います。白組、アフタースクールズ所属、沖田つかさ」

 

 沖田つかさが選手宣誓し、もみじも心の中で静かに燃えていた。

 

 もみじは念入りに準備運動をし、いつでも競技に出る準備をしていた。

 

 もみじは100メートル走と1500メートル走にエントリーしていて、とにかく走る競技となった。

 

 100メートル走の時間になり、もみじは靴ひもをギュッと締め直してレーンに入る。

 

 レースが続くと日野鈴香が新記録を叩き出し、もみじにプレッシャーを与える。

 

 しかしもみじは日野鈴香がどんなアイドルかを知っていて、プレッシャーどころか一緒に走ってみたかったと思っていた。

 

 そしてもみじのレースになる。

 

「さあ日野鈴香ちゃんに並ぶ優勝候補、月光花の紅葉もみじがたった今、スタート地点に入りました! 日ごろからトレーニングをしているもみじちゃんはどれほどのスピードなのか!」

 

「On your mark。set――」

 

 ピストルの音が鳴り、もみじは順調なスタートを切る。

 

 もみじは忍術だけでなく走り込みも普段からしていて、短距離も長距離も走れる忍者なのだ。

 

 レース自体は1位でゴールし、青井海美をも超える速さで日野鈴香には及ばないがもう少しで抜けるほどの記録だった。

 

 もみじは1500メートルまでは応援に徹し、紅組のムードを明るくした。

 

 休憩時間になり、昼食を自家製弁当で腹ごしらえをする。

 

 するともみじ特製の弁当に同じ紅組のアイドルたちが集まる。

 

「紅葉さん、これって自分で作ったんですか?」

 

「はい、月光花から参加するのが私のみで、同じ仲間の冬野つばき先輩に料理を教わり、初めて実践しました」

 

「あなたの玉子焼きと私のミートボールと交換しよ!」

 

「わたくしのブロッコリーとあなたのプチトマトもいかがですか?」

 

「ありがとうございます。一人分にしては少々作りすぎてしまいましたので、よろしければ皆さんもご一緒にお食事いたしませんか?」

 

「忍者なのに大和撫子だあ……!」

 

「さすが平安館女学校の生徒……!」

 

「ふむ、紅葉殿もライバルたちと分かち合っているな」

 

 もみじはすっかりアイドルたちの人気者になり、たくさんのライバルであり仲間が増えた。

 

 午後の部になり1500メートル走に備えて準備運動をする。

 

 そしてもみじが向けている視線の先には紫色の髪をした一本結びの女の子だった。

 

 その女の子を見ていると、もみじはより負けないと燃え上がっているのだった。

 

 ついにスタートの時間になり、もみじはスタートの構えに入る。

 

「On your mark――」

 

 ピストルが鳴り、一斉にスタートを切る。

 

 もみじは先ほどの女の子の後ろでマークし、余裕のあるところで声をかける。

 

 残り600メートル地点でもみじは紫髪の女の子に声をかける。

 

「はじめまして、紫吹ゆかりさん。従姉妹がお世話になりました」

 

「そなたは一体……?」

 

「申し遅れました。私は紅葉しのぶの従姉妹で、京都でローカルアイドルをしています月光花の紅葉もみじと申します」

 

「しのぶの従姉妹か。アイドルをやってるという噂は本当であったか」

 

「この種目であなたに挑戦します。真の忍を賭けて!」

 

「いいだろう、私はもう誰にも負けぬ!」

 

 女の子の正体は、もみじの従姉妹が勝負に挑み負けたというアルコバレーノの紫吹ゆかりだった。

 

 ゆかりともみじは会うのははじめましてだが、お互いの実家が西暦時代の戦国時代から続く忍のライバル関係で、東の紫吹、西の紅葉という名門忍術の同門だった。

 

 ゆかりももみじの正体を知った時は心が燃え上がり、二人はゴール前までデッドヒートを繰り広げ、ゆかりが一歩リードしてゴールする。

 

 あと一歩及ばなかったもみじは悔しさを堪えてゆかりに握手をする。

 

「はぁ……はぁ……! さすが紫吹流です。しのぶがライバル意識持つのもわかりますね。次は負けませんよ」

 

「そなたも見事であった。またやり合おう」

 

 こうしてもみじはライバルである紫吹ゆかりと出会い、そしてアイドルとしてもライバル関係となる。

 

 固い握手を交わした二人は連絡先を交換し、忍術としてもアイドルとしても交流を深めることになった。

 

 運動会の結果は白組の勝利で、もみじはこの運動会に参加したことで月光花の知名度が上がれば御の字だと悔いなく終えた。

 

 全員東京での仕事を終え、京都にまた戻ると平安館が文化祭シーズンに入るようになる。

 

 月光花はそれぞれのクラスで文化祭の準備に取り掛かった。

 

 つづく!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。