はなたちはひめぎくと花柳を置いて罪魔一族の元へ走って向かっていく。
花柳が刀を取り、ひめぎくが素手で罪魔信者たちに挑もうとしているので、はなたちは全力で走って突破していった。
信者たちも止めようとしたが、はなたちは日ごろから武道の授業で鍛えているので、かわすことは簡単だったのだ。
全員突破するともう信者たちもひめぎくたちを押さえるのに手いっぱいで、誰も止めに入ることはなかった。
「なんとか上手くいったね」
「ひまわりにしては結構強引な作戦だったわね」
「小手先の作戦だと誰か一人でも置いてけぼりになるかなと思ってね」
「それよりも奥に進む度に罪魔力が強くなっていくよ……?」
「ここは私に任せてください。妖怪メダル! 鵺! これで全員正体がわからなくなり、霧隠れができると思います」
「見張り役も必要でしょう? 私も妖怪メダル! 百目!」
「改めて妖怪メダルって便利でございますね」
「だがいざという時にしか使えないのだ。それが今ということだろう」
「ひめぎくちゃん……」
罪魔一族に途中で見つからないようにもみじが鵺の妖怪メダルを使って正体を隠しながら移動をする。
同時にわかばは百目という目が百個ある妖怪の能力で目が多い分、視野が非常に広がるという能力を利用して奇襲に備えて見張り役をする。
わかばはメガネをかけるほど視力が弱いが、妖怪の力を借りて視力の弱さを克服させたのだ。
武士道精神と妖魔力、そして春日家で手に入れた神通力も備わっているので魔力が強く、罪魔一族に探知されるのも時間の問題だった。
そこで妖魔力で鵺の正体不明の能力で見つかりにくくする作戦に出たのだ。
奥へ進んでいくと徐々に罪魔力が強まり、普段から罪魔力をお祓いしているはな以外は肌に痛みを感じた。
「肌がピリピリする……!」
「はなくんは平気なのかい?」
「はなは普段から人々の罪魔力のお祓いをしているから慣れてるんだよ」
「慣れててもここまでの罪魔力ははじめてだよ……!」
「はな先輩でさえ怯えるとは……侮れませんね」
はなは普段から罪魔を祓う仕事をしているが、その総本山でさえも肌がピリピリするほどの罪魔力で人を寄せ付けないものだった。
はなたちはより一層警戒を強め、人妖神社へ忍び足で向かって行く。
すると先ほど花柳が運転していたはずのワゴンカーがはなたちの元へ来てクラクションが鳴る。
「あの車は花柳先生の……!?」
「でも先生は罪魔信者たちと戦ってるはずでございますが……」
「念のために私が様子を見よう」
いきなりワゴンカーが来たので誰かが盗んだ可能性を考えて、つばきが運転席を見ようと近づく。
つばきは警戒しながら運転席を覗き込むと、そこには一人の女性が運転していた。
「こんな状況でも油断をしない心、武士道には必要な残心ですわね」
「あなたは……美月先輩!」
「花柳先生に話を聞き、急遽東京から戻って参りましたわ。説明は運転中に致しますからお乗りください! 罪魔一族と戦うのでしょう?」
「話が早くて助かります! みんな、乗りましょう!」
輝夜がワゴンカーを運転していて、花柳から話を聞いていたからか話がスムーズに済んでワゴンカーに乗る。
運転中に罪魔たちが襲いかかるも、輝夜は容赦なくスピードを上げて罪魔たちをはね退けていた。
「先輩って結構大胆でございますね……」
「いくら緊急とはいえ、輝夜先輩も活発だよ……」
「罪魔一族、わたくしが大学で学んだ神話上の悪魔。そして平安館大学に代々伝わる罪魔一族と春日家の因縁。京都で罪魔一族が大暴れしているニュースを度々拝見しましたわ。だからこそ後輩たちのためにわたくしは水面下で車の免許を獲得し、皆さまをサポートしようとしましたの。今こうしてサポートできて光栄ですわ」
「やっぱり先輩って大胆ですね」
「そりゃあ月ノ姫のエースでセンターだったんだもん!」
「ですが今の美月輝夜はただのソロアイドルですわ。そして今はわたくしたちの跡を継いでくれる頼もしい後輩たちがいます。だからこそ花柳先生のアイドルグループを皆さまに託すことができますの。だからこの平和と秩序のためにも……必ず罪魔一族に勝利をもたらしてくださいまし」
「「「はい!」」」
「さあ着きましたわ。これ以上わたくしが進むと足手まといになりますからお待ちしています。どうか……全員御無事で帰ってきてください」
「先輩の頼みとあらば、我々も尽力を尽くします」
輝夜ははなたち月光花に世界の平和と秩序を託し、車の中で待つことになる。
はなたちは変身をして敵陣であるアジトに乗り込み、はなの実家の人妖神社の奪還を目指す。
しばらく歩いていると地獄のような祭壇があり、そこで罪魔一族たちが待ち構えていた。
「よくぞ来た、春日の者どもよ」
「罪魔一族……!」
「信者どもは貴様らを止めきれなかったようだがまあいい。いずれ貴様らが来ることを読んでいたのだからな」
「何ですって……!?」
「そして我の相手をするのはまだ早いようだ。だが貴様ら二人は最も危険だ、しばらく身動きを封じさせてもらう」
「えっ……? うわっ!?」
はなとひまわりはアクドーによって縄にしばかれて磔にされてしまった。
もみじたちは慌てて縄を切ろうとするも全く切れなかった。
そしてアクドーは椅子から立ち上がると、今度はもみじたちの背後から鏡が現れる。
「そこの二人は春日の力が強い。故に動きを封じさせてもらった。だが残りの5人はそうでもないようだ。よって、我が子たちが相手になろう」
「なんだって……!?」
「ふふふ、ここまで来たことは褒めてやろう。もし我々を止めることができればアクドー様と戦い、貴様らの平和とやらを撮り戻ることができる」
「ですが我々にすら勝てないようでは、平和とやらを取り戻すことは不可能です」
「そこであなたたち5人が私たち5大将と戦い、勝ち抜く必要があるってこと」
「まあ俺様たちに勝てるはずがねえけどな!」
「平和が欲しければ浄玻璃の鏡に入って俺っちたちと戦うッス!」
罪魔一族の5大将はそれぞれ鏡の中へ入っていき、罠だとわかっていても入らなければアクドーと戦えず、平和を取り戻すことはできないと覚悟を決める。
はなとひまわりが動けない以上は封印魔法を使うこともできないので、5対象と戦い勝つことを選択する。
「私にドクロスケと戦わせてください。スピード勝負ならおそらく私が得意分野となるでしょう」
「わかったわもみじ。私はマノジャークと戦うわ。頭脳戦ならきっと私の方がいいと思うの。正直、本来ならひまわりの方が適任だと思うけども……」
「わかば! わかばだって私に負けない頭脳があるんだから自信を持って!」
「ひまわり……ありがとう! すみれはオニゴロウを相手にしてもらえるかしら? あなたが一番力持ちだから戦えずはずよ」
「わかったよ。その方がいいかもしれないしね」
「では私はオロチマルを相手にしよう。文武両道タイプなら私が適任だろう」
「わたくしはサトリーヌと戦うのでございます! 彼女の心を読む能力はわたくしの閉心術で対処できると思うのでございます」
「確かにるりはいつも平常心を保っているね。それに万が一罪魔一族に心を読まれたらと読んで、ひまわりの覚の能力を使って閉心術が使えるようになったのもるりだ」
「決まりね! 私もそうだけど……絶対に負けて死なないで!」
「「了解!」」」
こうして罪魔一族の五大将と戦う相手が決まり、それぞれの鏡の中へ入っていった。
はなとひまわりは動けないので、ただ仲間の無事を信じるのみだった。
一方こちらは罪魔信者たちと戦うひめぎくと花柳、彼らは人間をやめて罪魔となり、封印魔法が使えない二人なので苦戦をしていたのだ。
つづく!