妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第34話 鏡の世界の戦い

 ひめぎくが妖魔使いに選ばれ輝夜の送迎で人妖神社に向かう頃、はなとひまわりは今も囚われたままで、もみじたちは罪魔一族の五大将軍と戦っている。

 

 はなは心配そうに鏡を見つめるも、ひまわりは自信ありげに見守っていた。

 

「ほう、春日の方はやはり仲間が心配の様だな。だが何故汝は余裕の笑みを浮かべるのだ」

 

「決まってんじゃん! たとえ追い詰められてピンチになっても、みんなの頭のよさで突破すると信じてるからだよ! なんせ私より勉強できるみんなだもん!」

 

「それを誇らしげに言う事じゃないよひまわりちゃん……」

 

「えへへ、そうでも言ってないと戦ってるみんなに失礼だもん。私たちは何もできない以上、みんなの勝利を信じるだけだよ」

 

「ひまわりちゃん……。そうだよね、私たち今は何もできないもんね。みんななら大丈夫……信じているよ……」

 

 ひまわりの言葉にはなは仲間を信じ、囚われていて何もできないからこそ仲間の無事を祈る。

 

 アクドーはひまわりの表情が気に入らなかったが、それでも我慢して絶望したところで殺そうと伺う。

 

 一方の鏡の世界では、もみじはドクロスケと竹林の中でスピード対決をしていた。

 

 ドクロスケの鋭い爪で引き裂かれていて、もみじは二刀の刀で防ぐのが精いっぱいだった。

 

「あれあれ? 人間の底力とやらはこの程度ッスか? だったら俺っちがそんなものをぶっ壊してやるッスよ!」

 

「くっ……! これほど素早い者だとは思いませんでした……!」

 

「でもお前、チビのくせに結構強かったッス! この罪魔である俺っちと互角とは驚いたッスよ! でも……俺っちの方がずっと上だったッス!」

 

「きゃあっ!」

 

 もみじはドクロスケの素早いスピードについていくのが精いっぱいで、刀身も徐々に刃こぼれが起きていた。

 

 ドクロスケはそれでも容赦なく引き裂き続け、もみじは妖怪メダルを使おうにも素早さのあまりに使う隙を与えられなかった。

 

 すみれの方は雨が降り注ぐ湿地で戦い、オニゴロウの圧倒的パワーに押されていた。

 

「これほどのパワーを持っているとは……さすが人間の姿を捨てた罪魔の将軍なだけあるね……!」

 

「ははははっ! 俺様は罪魔一族で一番の怪力の持ち主だ! 貴様のような人間なんぞ虫も同然だぜ!」

 

「さすがに杖では金棒に敵わないか……。だったら妖怪メダルーー」

 

「そんな隙を与えると思ったか! この間抜けがあっ!」

 

「うっ……!」

 

「所詮人間なんかちっぽけでこの程度の存在よ。人間を滅ぼしてから俺様たち罪魔が支配し、地球にやさしい本当の極楽浄土を創るんだ。貴様ら人間になんざ邪魔されてたまるか」

 

 すみれは妖怪メダルを使おうと取り出すも、オニゴロウの金棒に叩き飛ばされてしまう。

 

 妖怪メダルは手元から離れてしまい、すみれは全身に激痛が走って気を失いかける。

 

 つばきは吹雪が舞う雪原の中でオロチマルと交戦し、そのオロチマルに追い詰められてしまっている。

 

「はあ……はあ……!」

 

「貴様ならわかっているはずだ。どれだけ人間どもが反省しようとも、結局人間は同じミスを繰り返し、今もまた昔のように秩序を失いかけている。人間など欲望の生き物で、存在するほど地球のためにならないゴミの集まりだとわかっているだろう」

 

「なるほど……あなたの言うことにも一理ある……。だが……本当にそれだけで絶滅させてもいいのだろうか……?」

 

「ほう、これだけ痛めつけてもなお立ち上がるか。その根性は認めよう。だが貴様もここまでだっ!」

 

「うっ……!」

 

 オロチマルの持つ刀につばきは斬られ、つばきは戦闘不能寸前にまで追いつめられていた。

 

 つばきは人間の醜いところを見ていて、実際に相手の悪質な指導によってケガをし、そして薙刀でイップスに陥るほどにまで精神的に追いやられていたのだからオロチマルの言うことに理解している。

 

 それでも抗う理由をつばきは模索していた。

 

 わかばはマノジャークとの頭脳戦が繰り広げられ、森林の中で心理戦が行われていた。

 

 しかしわかばは全身に槍の切り傷と銃の弾丸によるかすり傷だらけで、逃げ回るのもやっとの状態だった。

 

「どうなさいました? あなたの知恵というのはその程度でしたか? やはり僕の頭脳は人間を超えているのでしょう。所詮人間の頭脳など学習能力のない無駄な頭なのですから、おとなしく死ねば等しく罪魔となり、地獄界で共に暮らせますよ」

 

「マノジャークは私たち人間を罪魔にして地獄界を反映させ、人間界から誰もいなくならせようとしているわね……。ひまわりならどうやって突破するのかしら……?」

 

 

「逃げ隠れしても無駄です。この一撃であなたの息の根を止めてみせますから……死になさいっ!」

 

「万事休すとはこのことね……!」

 

 わかばはマノジャークの銃撃戦に負け、ついに森林ごと破壊しようと最強の一撃を放った。

 

 わかばはどう逃げ隠れしてもこの一撃を避けることができないと悟り、ひまわりならどうやって突破するかをギリギリまで考え抜く。

 

 るりは川と田んぼが栄える村で戦い、サトリーヌの第三の目に翻弄され、体には数本も矢が刺さっていた。

 

「この方の第三の目は厄介でございますね……。わたくしの動きが手に取るようにお見通しでございますか……」

 

「どうしたのかしら? もう抵抗すら諦めちゃったのね。やはり人間は弱く、そして諦めるのが早いこと。よくそれで何万年も進化したと言い張れるわね。さて……あなたにトドメを刺すために死んでもらうわ。覚悟なさい」

 

「っ……!」

 

 サトリーヌの第三の目は相手の心を読むだけでなく、先の行動まで読めるようになっていて、るりはどんな作戦を立てようとお見通しなので半ば諦めがついていた。

 

 サトリーヌは三本の矢を弓で引っ張り、るりの作戦を全て踏みにじるように放つ。

 

 るりはサトリーヌの能力に手も足も出ず、もはや戦う気もなくなっていた――かのように見えた。

 

 しかし五人の目は死んでおらず、諦める気配も徐々に消え、罪魔一族の五大将軍を驚かせる。

 

 はなは五人の最期かと嘆き、手で目を覆いかぶせて隠し、仲間の死を覚悟した。

 

「みんな……もうダメだ……! みんな負けちゃうんだ……!」

 

「どうだ、これが我が子たち罪魔一族五大将軍の力だ。汝たちがどんなに妖魔力や武士道精神があろうとも、我々罪魔の力に敵うはずもないのだからな。人間の姿を捨ててまで得た力だ。この力で人間どもを滅ぼし、我々罪魔が支配する自然のための極楽浄土のために……汝らに死んでもらおう」

 

 罪魔一族五大将軍の攻撃が五人に直撃し、悲鳴もなく全員死んだかのように思われた。

 

 だがひまわりだけは目の輝きを失っていなかった。

 

「へへっ、悪いけど私たちは一人で戦っていないよ?」

 

「何だと……!?」

 

「私たち人間は確かにちっぽけな存在で、西暦時代と同じように秩序も失いかけている。だけど人間は反省をすることで魂を浄化し、そして未来へ一歩ずつゆっくりだけど進むことができる。たとえ生きるために欲望をさらけ出しても……自分を成長させる欲、世界をより良い世界へと変える欲までは罪魔も支配できないよ!」

 

 ひまわりの信じた通り、もみじたちはまだ死んでいなかった。

 

 それだけでなく何故か傷は回復していて、今まで以上に力がみなぎっていた。

 

 一体なぜもみじたちは罪魔一族の五大将軍の攻撃に耐えられたのか。

 

 つづく!

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