妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第35話 

 五将軍の攻撃にやられたもみじたちの姿はなく、完全に罪魔一族の勝利という空気になる。

 

 しかしひまわりは諦めるどころか、むしろ何故か笑顔で見守っていた。

 

 はなはひまわりの表情に疑問を覚え、ひまわりの方を見つめる。

 

「どうして……? みんながやられたのにそんな笑顔でいられるの……!?」

 

「はな、私たちはみんなを信じるって約束した。そしてみんなは絶対に生きて帰ってくるって言ってくれた。みんなが約束を破るようなやつらだと思うかな?」

 

「それは……っ!? みんな! 無事だったんだ!」

 

「やっぱりね……」

 

「え……?」

 

 なぜ月光花は罪魔一族五将軍の攻撃に耐えられたのか、それはもみじたちにはまだ切り札があったのだ。

 

 渡された妖怪メダルは実は複数もらっていて、状況によって妖怪ごとに使い分けられるようになっていた。

 

 もみじにはカラスの翼が生え、いつもより剣術に磨きがかかっていた。

 

 すみれは無傷どころか左手には蜘蛛の糸が張られていて、オニゴロウの動きを完全に止めていた。

 

 つばきの薙刀には猛吹雪が舞っていて、オロチマルの足元を凍らせ、オロチマルすらもつばきの行動が読めなくなっていた。

 

 わかばはむしろ無傷でいて、マノジャークすらも驚く反射神経を見せていた。

 

 るりは身軽になっただけでなく水の流れのような動きでサトリーヌすらも心が読めなくなっていた。

 

 ひまわりはまるでそうなることをわかっていたかのように微笑み、はなを安心させた。

 

「なぜだ……!? なぜあやつらは無事でいられるのだ!?」

 

「残念だったねアクドー! みんなはそう簡単にやられないよ!」

 

「何故だ……!? 何故アンタは無事でいられたッスか!?」

 

「私たちがいつまでも成長しないと思ったのですか……? 人間というのは失敗を経て成長をしていくものです……。そして私は烏天狗の協力で剣術にも磨きが増しました……。だからこそドクロノスケさん……あなたを倒して自分の成長のために突き進んでみせます!」

 

 もみじはドクロノスケに斬りかかり、ついにドクロノスケのスピードを超えてみせた。

 

 もみじは元々負けず嫌いで自己成長のためなら努力を惜しまないストイックな性格だったことで怠惰の罪を超えていったのだ。

 

「君はそんなに自分が偉大なのかい……?」

 

「ああ?」

 

「確かに人間は妖怪などに比べちっぽけさ……。それ故に自分より劣ってる人がいたら優越感に浸りたいさ……。でもそれで自分の心まで磨かれるかい……? 自分が優れているから他人を見下してもいい……。自分より劣ってるから見捨ててもいい……。そんな傲慢では誰も助けてくれなくなるんだ……。私は自分に自信を持ちつつ……他人を尊敬して謙虚な姿勢でい続けるよ!」

 

 すみれの土蜘蛛の能力で糸を張り動きを止めるもオニゴロウは引きちぎりる。

 

 それでもまた蜘蛛の糸を張りオニゴロウの動きを止め続け、どんなに殴られても塗り壁の能力で防御力を上げて耐えきる。

 

「オロチマルよ、人間が憎いか? それともこの世界が憎いか?」

 

「ほう、人間の分際で我に物を言うとはな……」

 

「人間の怒りの感情は自然なことだ……それは仕方のないことだ。だがその怒りをコントロールできずに破壊活動ばかりして得るものは後悔しかない。君は父親のアクドーにそそのかされたのだろう。ならばせめて君の怒りを鎮め……この世界を認めさせてみせるぞ!」

 

 つばきは雪女の能力で氷魔法の威力が上がり、とくにつばきは氷属性敵性が強いためより威力が増す。

 

 オロチマルでさえも凍えるほどの吹雪は手を凍らせ、思うように剣を振るえなくさせていた。

 

「はあ……私って何に嫉妬してたのかしら……? みんなはみんな、私は私だっていうのにね……」

 

「懺悔をしているのですか……? 随分諦めがよくて助かりますね……」

 

「そうね……自分にないものをねだると人は嫉妬に溺れてしまうのね……。私はいつもみんなに嫉妬してリーダーらしくないことも随分してきたわ……。でももうその必要はない。他人の足を引っ張って邪魔したり、大切なものを奪ってまで自分を上げようとしなくていいんだもの! マノジャーク、あなたの巧みな言葉で嫉妬を煽ろうとしたけど残念だったわね! もう私には通用しないわ!」

 

 わかばは一つ目小僧の一点集中だけでなく、百目という妖怪の能力で視野を広げ後ろも見えるようになっていた。

 

 そのためマノジャークの不意打ちにも対応出来るようになり、自分は自分らしくいればいいと心から思うようになってから体も動くようになっていた。

 

「人は愛があるからこど性欲というものは存在するのでございます……」

 

「あら、色欲の罪を認めるのね?」

 

「はい、認めざるを得ないでございます。ですがそれは子孫を反映させるための生物として当然の生理でございます。だからこそ自分の快楽だけに溺れ他人を不幸にしない事、そしてその欲を利用して金儲けに走ったり、騙して人生を壊すような真似をしてはならないのでございます!」

 

 るりは河童の能力で淡水型の水属性が強化され、自分で川を作っては流れるように泳ぎ回る。

 

 サトリーヌはその変幻自在の動きによって心を読むことが出来ず、そのままるりの扇に直撃する。

 

 そう、もらった妖怪メダルは一つだけではなかったのだ。

 

 ひまわりは元々それを知っていて、そして人妖神社の修行で精神を磨き続けてきた仲間たちの心の強さを信じていたのだ。

 

「すごいよひまわりちゃん……! やっぱり名将だよ!」

 

「まあはなはちょっと悲観的なところがあるからね。私のポジティブさで中和されたかな?」

 

「おのれ妖魔使い……! 我が子たちよ! そんなデタラメに惑わされるでない!」

 

 アクドーが一喝するも、一度火が着いたもみじたちを止めることは出来ない。

 

 もみじたちは七つの大罪による感情はあって当然、だからこそコントロールして自分の魂の成長を重視してきたので罪魔一族の言葉が通用しなかった。

 

 そしてついに五将軍も追い詰められ、もみじたちは渾身の一撃を妖魔力として込める。

 

「私は昨日の自分に負けぬよう、今後も精進します! 百鬼満月夜行斬!」

 

「そんなバカなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」

 

「自分を支えてくれたみんなに感謝を込めて! 大砂嵐ノ舞!」

 

「ちっくしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」

 

「この怒りと憎しみの連鎖をここで終わりにするぞ! 細氷ノ陣!」

 

「ここまでか……ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉっ――!」

 

「もう周りと比べて勝手に惨めになったりしない! 木枯砲!」

 

「素直に認めましょう……僕の負けです! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」

 

「愛さえあれば色欲はよきものへと変わるのでございます! 流水ノ鼓動!」

 

「あなたの勝ちよ……! きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」

 

 もみじたちの必殺技が五将軍に命中し、そのまま五将軍は塵も残らず消えていった。

 

 黒い魂はそのままポツンと消え去り、完全に消滅していったのだ。

 

 するともみじたちの目の前に鏡が現れる。

 

 もみじたちは意を決して鏡の中に入る。

 

 するともみじたちは全員無事に戻って来れた。

 

「みんな!」

 

「はな、ひまわり、ただいま戻ったぞ」

 

「本当によかった……!」

 

「私は信じてたよ! みんななら勝つって!」

 

「当然よ! あまり先輩をなめないでちょうだい!」

 

「でも苦戦したでございますね!」

 

「ですが私たち、あの五将軍に勝ちました!」

 

「残るはアクドー、君一人だ!」

 

 勝利を分かち合ったはなたちは一転してアクドーの方へと視線を向ける。

 

 アクドーは実子である五将軍を失ったショックが大きくなり、徐々に怒りが込み上げてきたがそれでも堪えていた。

 

「初めてだ……我が子たちをここまで追いつめ、そして我が子たちを失う憎しみがこみ上げたのは……。そして我をここまで屈辱を味合わせてくれる奴らも貴様らが初めてだ……!」

 

「ならその憎しみをここで終わらせてあげるよ!」

 

「許さんぞ……! 絶対に許さんぞ人間ども! 我が子の仇として人間を皆殺しにしてやるわっ!!」

 

 アクドーの怒りは頂点に達し、はなたちを怒鳴って威嚇する。

 

 軍配を手に持ち暴れ回り、はなたちはアクドーの攻撃を避け続けた。

 

 するとようやく援軍がやってくる。

 

「みんな! お待たせ!」

 

「ひめぎくちゃん!」

 

「来てくれたでございますね!」

 

「でもその恰好って何? 神主?」

 

「私も妖魔使いに選ばれたんだ! これでみんなと一緒に戦えるよ!」

 

「それなら心強い! ひめぎくがいれば百人力だ!」

 

「そうね! てかひめぎくって左利きだったのね!」

 

「わたくしと同じでございますね!」

 

「ふふっ、ひめぎくの知らない一面が見れてよかったよ。さてと……」

 

「うん、まずは罪魔一族との勝負に白黒つけよう!」

 

 ひめぎくが援軍として合流し、アクドーとの戦いがこれから始まる。

 

 つづく!

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