妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第38話 嵐山の決戦

 月光花は琵琶湖でダイダラボッチによる修行で化身の力を得てアクドーが待ち構えている嵐山の頂上へ向かう。

 

 嵐山にはカラスどころか虫すらも一匹もいない状態となり、罪魔によって支配されていることがわかる。

 

 それでも罪魔の反応がなく、どこからともなく襲ってくるということはなさそうだ。

 

「みんな、最後の決戦になるかもしれないけど覚悟はいいかしら?」

 

「覚悟は承知の上です」

 

「私たちは負けるつもりはないよ?」

 

「今更逃げるなど武士道に反するだろう?」

 

「アクドーから世界を守り抜くのでございます」

 

「パパの仇をここで取る!」

 

「白黒つけて私たちの世界を守る!」

 

「花柳先生の分まで必ず……!」

 

「聞くまでもなさそうね。ならリーダーとして一言だけ言うわ。この戦い、必ず勝ちましょう!」

 

「「「はい!」」」

 

 わかばがリーダーとして仲間を鼓舞し、アクドーとの戦いに向けて気持ちを整理する。

 

 わかば自身もアクドーから世界を守ると意気込み、同時に重傷を負ってでも自分たちを守ってくれた花柳に恩返しをするために戦いに挑む。

 

 罪魔の反応を頼りに歩いていくとひときわ大きな反応が嵐山の頂上に反応し、はなはそれを頼りに頂上へ先頭に立って移動する。

 

 すると少しだけ弱っていたアクドーが待ち構えていて、月光花を待っていたかのように立ち尽くしていた。

 

「ようやく来たか、人間ども。先ほどは余計な援軍によって想定外のことが起きたが、もう邪魔者はいなくなった。だがそれでも貴様らはちっぽけで弱い人間だ。この体だろうが貴様らなど赤子に等しい。我に逆らう者は死あるのみ。ここで朽ち果てて死ぬがよい!」

 

 アクドーは軍配を投げ捨てて刀を持ち、最も三つの力が強いはなに斬りかかってくる。

 

 しかし隣にいたひまわりが弾き返し、アクドーの攻撃を防ぎきる。

 

 アクドーはひまわりの反応の速さに少し驚くも、それでも怯まずに月光花のみんなに斬りかかってくる。

 

 しかし修行で強くなった月光花は完全にパワーアップしており、アクドーの攻撃を防ぐだけでなくカウンターでダメージを与え続ける。

 

 アクドーにも焦りが見え始め、徐々に攻め方が雑になっていくのがわかった。

 

「なぜだ……!? なぜ斬れぬっ!?」

 

「すごい……! これが化身の力……!?」

 

「でもまだ私たちは生身だよ?」

 

「琵琶湖の底にいたから水圧がない分、陸だと動きやすいのだろう」

 

「なるほど! これならこっちのものだね! 火柱ノ陣っ!」

 

「うぐっ……!」

 

 修行の際に琵琶湖の底にいたので水圧がかかっていたので重力に勝てるほどになり、陸に上がった瞬間に体が軽くなっているのがひまわりたちにわかり始める。

 

 そのためか花柳によって致命傷を負わされたアクドーの攻撃が見えるようになっており、全て避けることが可能となっていた。

 

 アクドーは古傷である胸部を押さえつけ、痛みに耐えるようにしながらはなたちに斬りかかる。

 

 それでもはなたちの攻撃は止まらず、ついにアクドーはフラっと立ちくらみが起きる。

 

「おのれ……あやつさえいなければ我は今頃こんな小娘共に……!」

 

「花柳先生の仇……ここで取らせてもらうよっ! 花弁の矢っ!」

 

「ぐはぁっ!」

 

 はなの意志は強く、とくに武士道精神と妖魔力、そして神通力が最も強く現れる。

 

 アクドーも徐々に追い詰められ、余裕をなくしたのか怒りを露わにする。

 

「人間の分際で何ゆえにここまでの力を得たのだっ!」

 

「人間の力を侮るべからず、ですよ!」

 

「おのれぇーーーっ!」

 

 アクドーは怒り狂いフルパワーで月光花に斬りかかってくるも花柳の神通力によって力は弱まっていた。

 

 そのせいかダメージを受けていたアクドーは全身に痺れが起こり、ついに刀を手放してしまう。

 

「花柳師匠……あなたのおかげでアクドーの動きが弱まりました! 焔間ひめぎく、参るっ! 鋼の鉄槌っ!」

 

「ぐはぁーっ――!」

 

 ひめぎくの金棒がアクドーによって叩き潰される。

 

 同時に重い一撃でアクドーは倒れ込み、ひめぎくは死を確認すべく残心を示した。

 

 アクドーはピクリとも動かなかったが、息があったので倒したわけではないと判断する。

 

 するとやはりアクドーはただではやられず、ゆっくりと立ち上がり始めたのだ。

 

「どうやら人間を少々侮りすぎたようだ……。罪魔の長となった以上は人間には負けられないはずだが……人間には成長する力があることを忘れていた……。ならばもう貴様らに容赦はせん! 我の本気の姿を見せてやろうっ!」

 

 アクドーは弱りながらも力を溜め、そしてその力を一気に爆発させる。

 

 すると痩せこけていたアクドーの体が筋肉質へと変わり、背も伸びてより豪傑さが目立ち始める。

 

 着物ははだけて腹筋が割れ、まるで歌舞伎者のように豪快な姿となった。

 

 灰色の肌やスキンヘッドは変わらなかったが、200センチほどの身長となったアクドーは息を荒くして月光花を睨む。

 

「はあ……はあ……! これが地獄界にいる時にしか見せない本来の姿だ……。この姿を見た者は必ず死に至るのだ……。貴様らにとっての世界とやらを破壊し……真の極楽浄土を創り直すまでは……我は負けるわけにはいかんのだっ! 貴様らをここで殺し……二度と転生できぬよう魂まで地獄の業火で焼き尽くしてくれるわっ!」

 

「そんなこと……絶対にさせない! 確かに人間たちは無意識に罪を犯すこともあるし、反省する人も減ってはいる。それはあなたの言う通りだし認める。だけど……もう二度とあの時のような悲劇を起こさせないために私たち平安館生はこうして武士道を学び、世界中に広めている! 人間としての秩序を守る心の強さが源の武士道精神……。人間の潜在能力を引き出す妖魔力……。そして日本の神々の力で未来を切り開く神通力がある限り、罪魔たちの好きにはさせないっ!」

 

 アクドーの真の姿を目の前にしてもはなは怯んではいたが、それでも逃げずにアクドーに立ち向かっていった。

 

 普段臆病で引っ込み思案のはなが自分の気持ちを真っ直ぐぶつけたことにひまわりたちは驚いた。

 

「あの引っ込み思案のはながここまで言ったんだ……私だって負けないよ! アクドー! お前が何でそこまで人間を恨んでいるのか知らないけど、私たちは絶対に負けないんだから!」

 

「はな先輩の言う通りです! 確かに人々はどうしようもない罪を犯すこともありますが、懺悔をして前に進む権利を邪魔される筋合いはありません!」

 

「失敗と反省、そして成長を邪魔するのなら私も容赦はしないさ! 君の怒りを鎮めるために私たちは戦うよ!」

 

「貴様の考えを全否定しない私たちの心の器は眩しいか? 綺麗事ではどうしようもないことくらい私たちにはわかっている! だからこそ貴様を止めてみせるぞ!」

 

「私たちだって失敗はするし、気が付いてないだけで罪を重ねているかもしれないのだから、いちいちすべてを気にしていたら生きていること自体が罪になるわ! それは人間だけでなく、全ての生き物にも当てはまることを忘れないでちょうだい!」

 

「アクドーさんのお怒りはきっと過去に何かあったのでございますね……。なぜああなたは罪魔になってまで人間を滅ぼそうとするのですか……?」

 

「ほう……? 貴様は我の過去について聞きたいと申すか。いいだろう、なぜ我が人間をそこまで恨むのかじっくり話してやる」

 

「アクドーの過去……。パパすらも話したがらない秘密があるのかもしれない……。アクドー! お前の罪を裁く前にお前の過去を聞かせてほしい! パパすら教えてくれなかったアクドーの過去を!」

 

「あの忌々しい春日家すらも話さぬか。まあいい、何せ春日兄弟と我は元々は……幼なじみだったのだからな!」

 

「「「何ですって……!?」」」

 

 アクドーの過去が気になったるりが質問を投げかけ、過去の話を聞いていなかったひめぎくも気になったことでアクドーが答え始める。

 

 するとアクドーと春日兄弟は幼なじみと発言し、はなたちに衝撃を与える。

 

 そう、元々アクドーは西暦時代に生きていた人間の男性だったのだ。

 

 つづく!

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