妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第43話 中等部卒業

 月光花にも日常が戻り、3月となって卒業の時期になる。

 

 はな、ひまわり、すみれは中等部を卒業することになり卒業式を迎えていた。

 

「中学最後の年でいろいろあったね」

 

「うん、まさか私までアイドルになるなんて思わなかったな」

 

「巻き込んじゃってごめんね?」

 

「ううん、大丈夫。今となってはアイドルも楽しいよ。おかげで神社もご利益ありそうって繁盛しているんだ」

 

「アイドルとして成功しているのもあるけど、やっぱり罪魔一族に勝ったことで勝利祈願になってるんじゃないかな?」

 

「そうかなあ? わからないけどそうなのかも」

 

「はなはいつも通り謙虚だね。じゃあはな、卒業記念に写真撮ろ!」

 

「うん、わかった」

 

 はなとひまわりは幼稚園からの幼なじみで、中等部でも親友でいる関係だ。

 

 中等部卒業記念に写真を撮り、ブログに投稿するなど月光花の宣伝もする。

 

 そして中等部卒業で困っているのはすみれだった。

 

「せんぱ~い……卒業しないでくださいぃ~……!」

 

「心配しなくても高等部に進学するから安心して? それに君たちも学業に励めば高等部に進学できるからね? 高等部で君たちのことを待っているから安心してほしいな」

 

「はいぃ~……」

 

「本当に困った後輩たちだね……」

 

 すみれのファンクラブの会員である女子の後輩たちはすみれが卒業してほしくないがために泣きだしていて、すみれに甘えていた。

 

 すみれは泣きじゃくる後輩たちに困り果て、どうすればいいのか迷っていた。

 

「すみれちゃん?」

 

「すみれ、こんなところで何しているの?」

 

「はな君、すみれ君。来てくれたんだね」

 

「先輩、この方たちは?」

 

「こちらは春日はなと日向ひまわりだよ。私と同じ月光花の仲間なんだ」

 

「えっ!? すみれ先輩のお友だちですかっ!? あわわわ……!」

 

 ファンクラブの後輩たちは、はなとひまわりに泣きじゃくる姿を見られたことに恥ずかしくなり慌てて顔を隠す。

 

 すみれも少しため息をつきながらも笑顔で見守り、ひまわりはクスっと微笑んだ。

 

「すみれ、面白い後輩だね」

 

「ふふっ、ひまわり君も気に入ってくれたかい?」

 

「少しすみれに夢中すぎるところが可愛いかも」

 

「もうひまわりちゃん。あんまり褒めてないよ?」

 

「あ、あのっ! 私、すみれ先輩だけでなく月光花のファンなんです! よろしければサインをください!」

 

「あーズルい! 私も欲しいですっ!」

 

「抜け駆けは禁止だよー!」

 

 すみれだけでなく、はなやひまわりもファンクラブの後輩たちにサインをねだられ、すっかり自分たちが有名人なんだと自覚する。

 

 はなとひまわりは期待に応えるべくサインを渡し、後輩たちは嬉しそうに飛び跳ねて喜ぶ。

 

「「「先輩方! サインありがとうございました! 絶対に大切にします!!」」」

 

 お礼を言って後輩たちは満足したのか走り去っていき、すみれも安心したようにため息を吐く。

 

「すまないね、君たちが来なかったらきっと私はみんなのところへ来れなかったと思うよ」

 

「すみれって後輩たちに人気だもんねー」

 

「あの子たちはファンクラブの子たちかな?」

 

「そうだね。少しだけ視野が狭まることがあるけれど基本的にはいい子たちだよ」

 

「うーん、すみれが絡まなければいい子って事かな?」

 

「また失礼なこと言ってるよひまわりちゃん……」

 

「そうかもしれないね。じゃあ二人とも、事務所に戻って先生に卒業報告をしよう」

 

「「うん!」」

 

 はな、ひまわり、すみれの中等部卒業組が合流し、花柳に卒業の報告をするために事務所へ向かう。

 

 三人で少し寄り道しながら事務所に着き、花柳はリハビリをしながら三人を迎える。

 

「花柳先生! 中等部を無事に卒業しました!」

 

「うむ、ご苦労であった。皆の衆の門出をお祝いするぞ」

 

「先生もリハビリお疲れ様です。体はもう大丈夫ですか?」

 

「日常生活を送る分には申し分はない。ただ激しい運動や無茶な仕事は控えるよう先生に言われている」

 

「花柳先生の回復力ってすごいかも……」

 

「その事は某自身も驚いている。春日殿の神社に毎日参拝している故にご利益があったのかもしれぬな」

 

「毎日参拝ありがとうございます」

 

 花柳は自身の回復を祈願して毎日人妖神社で参拝し、ご利益があったのか予想以上に体が回復している。

 

 花柳自身も驚くほどの回復スピードで、リハビリでも松葉杖が必要ないくらいにまでなっている。

 

 ただし仕事はいつもの半分以下にとどめていて、プロデュースをひめぎくに任せてある。

 

 しばらくすると在校生として残っていたもみじも合流する。

 

「紅葉もみじ、遅くなりました」

 

「うむ、在校生として卒業式の運営ご苦労であった」

 

「先輩方、ご卒業おめでとうございます」

 

「ありがとうもみじちゃん」

 

「中等部のことはひめぎくと一緒に任せたよ!」

 

「高等部でもみじ君のことを待っているからね」

 

「はい、必ずや高等部に進学してみせます」

 

 もみじとひめぎくのみ中等部に残ることになり、二人で中等部を引っ張っていくことになる。

 

 もみじは中等部の生徒会長にもなっていて、中等部を引っ張るリーダーとして責任を全うする。

 

 そして高等部組の先輩たちも遅れて合流する。

 

「すまない、遅くなった」

 

「申し訳ございません」

 

「先輩方! お疲れー!」

 

「話は既に聞いているぞ。紺野殿は生徒会としての責務、冬野殿は薙刀部の稽古、常盤殿は自主勉学だったな」

 

「はい、やはり卒業式だろうと学生ですから」

 

「生徒会として高等部を支えてまいりましたのでございます」

 

「薙刀部は今年も連続で全国に出場すべく励んでいます」

 

「残るはひめぎくのみだな」

 

「そうね、彼女はきっと妖魔界で勝利を伝えているはずよ」

 

「でもしばらくは妖魔界を堪能した方がよさそうですね」

 

「だね、せっかくの里帰りだからゆっくりしていってほしいね」

 

 ひめぎくは罪魔一族に勝利したことを妖怪たちに報告するために一度妖魔界に里帰りをしている。

 

 そのためしばらく人間界には訪れず、妖魔界で休養を取ることとなっている。

 

 すると社長室のドアがノックされる。

 

「花柳さんはいらっしゃいますか?」

 

「ここにいるぞ。入りなされ」

 

「ハヤテお兄ちゃん!」

 

 社長室を訪れたのははなの名付け親で兄貴分の天狗の天風ハヤテだった。

 

 スーツ姿で整った顔立ちで赤い髪をした男性で、とても紳士的なサラリーマンだ。

 

 そんな天風ハヤテは花柳に用があるらしく、ビジネスバッグから何かを取り出す。

 

「花柳さんだけでなく月光花のみんなにひめぎく様からの伝達をお届けに参りました。ぜひ読んでみてください」

 

「感謝する」

 

 天風ハヤテはひめぎくからの手紙を受け取り、早速開封して読んでみる。

 

『花柳師匠と月光花のみんなへ。妖魔界に里帰りし、パパの仇を完全に討ち勝利したことを報告しました。すると妖魔界も平和になり、私は英雄として歓迎されました。そこで新しい妖魔大王を就任する儀式を行いますが、皆さまをご招待させていただきます。妖魔界への入り口ははなさんが把握しておりますので、人妖神社にお集まりください。焔間ひめぎくより』

 

 ひめぎくからの手紙に新しい妖魔大王の就任式の招待状が届き、はなたちは妖魔界に平和が戻ったことに喜ぶ。

 

 同時に就任式に招待され、妖魔界に赴くことが決定する。

 

「どうする? はな」

 

「どうするも何も……妖魔界に行こう! ひめぎくちゃんが誘ってくれたんだもん!」

 

「そうだね。ひめぎく君からのせっかくのお誘いだから行こう」

 

「では某は保護者として参ろう。よろしいか?」

 

「「「はい!」」」

 

 こうして花柳と月光花は妖魔界に行くこととなり、はなの実家の人妖神社へ向かうことになった。

 

 つづく!

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