妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第47話 アイドルサマーライブ

 8月も終盤にかかり、さいたまスーパーアリーナでアイドルサマーライブが開催される。

 

 月光花だけでなく高飛車財閥騒動を乗り越えたアルコバレーノ

 

 トップアイドルグループのSBY48。

 

 幼なじみガールズバンドアイドルのアフタースクールズ。

 

 かつて世界中を熱狂させた前世代トップアイドルグループのスマイリング娘。などが出演する。

 

 ソロでは元暴走族の藤沢拓海、声楽とアイドルの二刀流の白銀雪子、天才と言われているトップアイドル茶山くるみ、そして野球とアイドルの二刀流でもある夜月暁子など注目のラインナップとなる。

 

 しかしそんな開演前にアルコバレーノの桃井さくらと、SBY48の前田あかりが掛け声で誰が仕切るかを譲り合っていた。

 

「ここはやっぱりSBY48のセンターであるあかりちゃんがいいって思うよ」

 

「私はさくらちゃんがいいかなって思うよ。あの厳しい戦いを乗り越えたんだから」

 

「このままでは二人の譲り合いが終わらんぞ」

 

「あかりさんも遠慮しやすいですから」

 

「一生終わんねぇから、いっそのことじゃんけんにしたら? 負けた人が合図を仕切るってのがいいな」

 

「そうするね。いくよ、じゃんけん――」

 

 二人があまりにも譲り合うので、同じくSBY48の高橋ひかりがじゃんけんを提案し、二人はじゃんけんをする。

 

 結果はあかりが負け、あかりが仕切ることとなる。

 

「それじゃあ――私が『アイドルー!』って叫んだら、みんなは『サマーライブ!』って叫んでね。円陣組んで右手をVサインにして円を作り、そのまま頭の上まで手をブイサインのまま上げてね。いくよ! アイドルー――」

 

「「「「サマーラーイブ!」」」」

 

 掛け声と同時に開演し、双子デュエットアイドルの今川メイドリーミングがおそろいのメイド服姿でお菓子を客席に配ってステージを盛り上げる。

 

 次の藤沢拓海はバイク型の大道具に乗って爆音を鳴らし、特定のファンによる『姉御ー!』という歓声に包まれる。

 

 さらに天才・茶山くるみの圧倒的な歌とダンス、そしてファンサービスに観客は夢中で、これがトップアイドルなのかとひまわりは目の当たりにする。

 

「すごいですね、茶山くるみさんは」

 

「うむ、茶山先輩は天才と呼ばれているが、実は陰で努力をしているのだ。口には一切出さぬが茶山先輩の努力する姿を見て私も喝を入れている」

 

「真面目なゆかりさんも刺激を受けているのですね。私も負けていられませんね」

 

「もみじも私に負けぬくらい努力家ではないか。持久走では私が勝ったが、短距離ではそなたが勝利した。お互いよきライバルでいたいものだ」

 

「はい、勝負もいいですが、今は共にアイドルサマーライブを盛り上げましょう」

 

「そうだな。こうしてそなたと肩を並べるのもそうそうない。全力で楽しもう」

 

 もみじとアルコバレーノの紫吹ゆかりは同じ忍術の道場で、流派が違う長い歴史を誇るライバル関係だ。

 

 東の紫吹流、西の紅葉流と呼ばれていて、西暦の戦国時代から3000年以上も続く伝統的な忍術同士で肩を並べ共に語り合っていた。

 

 その様子を同じく薙刀という武道をしているつばき、杖道で時代劇のアクションに活かしているすみれ、護身術を学んでいるわかばはもみじの意外な一面に微笑む。

 

 アフタースクールズは息の合った演奏で観客を虜にし、圧倒的な演奏技術に度肝を抜く。

 

 続いてアマチュアでも話題のスクールアイドル、海外からのアイドルグループ、ネットアイドルや地下アイドルなど様々なアイドルたちのパフォーマンスを終え、ついにシークレットゲストのセットリストとなった。

 

 当然シークレットゲストは誰なのかを出演者は知らされていない。

 

「シークレットゲストって誰なんだろう……?」

 

「私たち出演者には事前に知らされないくらいだからきっと大物だと思うよ?」

 

「うーん……私でさえ想像つかないなあ」

 

「ひまわりさんでも想像つかないんだ。私も誰なのかわからないや」

 

「ひめぎくさんでさえわからないのでございますね」

 

「うむ、やはり気になるな……」

 

「っ……!?」

 

「桃井さん……?」

 

 月光花では誰がシークレットゲストなのかを想像していると、突然桃井さくらが飛び出していく。

 

 その様子を見たわかばが後をつけると、そこには桃井さくらの母親と叔母らしき女性二人が到着していた。

 

 わかばの後を追ったひまわりは女性二人を見て驚く。

 

「あの二人はまさか!? チェリーブロッサム!?」

 

「ひまわり、知ってるの?」

 

「知ってるも何も日本のアイドル界を席巻した姉妹アイドルデュエットだよ! 今の世代にも通じるほどの名曲をたくさん生み出した伝説のアイドルだよ!」

 

「なるほどね、そんなすごい大先輩の血をあの子は引いていたのね」

 

「道理でさくらはチェリーブロッサムの面影があると思った……!」

 

 そう、アルコバレーノの桃井さくらは実はチェリーブロッサムの一人の娘であり、もう一人の姪っ子だったのだ。

 

 ひまわりは伝説のアイドルたちを見て感動し、わかばにチェリーブロッサムの伝説を教わる。

 

 チェリーブロッサムのパフォーマンスでは伝説は衰えておらず、年配のファンたちが感動のあまりに泣きだすなど大いに盛り上げる。

 

 さらに白銀雪子、夜月暁子と期待の新星もレジェンドに負けないくらいのパフォーマンスを見せ、スマイリング娘。の王者らしい笑顔溢れる歌を終えてついに月光花に出番が回る。

 

「それじゃあいくわよ! 日ノ本に咲き誇る花の色! 真夜中に光る美しき月! 月光花!」

 

「「「いざ参る!」」」

 

 わかばが月光花の掛け声をかけ、ポップアップ形式でステージに登場する。

 

 一曲目は琴のソロから始まり桜の演出のためにピンクのライトが照らされ、るりがセンターで日舞のように華やかに舞う。

 

 二曲目では7人で和太鼓を叩き、京都の通り名の数え歌をポップスアレンジした盆踊り風の覚え歌を披露。

 

 最後の三曲目で百人一首で人気の句、ちはやふるの句を原作とした曲を歌い、海外ファンからの大きな歓声に包まれた。

 

 最後のアルコバレーノとSBY48を終え、ライブ用のTシャツに全員着替えてアンコールに応える。

 

 ライブのテーマは未来がテーマで、未来のためにみんなで革命を起こすというのがモチーフになっている。

 

 そのテーマソングを歌い終え、一人ずつファンのみんなに感謝を込めて一言マイクに込める。

 

 出演者による一言を言おうとしたが、白銀雪子の呼吸が荒くなり、激しく汗ばんで倒れていった。

 

「はあ……はあ……!」

 

「白銀さんっ! しっかりしてっ!」

 

「おい!誰か救急車を呼べ!」

 

「私が心臓マッサージをします!」

 

「すまないもみじ……!」

 

 白銀雪子の心臓マッサージと人工呼吸をもみじが担い、紫吹ゆかりは申し訳なさそうにもみじに託す。

 

 会場は騒然となり、雪子のアクシデントにパニックになっていた。

 

 救急隊員が到着し、アルコバレーノと茶山くるみだけ途中で抜けて病院へ付き添った。

 

 最後の曲を歌い終え、成功したものの失ったものは大きかった。

 

「白銀さん、大丈夫かな……?」

 

「はな、心配だよね……。でも私たちじゃ何もできないんだよね……」

 

「白銀君なら大丈夫だと信じたいね……」

 

「あの子、心臓病を生まれつき患っていたそうだ……」

 

「では持病が出てしまわれたのでございますね……」

 

「私がもっとしっかりしていればあの子は……!」

 

「もみじ、あなたは充分頑張ったわ。今は白銀さんの無事を祈りましょう」

 

「そうですね……白銀さんならきっと……」

 

 わかばの励ましでもみじは少しだけ気が楽になり、さいたまスーパーアリーナを後にする。

 

 見舞いに行こうにもアルコバレーノたちの邪魔をしてはいけないと全員で判断し、宿泊しているホテルへ戻る。

 

 しかし現実は残酷だった、白銀雪子が亡くなったニュースを目の当たりにし、アイドル界は悲しみに明け暮れたのだ。

 

 つづく!

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