なでしこアイドルグループの最初の仕事として、もみじは実家である
もみじの母は代々伝わるくノ一の子孫で、父は京都でも有名な剣術の師範と、居合や抜刀でも活躍してきた伝統ある忍者家系だ。
そんな紅葉流忍術をテレビ京都の取材班が訪れ、もみじはその忍術の紹介をする。
「紅葉流師範代の紅葉
「うむ、よろしく」
「ええ、よろしくお願いします」
「もみじ、ちゃんと案内をするのだぞ。アイドルになった以上はきちんと責務をこなすのだ」
「はい、父上」
もみじは元々ライバルである東の忍術といわれる
同時にまだ小学6年生である従姉妹のしのぶは、分家である鎌倉からよく勝負に挑み、何度も負けてきたことを知っている。
もみじはしのぶの負けず嫌いには世話を焼きつつも、総本家であるもみじにも誇りがあり、紫吹流には負けるつもりはなかった。
そんな中で取材開始の時間が訪れる。
「おはようございます。京都こどもの会がまた始まりました。よい子のみんなは元気にしてたかなー? それでは早速、よい子のみんなに健康になれる体操を、ある先生方が教えますよー! せーの――」
「「「紅葉せんせーい!」」」
「紅葉宗司と申す」
「紅葉雅美です」
「今日はどんな事を教えてくれるのですか?」
「うむ、今日は我が子のもみじが朝から始められる忍術の心得を――」
「もう、宗司さんったら。小さな子どもたちが見ていますよ? そんなに硬いと怖がっちゃいますよ? 簡単に言うと、忍者さんの体操をよい子の皆さんにまねっこしてもらいます。私たちの子であるもみじおねえさんについて来てくださいね」
「わかりました! ではもみじおねえさん、その体操をよい子のみんなに教えてくださいね!」
「かしこまりました、父上、母上。後は私がご案内いたします」
歌のお兄さんをやっている大物俳優が司会を進行し、もみじの両親と交流を深める。
呼ばれたもみじは着物姿からオレンジ色の子ども向けの忍者衣装に着替え、少しだけ身体を温めるために独自の体操をする。
もみじの父は慣れないテレビの撮影で深い溜息を吐き、もみじの母は父の額をタオルで拭いて励ます。
撮影時間になり、もみじは着替え終えたのですぐに準備をする。
「皆さんこんにちは。もみじおねえさんです。これからニンニンニンジャ体操を始めます。まずはテレビの前から離れ、お父さんとお母さんにぶつからない様にしましょう。手を横に腕を上げて、腰を回してくださいね。はい、皆さんこれで立派なニンジャになりました。ではニンニンニンジャ体操を始めます。音楽、スタート!」
「ニンニンニンジャ、ナンニンじゃ♪ あんよを上げて、シノビアシ♪ お手てを上に、ニンニンニン♪」
もみじは恥ずかしがらずにニンニンニンジャたいそうを歌いながら踊り、子どもたちを楽しませていた。
嫌な顔どころかいい笑顔で踊る姿にテレビ局のディレクターは嬉しそうにスタッフに話しかける。
「紅葉もみじちゃん、テレビ慣れしているね」
「ええ、さっきお母さんから聞きましたが、よく道場で子どもたちのご指導をなされているそうです」
「それであんなに笑顔で動けるのだね。アイドルデビューしたと聞いたけれど、これは期待出来そうだ」
「何せあの
「間違いないな」
「よい子の皆さん、ニンニンニンジャたいそうで、立派なニンジャになれましたか? はい、いいお返事です。それではここで宣伝いたします。明日の朝8時にテレビ京都にて、忍道戦隊シノビンジャーがテレビの前の皆さんの前でご活躍なされます。エンディングで歌われますのでシノビンジャーと一緒に躍りましょうね」
「「「はーい!」」」
「はいオーケーでーす! お疲れ様でした!」
「ありがとうございました」
「あーそうそう、お友達が来ているよ!」
「お友達ですか……?」
ニンニンニンジャたいそうはシノビンジャーのエンディングにも抜擢され、もみじは早くも地上波テレビに進出する。
しかも普段から子どもたちに忍術を指導していて、慣れている様子にスタッフたちも笑顔になった。
そこでお友だちが来ていると聞いたもみじは誰が来たのか楽しみになる。
門下生の同期たちは撮影の準備で全員いるので、学校の友だちにしても授業を受けているので来るはずがないのだ。
「へへ、来ちゃった♪」
「お邪魔します」
「
同じグループで学校の先輩であるはなとひまわりが差し入れを持ってきて、もみじの好物である
しかしもみじは先輩の二人から発せられている不思議な力が気になり、スタッフがいなくなった辺りで聞いてみようと動く。
スタッフがいなくなり両親が縁側でお茶をしている間にもみじは二人にお茶と自分で作ったまんじゅうを渡す。
「先輩方、わざわざありがとうございます」
「いいんだよ。同じアイドルの仲間だもん。それに、紅葉さんの仕事っぷりを見て刺激をもらおうと思ってね」
「お邪魔じゃなかったかな?」
「とんでもありません。お二方に来ていただいて私も嬉しいです。それから、先輩方にご質問があるのですがよろしいですか?」
「何かな? 何でも聞いてね」
もみじははなたちが発している妖魔力が気になり、はなは神社の子だからともかく、ひまわりはどこでその力を得たかをもみじは知らない。
そのため踏み込むことになるがはなたちに妖魔力について質問をする。
「先程からお二方から何か不思議な力を感じるのです。どこか闇の力と言いますか……それでも悪の力ではなく、何か聖なる力を感じるのです。お答え出来ないのであれば無理にとは言いませんが、何か知っていますか?」
「それは……」
もみじは忍術で戦闘力も高く、簡単にはなたちに宿っている妖魔力を感じ取った。
はなは無関係の人を巻き込みたくない一心でごまかそうとするが、言葉が浮かばず黙ってしまった。
それを見てまずいと感じたひまわりは、機転を利かせて神社の力だと説明する。
「はなはね、
「そうでしたか。先輩方、質問にお答えいただきありがとうございます」
「ううん、私の方こそ威圧しちゃってごめんね。紅葉さん、お仕事お疲れ様」
「ありがとうございます」
ひまわりのアシストによって妖魔力を隠すことができたが、もみじはそれだけじゃないと思ったが、あえて首を突っ込むのをやめた。
自分にはない力があるという事は、人妖神社の大火事と深い関係があると思い、関係のない自分が変に突っ込むのは危険だと思ったからだ、
もみじは妖魔力の事を一旦忘れ、はなたちをもてなすためにお茶を用意する。
一方こちらは四条地区、緑髪のオールバックの男性は人込みを見て内心イライラしていた。
「人間がこんなにたくさんいるとは予想外だった。だがここで人間を破壊と混乱に陥れれば極楽浄土にさせられるだろう。それが今ならば……地獄界の罪魔よ! 人間界で暴れるといい!」
緑髪のオールバックの男性は地獄界から罪魔を呼び寄せ、罪魔は地面から這い出てく。
罪魔は暴れ回り、人々をパニックに陥らせる。
こちらは紅葉家の道場、はなとひまわりは気配だけで罪魔が現れたことを察知する。
「この気配……!」
「四条地区の方だよ! 行こう! はな!」
「うん!」
「先輩方!? どちらへ向かうのですか!?」
「紅葉さんはここで待ってて!」
もみじは二人が突然飛び出したのを不思議に思い、見つからないように忍び足で二人の後を追う。
二人が向かった先は一軒家で、慌てて飛び出した母親らしき女性にはなたちは声をかけていた。
「あの! 何かあったんですか!?」
「悪魔のような人間が突然地面から現れたんです! あんたたちは春日家の子たちかい? いくらあんたたちでも勝てないと思うから逃げるんだよ!」
「私はともかく、こちらのひまわりちゃんも私と同じくらい厳しい修業を積んできましたから大丈夫です! ひまわりちゃん、行こう!」
「オッケー!」
女性の忠告をきちんと受け止め、はなたちはひまわりが神社で厳しい修業を受けたと嘘を言いつつも罪魔を封印しようと向かって行く。
そこには前回と違って怠そうにしていて、口から紫色の息を吐いて人々に浴びせては無気力にさせていた。
「あれは怠惰の罪魔……!」
「あの息を浴びたら厄介だ! いくよ!」
「うん!」
「「妖魔変化!」」
はなとひまわりは怠惰の罪魔を見て人々が浴びた息を警戒しながら変身をする。
もみじは気になってこっそりついてきたが、はなとひまわりが懐から笛を出して吹いた瞬間に黒い和服衣装に変身し、もみじは何が起こったのかわからなかった。
妖魔使いとは何なのか、もみじは一旦整理して考えるも、この罪魔とは深い関係があることは確かだと察する。
はなとひまわりは、この怠惰に堕ちた男性を救うことはできるのか。
つづく!