妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第64話 アマテラス

 巨大化したザイマノミコは破壊本能のまま破壊行動を起こし、ついに直接人類を滅ぼそうとした。

 

 しかし人類の文明を滅ぼそうとするも自然と動物は全く手を付けず、本当に人類の滅亡を願っているのだとはなたちは感じた。

 

 このままだと太刀打ちできず破壊の世界になってしまうことを危惧し、外へ避難したはなたちは馬から降りる。

 

「はな! このままでは世界は本当に滅亡してしまうよ!」

 

「わかってる! だからこそ化神でザイマノミコを止めよう!」

 

「今ザイマノミコを止められるのは化神だけでございますね!」

 

「決まりね、みんな! 化神を召喚するわよ!」

 

 妖魔力と武士道精神をありったけ放出し、巨大な甲冑姿の侍の化神をはなたちは召喚する。

 

 それぞれの武器を手に持ってザイマノミコに攻撃をしかけ、京都を守ろうとするも破壊本能に溺れたザイマノミコのパワーに押され、化神たちは散り散りになっていく。

 

「やっぱりバラバラではダメか……!」

 

「ヤタガラスさまが仰ったアマテラスを試してみてはどうでしょうか?」

 

「紅葉、ぶっつけ本番になるがそれでもいいか?」

 

「構いません! この世界を救うにはそれしかありませんから!」

 

「一か八か……やってみる価値はありそうだね。でもどうやってアマテラスを召喚するのかが問題だよ」

 

「それは……」

 

 アマテラスを召喚する素質はあっても、召喚方法までは教わっていなかったので、提案したもみじは言葉に詰まる。

 

 このまま黙って破壊され続けるのを見ているわけにはいかないが、召喚出来ない以上は何もできない。

 

 その事にもどかしさを感じていると、はなは何かを思い出す。

 

「アマテラスの召喚は、春日家の誰一人も成し遂げていない化神だけど……一つだけ方法があるよ」

 

「何だって……!?」

 

「それはどのような方法でございますか?」

 

「とても難しいし、一人では絶対に不可能なんだけど……ヤマタノオロチの心を一つにし、それぞれの化神を合体させるんだ。それも自分の意思だけで動かすんだ」

 

「それってエスパーみたいなことをするってこと?」

 

「うん、それには相当な集中力が必要で、普通に合体させるにもザイマノミコの攻撃を避けながらになるから難しいと思う。それに心がバラバラだと化神は応えてくれないんだ。でもこのみんなとならきっと出来ると思う」

 

「はな……」

 

 はなの自分と仲間を信じる気持ちが強く、アマテラスを召喚できると確信していた。

 

 その強い意志を見てひまわりは真っ先にはなの手を繋ぐ。

 

「だったらなおさらやってみないとね! ここで何もできなかったら武士道に反すると思う! みんなも怖がらず挑戦してみようよ!」

 

「そうですね、紅葉流は諦めの悪さも伝統です。世界を守るためなら挑みます!」

 

「私も応援してくれるみんなの平和のために戦うよ」

 

「一度は逃げた身だが、この戦いだけは絶対に逃げないぞ!」

 

「メンバーのみんなが頑張ってるんだから、リーダーの私が諦めるわけにはいかないわ!」

 

「必ず世界を守り、武士の心を後世に受け継ぎましょう!」

 

「うん! みんな、手を繋いで心を一つにしよう!」

 

 はなの強い意志にひまわりたちも感化され、輪になって手を繋いで祈りをささげる。

 

 それぞれの背中からもう一度化神が現れ、意志だけで化神を動かす。

 

 すると化神たちの体が変形し、分離しながら一つの超巨大な甲冑姿の侍が完成した。

 

 それも武器は大太刀という刀となり、まさに武士を象徴する美しい姿となる。

 

 兜には三日月の飾りがあり、鎧には菊の花の紋章が描かれ、月光花を象徴する化神となった。

 

 すると一羽のカラスが巨大な化神に憑依する。

 

「今のカラスって一体……?」

 

「よく見ると三本足……ということはヤタガラスさま!?」

 

「皆の者、よくぞ最強の化神であるアマテラス召喚を成功させた。このアマテラスはどんな罪魔をも一刀両断するがとても操縦が難しく、慣れないうちは動かすのも苦労するだろう。そこで乗り手である俺がコントロールの補助をする。皆の者は意志によるアマテラスの操縦に慣れるといい。普通の化神と違い、痛みを含む感覚は皆の者全員に共有される。気を付けて操縦するのだ。当然直接攻撃を受ける俺にも痛みが発生する。だからこそ究極奥義である月光百花斬はいざという時に使うのだ」

 

「わかりました! みんな!」

 

「「「うん!」」」

 

 はなたちはヤタガラスの説明を聞き、そして引き続き輪になって手を繋ぎ意志だけでアマテラスを操縦する。

 

 すると心は自然と一つとなり、アマテラスの足が一歩ずつ動き始める。

 

 腕もゆっくりだが刀を振る動きが出来るようになり、ザイマノミコの前に立ちはだかることが出来た。

 

「ハカイ……メツボウ……!」

 

「皆の者! 罪魔の女神であるザイマノミコとの最後の戦だ! 心して俺と共に戦おうぞ!」

 

「「「はい!」」」

 

 ヤタガラスの号令ではなたちはアマテラスの操縦を続け、素手で暴れ回るザイマノミコの攻撃をアマテラスは素手で防ぐ。

 

 そしてザイマノミコを柔道のようにゆっくり投げ飛ばし、ザイマノミコの暴走を止めることに成功する。

 

 それでもすぐにザイマノミコは立ち上がり、アマテラスを取っ組み合いを始める。

 

 最初こそアマテラスが押したものの、徐々に疲労からか集中力が切れ始めザイマノミコが押してくる。

 

 するとすぐ後ろには人々が避難している避難所まで押されてしまう。

 

「まずい! このままでは人々が避難している避難所を押しつぶしてしまうぞ!」

 

「いけない……! 早く遠ざけないと!」

 

「でもザイマノミコのパワーは圧倒的すぎるのでございます……!」

 

「まだだ! ここまで来たら気合いで守り切るよ!」

 

「いつもキレのある作戦で乗り切るひまわりも珍しく根性論なのね……! けど時と場合によって根性論は必要かもしれないわね!」

 

「絶対に負けない! みんなを守って人間らしい心を持った平和な世界にしてみせる!」

 

 はなの心の叫びにアマテラスは反応し、目が紫色に光ってパワーが上がる。

 

 ザイマノミコは徐々に押され、ついに避難所を守り抜いた。

 

 しかしその反動は非常に大きく、ザイマノミコが倒れた先に大穴が開き、月光花はザイマノミコ諸共下へと真っ逆さまに落ちていった。

 

 つづく!

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