妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第65話 地獄での決戦

 真っ逆さまに落ちた先は無間地獄で、はなたちは厳しすぎる試練を思い出すように懐かしむ。

 

 アマテラスの化神は無事で、ヤタガラスも想定外ではあったがまだ憑依したまま残っていた。

 

 しかし罪魔たちは徐々に浄化して転生させたのでザイマノミコの力は弱まったままで、残って反省できなかった罪魔たちはザイマノミコを崇め始める。

 

 罪魔たちはもう転生することがないと悟り、ザイマノミコに自ら吸収されていきザイマノミコは全盛期ほどのパワーアップをしてしまう。

 

「グオォォォォーッ!」

 

「あの罪魔たち、もう二度と転生しないつもりだよ!」

 

「もう転生しないってことは心中するつもりなのね……」

 

「悲しいですが、ザイマノミコと共に葬り去るしかないのでございますね……」

 

「この戦いに勝利したら、彼らに黙祷を捧げよう」

 

「そうしてあげよう。そして今後罪魔になる人々が増えないよう、私たちが導いてあげようか」

 

「だったら早く決着をつけないとね! アマテラス! いくよ!」

 

 もう一度手を繋いで輪になり、アマテラスを操縦し始める。

 

 ザイマノミコはまた破壊本能のまま暴れ回り、アマテラスを掴みかかって攻撃を仕掛ける。

 

 すると徐々にアマテラスが押され始め、攻撃が通ってしまい、はなたちにも激しい痛みが共有される。

 

「これがアマテラスのリスク……!」

 

「全員に同じ激痛が走るのですね……!」

 

「だからって途中で投げ出したら私たちだけじゃなく、みんなの平和な世界も終わってしまうから……」

 

「この身に代えてでも守ってみせる!」

 

 はなたちは無間地獄という破壊と殺戮の世界ということで周りを気にせず遠慮なく戦い、ザイマノミコの攻撃を防ぎきる。

 

 そしてザイマノミコは罪魔を吸収しきったのかもうパワーアップすることが出来なくなり、アマテラスの斬撃によって体力が減り始めた。

 

「ウグゥ……!」

 

「ザイマノミコの様子がおかしい……?」

 

「ひまわりちゃん、どうしたの?」

 

「ザイマノミコの体力はダメージを与え続けても罪魔がいる限り無敵のはず。でもどうしてか体力が落ちているんだ。これって変だと思わない?」

 

「確かに不自然だな。無限の体力ならここまで暴れても疲れを感じることはないはずだ」

 

「もしかして……!? やっぱり! みんな、上を見て!」

 

 ひまわりがザイマノミコの異変に気付き、他のみんなも変だと感じていると、ひめぎくだけ上を見上げて黄金の光が輝いているのを確認する。

 

 そこにはあるはずのない月の光がまばゆく輝き、京紫の着物を着た美しい女性がカラスの翼を生やして舞い降りてきた。

 

 するとその女性ははなたちの目の前に降り立つ。

 

「あなたは一体……?」

 

「わたくしは月の姫であるかぐや姫。あなた方の武士道精神、しかと拝見させていただきましたわ。ヤタガラス様の御力もあり、妖魔力にも磨きがかかり、わたくしが創り上げた化神をも手懐け、最後にアマテラスというわたくしでも扱えなかった究極の化神をよくぞものに致しましたわ。ザイマノミコは元々人間の大罪たちの集大成であり、人間が存在する限り完全に消滅することはございませんわ。ですが大罪の感情を支配し、正しい方向にぶつければ罪魔力は落ち、世界を平和に導くことも可能ですわ。ですがここまで力をつけていたことは想定外ですわ。なのでわたくしに出来るのは体力を削ることまで、残りはあなた方の武士道精神で一刀両断なさい」

 

「かぐや姫……わかりました! みんな! かぐや姫のサポートと共にあの技を使いましょう!」

 

「「「うん!」」」

 

「ハカイ……ハカイダァーッ!」

 

 かぐや姫と名乗る女性が背中から月光を浴びさせ、はなたちの疲れを癒しつつザイマノミコの体力を削る。

 

 同時にはなたちはより集中力を高め、刀に武士道精神、妖魔力、化神による神通力を込める。

 

 そして三つの力がマックスになった時、アマテラスは三日月を描くように刀を振るう。

 

「これで白黒つけるよ!」

 

「紅葉流の名に懸けて守ります!」

 

「みんなの平和のためにも!」

 

「己の成長のためにも!」

 

「たとえ大罪に支配されようとも!」

 

「わたくしたちは闇を支配し!」

 

「正しい心で利用してみせる!」

 

「月光花はこれからも……武士道精神に則って正々堂々と生きることを誓います! 必殺――」

 

「「「百花月光斬!!」」」

 

「グオォォォォォォォォォッ――!」

 

 アマテラスの刀でザイマノミコを一刀両断し、ついに体を真っ二つにする。

 

 すると罪魔力が斬られたところから溢れ出し、徐々に昇天して消えていく。

 

 ザイマノミコの左半身は倒れ込み、そして闇と共に消えていく。

 

 右半身と顔だけ残っていたが、もう戦う力は残っていなかった。

 

「私は……罪魔を支配するザイマノミコ……。人間が存在する限り……私は何度も蘇る……。人間の武士道精神も……遠い未来には忘れられ……もう一度罪魔力に支配される時が来るだろう……。人間とは……学習しない劣った木偶人形……そんな奴らに消されるほど……私は……ぐふっ! 体が……体が崩れ……ゆ……く……!」

 

 ザイマノミコは大きな断末魔と共に霧となって消えていく。

 

 吸収された罪魔はもう転生されることはなく、そのまま魂と共に消えていった。

 

 戦いを終えて勝利したはずなのに残心を示しつつ、消えてしまった元人間の罪魔たちの供養をすべく黙祷を捧げた。

 

 すると無間地獄は大きな地震に見舞われ、地割れが起きて崩壊をしてしまう。

 

 このまま無間地獄と心中すると思われたが、かぐや姫とヤタガラスの力によって瞬間移動し、元の地上へと戻っていった。

 

 こうして月光花はザイマノミコとの勝負に決着をつけ、世界に平和を取り戻したのだった。

 

 つづく!

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