もみじが感じたあの魔力は神社の力だけでなく、別の特別な力だともみじは感じ、しばらく様子を伺う事にする。
罪魔は寝転がってから何もせず、人を無気力にさせる息をばら撒いているだけだった。
「えっと……どうする?」
「私が矢で視線をそらさせ、ひまわりちゃんが一気に攻めよう」
「その方がいいね、頼んだよ!」
「わかった!」
あまりにも無気力な罪魔にやりづらさがあったものの、これ以上被害を出さないためにも妖魔使いとして罪魔に挑む。
はなが立てた作戦を実行し、はなは矢をたくさん放ち、ひまわりが視線を逸らした隙に攻め立てる。
「もらったっ!」
「はあ~っ……」
「うわっ!? しまった!」
「ひまわりちゃんっ!」
「体が動かない……!」
「今助けに行くからね!」
「はあ~っ……」
「きゃっ! これじゃあ近づけない……!」
罪魔はひまわりに息を浴びせて無気力化させ、ひまわりを助けようにもはなは近づけなかった。
もみじはあまりの恐怖に足が動かなくなり、もはや逃げることすらできなかった。
「まさか……あの
もみじは恐怖で動けず、ただはなとひまわりがやられているのを見ることしかできなかった。
自分の無力さと恐怖に負けかけたことで悔しく思ったもみじは、勇気を出して罪魔に立ち向かおうとした。
すると
「紅葉殿!」
「花柳先生………!
「どうやら無事のようだな」
「大丈夫です。でもあの化け物は一体………?」
「あれは罪魔といって、人間に潜む七つの大罪をエネルギーとした罪魔力を源とした地獄界に転生した元人間だ。つまり死後、魂が罪魔力に溢れすぎた時に罰として地獄界に転生した姿が罪魔となっている。もしこのまま人間界に留まれば、必ずや人間界に災いをもたらすであろう」
「そういえば学校で神話の授業で聞いたことがあります。ということは、神話が現実になったということですか?」
「落ち着いて聞いてほしい。あの二人は妖魔力という人間にも潜んでいる罪魔力を鎮める力がある。その妖魔力がひときわ強い彼女たちが罪魔を地獄界に封印しようとしているのだ」
「なるほど、これで納得いきました」
「だがそなたにも強い妖魔力を感じる。もしも彼女たちを助けたいという気持ちがあるのなら、そなたに自分にだけは負けたくないという気持ちがあるのなら、行くがいい」
「自分に負けない……。私のやるべきことは……自分の弱さを知り、そしてその弱さを克服すべく、恐怖に打ち勝つ勇気を持つこと! そして弱い自分を許しつつ、乗り越えることで怠惰を乗り越えることです! 私は110代目
「その心意気、忘れるでないぞ!」
「承知いたしました!」
花柳の励ましによってもみじは恐怖から逃げ、自分だけ助かろうと考えてたことを反省し心の奥に潜んでいた怠惰を乗り切った。
もみじは懐に入れてある短刀をギュっと握りしめ、罪魔に向かっていった。
「先輩方っ! この紅葉もみじ、
「紅葉さんっ!?」
「逃げて……! この罪魔の怠惰の息にかかったら紅葉さんだって……!」
「その心配は無用です! たとえ人によって挫折し怠惰に陥ったとしても、私は自分自身に負けず自分を磨き続けることを誓います! あなたが生前どのような人生を送られたのかは存じませんが、あなたには地獄界でしっかり反省する義務があります! あなたの息によって怠惰にさせられようとも……私は努力すること、成長することまで捨てたくありません!」
罪魔の怠惰の能力に負けないと誓うと、もみじの体から黒と橙色の霧が発生し胸から笛が現れる。
もみじが手に持った笛ははなたちと同じもので、もみじも妖魔使いとして目覚めたのだ。
「紅葉殿! 妖魔変化と唱えたらその笛を吹くのだ!」
「かしこまりました! 紅葉もみじ、参ります! 妖魔変化!」
花柳が変化を催促しもみじは変身の呪文を唱え笛を吹く。
するともみじは秋の葉っぱに包まれ、私服から黒い忍装束へと変身した。
両腕と両手に白い包帯が巻かれ、ポニーテールの結び目にあるリボンが無地から
武器は
黒い二―ソックス型の
「影の妖魔使い、紅葉もみじ! 怠惰を乗り越え、自分に負けません!」
もみじは妖魔使いとして目覚め、二つの刀をギュッと握りしめて戦う。
罪魔はそれでも容赦なく息を吐き、もみじを怠惰に陥らせようとする。
「紅葉さん! 危ない!」
「心配はご無用です! とうっ!」
「うわっ! 紅葉さん凄いジャンプ力!」
「すごっ!?」
「あなたを必ず元の場所に戻します! はぁぁぁぁぁっ!」
「ぐわぁっ!」
もみじは罪魔の吐いた息を高く跳んで避ける。
忍びらしく見事な跳躍力で、宙を舞いながら回転し二刀で斬りかかった。
何度も斬り続けて罪魔にダメージが通り、封印するチャンスが訪れる。
「紅葉さんって、さすが伝統ある忍者の家だあ……!」
「紅葉さん……! 今なら罪魔を封印できるはず……!」
「心得ました! 罪魔よ、元の世界に還りなさい!
「グワァァァァァッ!」
「新たな妖魔使いが現れたか……。まあいい、次こそは人間に裁きを……!」
こうして罪魔は封印され元の地獄界へと還る。
変身を解くとすぐに罪魔に襲われた人々を助けるべく救助に入る。
ひまわりも罪魔の怠惰から解放され動けるようになり、もみじと一緒に救助をする。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。大丈夫だ。私は本来在宅勤務で頑張っているが、あの悪魔の息を浴びたら何もやる気がなくなって、急に心が病んで誰かのせいにして人の心を叩こうとしていた。それくらい怠けてしまうところだったよ」
「そこまで強力な怠惰の能力でしたか。もし皆さんが心の奥に潜む怠惰に負けないためには、ただ勤勉で努力するだけではいつかは疲れてしまいます。ですので時にはもう一度頑張るためにもペース配分を考えたり、一度ゆっくり休んで心に余裕を持てるようになってから再開してもいいと思います。きっと皆さんは頑張りすぎて怠惰の息を浴びたことで自分に負けてしまわれたのでしょう」
「なるほどな……。君は紅葉流忍術の子だね? そりゃ説得力があるわけだよ。もう少し頑張るだけでなく自分を労わってみるよ。急にやる気なくして怠惰に落ちるのはもうこりごりだからね」
逃げ遅れて怠惰の息を浴びた男性を救助し、もみじはただ頑張るだけでなくたまには自分を労わって休んだりペースを落とし、勤勉さを上手くキープするように逃げ遅れた人々を促す。
そうすることで疲れ果てて何もかもやる気をなくし、何も行動しなくなって怠惰から嫉妬、そして傲慢も合わさって人を精神的に追い詰めることもあることを知っているもみじは自分にも負けないようさらに努力することを誓った。
一方アイドルとしてはニンニンニンジャたいそうが子どもたちに大好評で、京都の保育園や幼稚園で踊られるようになり、なでしこアイドルとして一歩前進する。
それから3日が経ち、なでしこアイドルグループにとってさらに一歩進むことになった。
「よし全員揃ったな。これからそなたたちのユニット名を発表する。その名も――
「月光花……!」
ユニット名が月光花に決まり、はなたちは月光花という名前に興奮した。
花柳は咳ばらいをして
「では花柳先生と一緒に話し合って決めた月光花に着いて説明します。月の光を浴びた花は美しく、そして光があれば影も闇もある。となればそんな影となりて一輪の花を咲かせ、月光の美しさで人々を魅了することを込め、月光花と名付けました。もちろん、私がかつて所属した
「さすが花柳先生と美月先輩……!」
「私たちにピッタリのグループ名ね!」
「ええ、これからは月光花として精進でございます」
「月光花、いい名前だね」
「そしてリーダーは
「はい!」
アイドルとしても順調に進展し、これから月光花としてローカルからスタートをする。
罪魔一族との戦いとも両立しなければならなくなったが、もみじは持ち前の静かなる負けん気で、月光花の活動をするのでした。
つづく!