アイドルオリンピックの予選に向けて月光花はオーストラリアのシドニーへ向かう。
そこには世界を救った英雄としてオーストラリアの人々が月光花を歓迎していた。
中には気絶する人までいて、はなは気まずそうに移動をする。
「どうしよう、気絶する人まで出ちゃった……」
「それほど私たちは歓迎されているようだね」
「これで世界的アイドルってやつになれたかな?」
「こら、油断しないの。世界中からたくさんのライバルが集まるんだから気を引き締めなさい」
「その通りでございますね。何しろ美月先輩が率いる月ノ姫もいらっしゃいますから」
「となれば一筋縄ではいかないだろう」
「わかってるって。これでも私だって緊張しているんだから」
あのひまわりでさえも緊張と同時に武者震いが起き、月ノ姫に認められたことで自信と同時にプレッシャーにも感じている。
はなは一瞬で察し、わかばたちもわかっていながら改めて喝を入れる。
そんな中でひときわ大きな声援が聞こえる。
「おお! 月ノ姫だ!」
「本当に再結成されたんだ!」
「輝夜ちゃーん!」
月ノ姫のメンバーが続々と現れ、はなたちは月ノ姫がかつて伝説を作ったことを実感する。
同時に世界でも有名で、花柳プロデュースの新旧対決となるのだから世界中でトレンドになっている。
とくにアイドルが好きなひまわりにとっては光栄なことで、より気を引き締めていく。
挨拶に行くために輝夜とわかばは合流し、握手を交わす。
「ついにこの時が来ましたね」
「ええ、月ノ姫としても月光花に挑めることに光栄ですわ」
お疲れ様ですわ
「はい、ですが美月先輩とはいえ憧れるのはもうやめます。これからはライバルとして正々堂々と勝負しましょう」
「うふふっ、頼もしくなりましたわね。もちろんそのつもりですわ」
わかばと輝夜は闘志を燃やし、和物アイドルとしてのプライドをかけて握手をする。
ホテルに着いてからはひめぎくのプロデュースでレッスンを行い、会場はまさかの世界遺産のオペラハウスと豪華な場所となる。
新旧和物アイドル対決のためにオーストラリアが本気で場所を確保し、アイドルオリンピックは世界規模で盛り上がりを見せていた。
リハーサルを終えて楽屋に戻ると、輝夜が月光花の楽屋にお邪魔する。
「皆さま、お疲れ様ですわ」
「「「お疲れ様です!」」」
「皆さまのリハーサルを見ていると、あの頃を思い出しますわ」
「美月先輩! ずっと気になってたんですけど――」
「答えられる範囲内でしたらお答えしますわ」
「リーダーの大和寧々さんはいらっしゃらないようですが……」
ひまわりは月ノ姫のメンバー構成を見て気になり、リーダーの大和寧々がいないことに気付く。
輝夜は悲しい表情をし、はなは気まずそうにフォローをする。
「あの! お話ししたくないのなら無理にしなくても大丈夫ですよ!」
「いいえ、全てお話いたしますわ。10年前に月ノ姫が何の知らせもなく解散した理由を。リーダーの寧々さんは大和組の娘で、月ノ姫のメンバーを自ら集めたアクティブな方でしたわ。そして和物アイドルを創り上げ、花柳先生を組の力で招待し、世界での知名度を上げましたわ。ところが寧々さんは大和組の敵対組織に狙われ、交通事故としてそのまま帰らぬ人となりましたわ。寧々さんという中心的存在がいなくなり、わたくしたちは歌えなくなり、花柳先生にすら何の知らせもなく解散することになりました。ですが今も復活を求める声が多く、わたくし含めメンバーは心を痛めました。そこで花柳先生が新たに月光花を立ち上げ、皆さまのご活躍を目にメンバーも奮起し、挑戦してみたいと思うようになられたのです」
「だから大和寧々さんは姿を見せなかったんだ……」
「ニュースにもなってないので気付かなかったのでございます……」
「無理もありませんわ。敵対組織は当時、マスコミと深い関係で隠蔽されましたもの。ですがもう悲しんでいる暇はありませんわ。寧々さんがいない今、わたくしが中心となり、再結成した新生・月ノ姫を世界に見せます」
「わかりました。だったら逃げず遠慮せず全力で越えてみせます」
月ノ姫が何の知らせもなく解散したことを輝夜は話し、はなは涙を流す。
ひまわりは話を聞いてやる気に溢れ、月ノ姫に本気で勝とうと奮起する。
アイドルの組み合わせ――
1,クレオパトラ エジプト
2,アッサラーム トルコ
3,マリービスケット アメリカ
4,月ノ姫 日本
5,プリン・アラ・モード フランス
6,月光花 日本
7,シリウスブラック ドイツ
8,ウィーンアイドル合唱団 オーストリア
――となる。
ついに大会当日を迎え、クレオパトラの神秘的なダンス、アッサラームの肌を見せないながらもレベルの高いダンス、マリービスケットのお菓子を配るアピールなど個性豊かなライブをする。
審査員もアイドル戦国時代を感じ、世界のアイドルのレベルが上がっていることを実感し始めていた。
そしてついに月ノ姫の出番だ。
「皆さま、この時を待っていましたわ」
「輝夜が呼んだ時はビックリしたよ!」
「ですがおかげでもう一度ステージに上がる勇気が出ました」
「私たちはもう二度と逃げない! 寧々のためにもね!」
「寧々、見てて……」
「後輩たちに見せつける時が来たぜ!」
「では参りましょう! 月ノ姫!」
「「「レッツゴー!」」」
和物アイドルなのにハイカラな掛け声で気合を入れ、月ノ姫のライブが始まる。
美月輝夜を中心に、ギャル風ではあるが華道の名家で所作が完璧な木下栄子。
ポジティブで小さな体でアクロバットもこなす柴田まつり。
全て敬語なのは大和組の構成員の父を持つ着物屋の娘の武蔵宮子。
少し消極的ながら歌になると透き通る声で魅了する美空ひまり。
無口でミステリアスながら時々見せる笑顔でファンをときめかせる徳川ひめな。
そして元ヤンキーでありながら紺野流日舞の門下生である伊藤博美となる。
大和寧々はお淑やかながらも威圧感があり、文武両道で優秀なリーダーだった。
その月ノ姫は亡くなったはずの寧々の幻影がファンに映り、涙を流す長いファンもいた。
月ノ姫のライブを終え、プリン・アラ・モードは月ノ姫ムードに苦戦を強いられてしまう。
月光花はどうやって自分たちのムードに持ち込むのか。
つづく!