妖魔使い・月光花 リメイク   作:赤月暁人

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第70話 自分たちの道

 月ノ姫の圧倒的パフォーマンスにプリン・アラ・モードは押されてしまい、自分たちの武器を活かすことが出来なくなってしまう。

 

 日本はそもそもアイドルの名門であり、優勝候補の月ノ姫が出たともなれば世界のほとんどのアイドルグループが委縮してしまうのだ。

 

 プリン・アラ・モードのメンバーは自分たちのくじ運を嘆き、次の月光花の番となる。

 

「わかっていたけど、月ノ姫のパフォーマンスはさすがだったね……」

 

「そうだな。さすが美月先輩たちだ」

 

「でも負けるつもりはないよ」

 

「そうね、ライバルと認められた以上は最高のパフォーマンスをしなきゃ!」

 

「でも待って! 私たちらしいアイドル道って何だと思いますか?」

 

「はな先輩、どうしましたか?」

 

「えっと……月ノ姫は確かにすごいですが、月ノ姫はどちらかと言えばラブソングに偏った曲が多く感じます。まるでかぐや姫の物語の続きを歌っているような……上手く言えないですが、ラブソングだけがアイドルソングじゃない気がするんです」

 

「どういうことかしら?」

 

「えっとつまり……」

 

「つまりはなはラブソングという土俵に無理して入ることはない。自分たちは和物の世界観を最大限引き出すスタイルだから月光花らしくした方がいいんじゃないかってことでしょ?」

 

「ひまわりちゃん、フォローありがとう。ひまわりちゃんの言う通り、無理して同じやり方をしなくてもいい、私たちらしいやり方で全力を注げばいいかなって思います」

 

「なるほどね、はな君の言う通りだ」

 

「わたくしたちらしく歌えば自ずと審査員の方々に届くのでございますね」

 

「となれば選曲は打ち合わせ通りでいいわね。プリン・アラ・モードは無理してラブソングを歌った結果、自分たちらしさを失ってたもの。あの新曲で行きましょう!」

 

「ひめぎくさんが作曲デビューしたあの曲ですね。私も賛成です」

 

「なんか恥ずかしいな……でも私も月光花の一人だから作曲で貢献するよ。師匠の意志を受け継いだんだから」

 

「さあみんな、いきましょう!」

 

「「「はい!」」」

 

 月光花は月ノ姫のようにラブソングで勝負せず、月光花らしい文学的かつ日本の世界観を最大限引き出した雅やかな春の歌を歌いあげる。

 

 琴と篳篥、笙の音色が輝かしく響き、紺野流日本舞踊の振り付けを取り入れ、わかばの文学的世界観を表現し、ひまわりが考えたフォーメーションで神秘的な春の訪れと温かさで審査員の心を動かす。

 

 まるで文学の世界にいるかのように感じ、審査員はスタンディングオベーションで拍手をする。

 

 プリン・アラ・モードは自分たちのスタイルを見失ったことを反省し、もう決勝ライブには進めないと悟って涙を流した。

 

 月光花のライブを終えると、月ノ姫に負けたらだめだとプレッシャーを感じていたはずのシリウスブラックは吹っ切れたのか、デスメタルとアイドルソングの両立を上手く表現。

 

 ウィーンアイドル合唱団も美しいハーモニーで歌いあげ、ソロパートでは神々しいソプラノボイスで会場を響かせた。

 

 楽屋で休むと輝夜が月光花の楽屋に遊びに来る。

 

「お疲れさまでした」

 

「美月先輩、いらしたのですね」

 

「ええ、頼もしい後輩たちがわたくしたちのプレッシャーを跳ね除け、自分たちらしいアイドル道を見つけたことに感激しましたことをお伝えいたしますわ」

 

「こちらこそライバル視してくださって嬉しいです。だからこそ憧れるのをやめたんです」

 

「憧れるのをやめる……? どういうことですか?」

 

「憧れたままなら、一生越えることは出来ませんから憧れるのをやめて、真っ向勝負で勝ちに行くんです。月ノ姫がライバル宣言した以上、もう対等な関係で憧れの存在ではありません。たとえ月ノ姫が、アイドルオリンピック期間限定のユニットだとしてもです」

 

「そこまでの覚悟を持って挑まれたのですわね……。なら勝負はもう決まったようなものですが、後続のアイドルたちのパフォーマンス次第で考えが変わるのです。最後までやり遂げましょう」

 

「望むところです」

 

 輝夜は勝負に対して何かを悟ったのか少し寂しそうな表情をしていたが、月光花はひめぎく含め輝夜の表情に気が付かなかった。

 

 そして結果発表の時間となり、審査員も結果を発表するのに緊張し、全てのアイドルがステージに揃う。

 

「お待たせしました。第一回アイドルオリンピック予選Cブロックの優勝、及び決勝ライブに進出するのは――」

 

 ドラムロールが流れ、全てのアイドルが決勝進出を祈る。

 

 プリン・アラ・モードはもう自分たちではないと悟っていて、あまり緊張はしていない様子だった。

 

 月ノ姫のメンバーは自分たちこそが優勝だと確信していたが、輝夜だけ様子が違い微笑みながらため息をつき、目線を逸らした。

 

 そしてついに結果が決まる。

 

「エントリーナンバー6番、月光花です」

 

「おめでとうございまーす!」

 

「勝った……月ノ姫に勝った……!」

 

「勝ったぞぉーーーーーっ!」

 

「日向、まずは審査員とファンの皆に礼をするぞ」

 

「そうは言っても嬉しいよ! 本当にレジェンドに勝ったんだよ!」

 

「本当に夢みたい……!」

 

 月光花が決勝ライブに進出が決まり、つばきは礼を催促するも嬉しさのあまりに喜びを爆発させるひまわりと、嬉しさのあまりに涙ぐむはなは止められなかった。

 

 わかば、るり、もみじ、すみれは礼をし、つばきは喜びを噛みしめつつもはなとひまわりの間に入り頭を下げるよう促した。

 

 そして決勝ライブの出演チケットを受け取ると輝夜が歩み寄る。

 

「おめでとうございます、月光花の皆さま。これでわたくしたち月ノ姫はもう過去の栄光の話となりましたわ。これからは和物アイドルのレジェンドはあなた方月光花に受け継ぎましたわ」

 

「先輩! 本当にありがとうございました!」

 

「いいえ、わたくしは何もしていませんわ。それに月ノ姫は解散せず、続けていこうと思います。だって――こんなに多くのファンの皆さまを待たせてしまいましたもの。今更もうやめますなんて言えませんわ。これからも月光花は月ノ姫の後輩であり、ライバルですわ」

 

「はい、私たちもいつまでも栄光にあぐらをかかず、日々鍛錬していきます」

 

 偉大な先輩に勝ってもなお兜の緒を締めるわかばとつばきともみじ。

 

 勝利を喜びつつもファンや審査員への感謝を忘れないるりとすみれ。

 

 勝利を噛みしめ涙ぐんで喜び合うはなとひまわり。

 

 舞台裏で憧れを超えたことに感動して涙ぐむひめぎくと個性豊かながらも和物アイドルのレジェンドとして優勝を遂げる。

 

 こうして月光花はアイドルオリンピックの本戦である武道館へ進出し、ひめぎくはプロデューサーとして最後の追い込みに入った。

 

 つづく!

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