月光花はアイドルオリンピックで4位に終わり、悔し涙を流す。
それでもアイドルに終わりはなく、切り替えて2021年へと進んでいく。
人妖神社でははなが家業である神社の仕事をしていて、ひまわりも巫女として手伝っている。
「今年も初詣の参拝客が大量だね!」
「うん、やっと本当の人妖神社の賑わいが戻ってきたって思う」
「罪魔一族からのザイマノミコ、そしてアイドルオリンピックと濃い3年間だったなあ。アイドルって結構大変だったけど、はながそばにいてくれたから私は頑張れたんだ。あの時、強引にオーディションに誘ってよかったって今なら思う。はなは嫌だったかもしれないけど」
「うん、正直に言うと……私は家のこともあってアイドルになるなんてダメだって思ってたんだ。でもオーディションを途中でやめますって言ったらアイドルになるのが夢だったひまわりちゃんの夢を邪魔してしまうって思って、断れなかったんだ。でも今は……ひまわりちゃんに感謝しているよ。お父さんたちもアイドルになることに賛成していたし、罪魔一族との戦いもアイドルになることで罪魔力を抑えることもできた。神社も盛り上がったし、いい事しかなかったよ。本当にありがとう」
「はな……こっちこそありがとうだよ! よーし、そろそろ年始の神事を始めよう!」
「うん! 流鏑馬占い、頑張るね!」
人妖神社の年始恒例の神事である流鏑馬占いを始め、はなは流鏑馬のエースとして矢を的に当てて占う。
すると今年は大吉で、今年は不吉なことは起きないという結果となる。
参拝客も安心して笑顔がこぼれ、はなたち神社関係者もホッと一息をつく。
「やっているな、春日、日向」
「お邪魔致します」
「大繁盛でございますね」
「さすが京都で一番の神社ね」
「参拝客の様子からして平和なのが伺えるよ」
「みんな! 来てくれたんだ!」
「今日って月光花はオフだっけ?」
「うん、ヤマタノオロチの方も今日は活動休止しているんだ。アイドルオリンピックの疲れもあるからね」
「それでも神社で働くなんて素晴らしいでございます」
「本当に二人とも偉いわね。はなはともかく、ひまわりも毎年手伝ってるんでしょう?」
「まあねー。幼なじみだからね」
「毎年助かってるよ。みんなも参拝していってね」
つばきたちがオフの日に参拝に訪れ、月光花が全員勢ぞろいをする。
さらにアイドルオリンピックもだが、2年もの長い戦いの疲れを癒すためにヤマタノオロチとしての活動も一時休止をしている。
そのため花柳から1週間のオフが許されている。
その最終日に神社の手伝いをするはなとひまわりは、仲間たちの参拝を案内して仕事を終える。
翌日からオフが終了し、全員事務所へと集まった。
そこには全社員だけでなく所属タレントも全員揃っている。
何か重大発表があるんじゃないかと周りはささやいていた。
ついに花柳が登場し、咳払いをして発表を始める。
「皆の衆、よくぞ集まってくれた。某から重大な発表をする。心して聞くといい。某、花柳小次郎は……今年度の3月いっぱいで、月光花のプロデューサーを引退する」
花柳は3月いっぱいで月光花のプロデューサーを引退する発言に事務所はざわつく。
もちろん聞いていたはなたちにとっては大きな衝撃で、とくにはなはものすごくうろたえていた。
「花柳先生、どういうことですか……?」
「うむ、春日殿か。アイドルオリンピックで汝たちの成長ぶりに某は感動し、一人で考え込んでいたのだ。もう某の力がなくても汝たちは立派に活動を続けられるのではないか。某はもういらないのではないかと。考えた末の結果、月光花は一人立ちをしてもよいと判断したのだ。某の力がなくてももう充分やっていけると信じている」
「そんな……! 私たちは花柳先生がいらしたからここまで来れました! 先生の力がなければ私たちは――」
「案ずるでない春日殿。月光花には作詞作曲を手掛けるプロデューサがもう育っている。4番目とはいえ、世界でもトップクラスの実力と曲を持っているのだ。もう充分やっていけるだろう。それとも汝はまだ不安か?」
「それは……いいえ、確かに花柳先生に頼りっきりでは月光花は前に進めません。花柳先生の考えは正しいと思います」
「わかればよい。もちろんメインのプロデュースからは降板するが、今後は社長として経営に集中しようと思う。焔間殿、まだ中学生とはいえ、プロデューサーとして頼んだぞ」
「はい、花柳師匠の意志を受け継ぎ必ずや月光花を成長させます」
はなは最初こそ不安で納得しなかったが、成長と今後の未来を見据えた花柳は月光花を信じ、そして立派にプロデュースできるようになったひめぎくに後を託されて自立をすることが決まる。
ひめぎくはすっかり大人びた風格になり、一流のプロデューサーの顔つきになっている。
リーダーのわかばは花柳に礼をして見送り、いつも通りそれぞれ仕事へ向かって行く。
つつづく!