龍星とロックマン   作:はたやま

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火炎の牡牛

『次のニュースです。今日未明、コダマタウンの各地に設置されたポストが破壊されているのが発見されました。ここ数日コダマタウンでは赤い自動車やバラの植えられた花壇、レンガの倉庫など、赤色の物が破壊される事件が相次いでいます。事件はいずれも夜間に発生していると見られ、サテラポリスはこれらの事件の関連性を調べています。』

 

「物騒な事件があったもんだなぁ。」

 

「赤いものばっかり壊すって、なんかこだわりでもあるのかな?」

 

「もしかしたら赤いものに突っ込んでいく闘牛みたいなやつが犯人だったりしてな。」

 

「だとしたら、そのうちnasitaにも突っ込んで来るかもよ、この店の壁の塗装赤色だし。」

 

「そりゃ勘弁して欲しいな。まぁとにかく、暫く夜出かける時は気をつけろよ。」

 

「はーい。そんじゃ展望台行ってくるよ。」

 

nasitaを出てスバルを迎えに行くために彼の家に向かう。いつもなら展望台近くで合流するのだが、最近の事件を警戒して1人で動くことは避けるようにしていた。

 

(それにしても…)

 

リュウセイは周囲を見渡しふと考える。

 

(事件があったせいなのか、()()()()()()()()()()()()なんだか静かだな。)

 

*

 

「お、いたいた。またせたなスバル。」

 

「僕も今出てきたところだよ。それじゃ行こっか、リュウセイ。」

 

二人で展望台への道を歩き出す。道中で話題に上がるのは例の無差別破壊事件についてだった。

 

「にしても赤いものばっか壊して何がしたいんだろうな、その犯人は。」

 

「うーん、よく分からないよね。赤色が嫌いだからとか?」

 

「だからって壊すまで行くか普通?」

 

「……普通はありえないよね。」

 

犯人についてあーでもないこーでもないと話していると展望台に着く。しかしそこには珍しく先客がいたのだった。

 

「あ、来たきた。遅かったわね二人とも」

 

「げっ…」

 

「委員長じゃん、来てたんだな。」

 

「はいそこ、あからさまに嫌そうな顔しない。それにしてもさすが展望台なだけあって、今日みたいに天気のいい日は星がよく見えるわね。」

 

「いいだろ、俺とスバルのお気に入りの場所だ。そういえば1人なのか?キザマロとゴン太はどうしたんだ?」

 

「最近コダマタウンで謎の器物損壊事件が起こってるでしょ、だから私たちが見回りをすることにしたの。今二人には見回り用の車を調達してもらってるわ。」

 

「運転できる奴いるのか?」

 

「ゴン太が運転用のナビカード持ってるから平気よ。どうしてもって言うならあなたたちも混ぜてあげてもいいけど?」

 

「僕は遠慮しとくよ、危なそうだし…」

 

「同じく、こういうのはサテラポリスの仕事だろ。」

 

「あら、スバル君はともかく、リュウセイ君は乗ってくるかもって思ってたけど。」

 

「大事な人や友だちに被害が出てるならまだしも、今は壊されてるのが物だけだしな。そんな時にわざわざ首を突っ込む気は無い。委員長たちも、親に心配かけない程度にしといた方がいいと思うぞ。」

 

……親は私の事なんて心配してないわよ。

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「なんでも。…けどそうね、友だちの忠告はありがたく貰っておくわ」

 

「委員長〜!」

 

「あ、来たみたいね。」

 

声の聞こえた方を見ると、キザマロとゴン太が揃って展望台に上がってくるところだった。

 

「……」

 

「車の準備できました、いつでも出発できます!」

 

「ありがとう二人とも。それじゃ、私たちは行くわね。」

 

「俺達もそろそろ帰るか、スバル。」

 

「うん、そうだね。」

 

そうしてルナたちが出発してから少しして、リュウセイたちも家に帰るため展望台を後にしたのだった。

 

*

─sideゴン太─

 

「さて、それじゃ見回りを始めましょうか。ゴン太、運転お願いね。」

 

「お願いします、ゴン太君。」

 

「………」

 

ああまただ、頭がぼーっとする。あのウシみたいな怪物の幻をみてから夜になるといつもこうなる。

 

さっきも展望台でスバルを見た時からだんだん頭が真っ白になってきて…このままじゃ──

 

どうしたゴン太、あいつをあのままにしておいていいのか?

 

「ゴン太?どうしたの?」

 

「何かあったんですか?」

 

ああ…やめろ!

 

このままじゃお前はあいつに居場所を奪われて、またひとりぼっちになるぞ?

 

「ちょっとゴン太!いったいどうしたの!」

 

「ゴン太君!返事をしてください!」

 

い、嫌だ…独りになるのはもう嫌だ!

 

ならやることは簡単だ。さっきのヒョロヤロウを叩きのめして委員長に力を見せつけろ。そうすれば委員長もお前のことを選んでくれる。

 

あ──うゥ──

 

「ヴあぁぁァァァ!!!」

 

それでいい!さぁいくぞ───電波変換!!

 

「きゃあっ!?」

 

「うひぃっ!?」

 

瞬間、当たりが閃光に照らされた。

 

「ブルルオォォォォン!!!」

 

「う、ウワー!?!?」

 

「か、怪物!?」

 

光が晴れたとき、ゴン太のいた場所に現れたのは火炎を吐き出す牡牛の如き異形の存在であった。しかし、目の前の異形は光の球体に姿を変え、球体は委員長たちの乗るトラックへと吸い込まれていった。

 

「き、消えた!?」

 

「今の怪物…もしかしてゴン太なの!?」

 

驚く間もなくエンジンが始動し、トラックは動き始めた。

 

「き、キザマロ、あなた運転用のナビカード使った?」

 

「う、運転用のカードはゴン太君が持ってます!」

 

ブオオオオン!

 

「キャー!」

 

「ウヒャアー!」

 

*

 

「そういえば、前から気になってたんだけどよ、そのメガネなんなんだ?」

 

「ああ、これ?…天地さんって人がくれたんだ、父さんが仕事で使ってた物だって。」

 

「天地さんって町外れの研究所の天地さんか?」

 

「知ってるの?」

 

「父さんの知り合いみたいでさ、何度かうちの喫茶店にも来てるよ。天地さんと大吾さんは知り合いだったのか?」

 

「天地さんはもともとNAXAの研究員で父さんの後輩だったんだって。」

 

「そうだったんだな。大吾さんが仕事で使ってたって、何か特殊なメガネなのか?」

 

「うーん…見てもらった方が早いかな。掛けてみてよ。」

 

スバルからビジライザーを受け取り掛けてみる。そこから見えた景色は───

 

「………」

 

「ビックリした?『ビジライザー』っていう装置らしくて、これを通して見ると電波の世界が見えるんだって。」

 

「電波の…世界…」

 

「不思議だよね。ビジライザーがないと見えないけど、僕らが知らないだけでこんな世界が広がってたなんて──リュウセイ?」

 

「……」

 

横断歩道の途中で突然リュウセイが立ち止まった。電波世界を見たことがそれほど衝撃的だったのか表情も固まっている。

 

「リュウセイでもそんなに驚くことあるんだね。」

 

「……なぁスバル、電波の世界はこのビジライザーってのがないと見えないんだよな?」

 

「う、うん。普通はそうだって聞いたけど…(そうだよねロック?)」

 

(ああ、例外はなくはねぇが普通はそれで間違いねぇよ。)

 

心ここに在らずといった様子のリュウセイの目を盗みウォーロックに確認を取るが、やはり概ね間違いないらしい。

 

「それがいったいどうしたの?」

 

「……なぁスバル、もし俺がさ、この電波の世界を──」

 

ブオオオオン!

 

「なに!?」

 

「っ!走れスバル!」

 

そこに現れたのは道路を暴走するトラック。二人は咄嗟にその場から走り出し、トラックとの追いかけっこが始まった。

 

「何がどうなってるのさ!?」

 

「知るか!とにかく走れ!止まったら死ぬぞ!」

 

「あー、聞こえる?言っておくけどわざとこんなことしてる訳じゃないからね!」

 

「その声は委員長か!」

 

「見回りの誘いを断ったのは悪かったけどこれはないんじゃないかな!」

 

「そんな理由でこんなことしないわよ!見回りに出ようとしたらゴン太が突然バケモノに変身して、突然消えたと思ったらトラックが暴走しだしたのよ!」

 

「ダメです!こちらからの操作も受け付けません〜!」

 

「それって…ロック!」

 

『あぁ間違いない、あのゴン太ってやつFM星人と融合してトラックの電脳世界に入ったらしいな。』

 

「スバル、いったい誰と話してんだ!?」

 

「えっと、じつはっ、かくかくしかじかでっ、ハァッハァッ、もう、無理かも…」

 

『オイ!チャキチャキ走れ!はねられるぞ!』

 

「スバルこっちだ!」

 

咄嗟にスバルの手を引き、ちょうど現れた曲がり角に飛び込む。トラックは直進して行ったが、同じところをぐるぐると回り続けているようだ。

 

「ハァッハァッ、た、助かった〜…」

 

「フゥー、何とか無事だな。…それよりもスバル、あの暴走の原因がお前には分かるのか?」

 

「えっと…その…」

 

「もしかして、前にお前が俺に隠してたことと関係あるのか?」

 

「やっぱり勘の鋭いやつみたいだな。」

 

スバルのしどろもどろな様子を見かねたウォーロックがトランサーから飛び出してきた。

 

「!?」

 

「ちょっ、勝手に出てこないでよロック!」

 

「お前がいつまでもグダグダしてるからだ!それに、どうせ出てきてもビジライザーのないこいつに俺は見えねぇだろ。俺の説明をお前がそのままこいつに──」

 

「……いや、直接話してくれ。その方が早いだろ。」

 

「「……へ?」」

 

今リュウセイはなんと言った?……直接話してくれといった気がするがそんなセリフは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()成立しないはず。ということはつまり…

 

「り、リュウセイ、ロックのことが見えるの!?」

 

「うん、見えてる。その青色の…ケモノっぽい顔した幽霊みたいなやつ?とにかくお前ら二人の話もちゃんと聞こえてる。」

 

「まじかよ…てことはたまたまこいつも周波数が合っちまったってことか?」

 

「その周波数ってのはよく分からん。…というかぶっちゃけると、そのビジライザーで見えてるものが()()()()()()()()()()()()。」

 

「ハァッ!?有り得ねぇだろ…いや実は地球人ってそれが普通なのか?」

 

「いやいやそんなわけないよ!普通に見えるものなら、父さんもビジライザー(こんなもの)使ってないだろうし。」

 

「その話は今はいいだろ。とにかくどうやってあのトラックを止めるかが先だ。何か方法はないのかよ?」

 

このままではトラックが事故を起こして乗っている委員長たちもどうなるか分からない。今は止める方法を探す方が先だ。

 

「あ、ああ。…恐らくあのトラックが暴走した原因は、俺の故郷の星から来た宇宙人がゴン太と融合してトラックの電脳世界に入り込んでるのが原因だ。」

 

「宇宙人だって!?…いや、それも後だ。どうやったら止められる?」

 

「今から俺とスバルがヤツと同じように融合してトラックの電脳世界に行き、直接叩くしかねぇだろうな。…悪ぃがお前にできることは何もねぇぞ。」

 

「……!…そうか。」

 

「リュウセイ…」

 

相手はもとより電波でできた存在。見聞きすることはできても、電波体に干渉することのできない生身の人間に同行できる存在ではなかった。

 

「…なぁスバル。」

 

「な、何リュウセイ?」

 

「頼む、あの三人を助けてやって欲しい。本当はなにか力になりたかったけど、俺にはどうしようもないみたいだ。」

 

「な、なんで僕が…そうだ、リュウセイがロックと電波変換すれば…」

 

「無理だな。電波変換するにも相性ってもんがある、俺とコイツじゃできねぇよ。」

 

「そんな…」

 

「スバル!」

 

「うあっ、何!?」

 

「お前ならできる。」

 

スバルの肩を掴み真っ直ぐに目を見つめて告げた一言。その目と言葉には何よりもスバルへの信頼が溢れていた。

 

「な、なんでそこまで僕のことを…」

 

「当たり前だろ。確かに今のお前はただの引きこもりのモヤシヤロウかもしれない。」

 

「ひでぇ言われようだな。」

 

「でも誰より優しくて、強いやつだって俺は知ってる。なんたってお前は大吾さんの息子で、俺の尊敬する親友だからだ。」

 

「…っ!」

 

「だから頼む!嫌かもしれないけど、何もできない俺の代わりにあの3人を助けてやってくれ!この通りだ!」

 

目の前でリュウセイが土下座もかくやの勢いで頭を下げる。

 

出会った頃からそうだった。引っ込み思案な自分に声をかけてくれて、いつも一緒にいてくれた。不登校になってから周囲の人間との関わりを絶とうとした時も、変わらず家に来てくれて、自分を信じてくれた。

 

戦うのは怖いけど、でも…彼の信頼だけはどうしても…

 

「……ロック、行こう。」

 

「なんだ、急にやる気出したじゃねぇか。」

 

「そりゃ僕だって戦いたくなんかないよ。人助けなんか別にしたくないし、今すぐ家に帰りたい。けど僕も…リュウセイ(親友)のことだけは裏切りたくないんだ。」

 

「スバル…!」

 

「ヘッ、そう来なくっちゃな。そうと決まれば行くぞスバル!」

 

「うん!」

 

ビジライザーを掛ける。幸いにもウェーブホールはすぐ近くにあった。その上に立ち、ロックの力で生み出したトランスカードを取り出し──高らかに叫んだ

 

電波変換!星河スバル、オン・エアー!




なんかやっとロックマンの電波変換まで来ましたね。オリ主の電波変換までまだ遠いなー…一応次回でオックスファイア撃破まで行きます。チャプター1つにつき3~4話ぐらいのペースで書いてく感じにしようと思ってます。

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