死滅回游泳者 南雲ハジメ 作:ありふれの呪霊
「南雲ハジメ様、貴方は
朝、目が覚めると羽の生えた骸骨が目の前にいた。
「
骸骨の身体にウィンドウのようなものが開き、文字が浮かび上がる。
◇◇◇◇
〈
1
2 前項に違反した
3
4
5
6
7
8 参加または
◇◇◇◇
読んだのち、己の体に力が漲るような感覚を覚える。そして自分がどういう力を使えるのか、自ずと理解できた。
言い表せない高揚感に包まれる。今、漫画のような出来事が現実に起こっている。
試しに近くにあった机に触れてみた。机の表面に電気が走り、その形を変形させる。それは尖った棘のようになった。
「…………ふふ」
青年は不敵に笑う。彼の中で黒い思考が巡る。見下してきたアイツらに誅を下そうと、そんな考えが浮かぶ。
こうしてはいられない。青年は着替え、ある場所に行く準備を始めた。
◇
-数日後-
-
東京のとある路地に1人の男が血を大量に流し、壁にもたれかかるように倒れていた。彼の前に1人の青年が立っている。
「5
青年のそばに浮いている羽がついており、デフォルメされた骸骨のような生物————その名もコガネ。
このデスゲーム"
「ふふ」
首をコキコキと鳴らし、不適に笑う青年————その名も南雲ハジメ。
死滅回游には二種類の
前者の覚醒タイプとは、"術式"という異能力に目覚めた現代人のことを指す。
とある人物が標的にしていた一定の人物達の脳を弄ったことにより、術式が覚醒した。
後者の受肉タイプは、先述したとある人物が契約した過去の人間達の身体の一部を"呪物"というアイテムにし、現代の人間に取り込ませて覚醒させた者達のことを指す。
南雲ハジメは、その中でも前者の覚醒タイプに当たるのである。
「いやー……人殺しをするしかない状況になったんだから……君を殺したって仕方ないよねえ?」
ニヤニヤと笑ってそう言いながら、ハジメは目の前にいる自身が殺した男を見る。彼のその言葉には、人を殺してしまったことに対する罪悪感、抵抗感のようなものは一切見られない。
「やっぱ……この力はいいや」
手をグーパーしてみるハジメ。
彼の持つ術式は"錬成"。その概要は、ざっくり言えば物質を操作する能力。物質を加工したり、武器を作ることが可能である。
「いやはや……最初はどうなることかと思ったけど……このゲームのおかげでムカつくアイツらを皆殺しに出来たのはラッキーだったな」
それは少し前のこと。
彼は東京第二
通ってはいるものの、普段は夜更かししてまでゲームをし、そのせいで遅刻ギリギリになり、授業中はずっと寝ている。そして本人はそれをだらしないともなんとも思っていない。
が、これだけなら日本中を探せばそこそこの数でこのような学生はいるだろう。
しかし、そんな彼はクラスメイトからはよく思われていない存在だった。
何せ彼は授業でグループで協力するようなことがあった時は他のメンバーと協力をしようとせず、サボる始末。
それでメンバーに「ちゃんとやってくれ」と言われた時は露骨に嫌そうな顔をしたり、舌打ちしたり、溜息を吐いたり、教室を出ていったりするのだ。そう言う場合、相手は男子、もしくは気の強い女子である。
それと彼はクラスのマドンナ的女子に世話を焼かれており、その上で前述の態度を改めたりはしないのだから、よく思われないことに拍車がかかっている。
おかげさまで好かれることに失敗し、嫌われることに大成功したのである。ちなみに、そんな彼と関わった生徒はこれまで寝ていた授業を起きるようにした。寝ていたら、彼と同類になると思ったからだ。
クラスメイトから腫れ物として扱われ、とある男子からダル絡みをされ、ハジメの心には苛立ちだけが重なる。そんな鬱屈とした感情を抱えて日常を過ごす中で、彼の術式が覚醒。
彼は、虐殺を行った。
◇
前日、某高校。
女子高生、白崎香織は幼馴染達と登校していた。
「今、東京すごいことになってるらしいわね……」
「うん……怖いね」
香織は自身の親友でもある雫に対して返事をした。
現在、東京は壊滅的被害を受けており、渋谷に至っては更地状態にまでなっていた。
————彼女達が知る由はないが、渋谷に関しては鬼神とも呼ばれた男と、とある式神との激闘の結果である。
「呪霊とか、あの変な黒い柱とか……何というか、現実に起こってるなんて思えないなぁ」
東京が壊滅的被害に陥った為なのか、呪霊と呼ばれる存在が世間に公表された。東京にしか出ないという話だが、それでもいつこちらに被害がくるかわからない。
その上突如として現れた謎の黒い柱。現在、それもなんなのか調査中らしい。
「怖い世の中になったわね……」
「うん……」
「大丈夫だよ、雫、香織。何かあっても、俺と龍太郎で2人のことを守る! な、龍太郎?」
「おうよ。光輝と2人でなら何が来ても大丈夫だ」
「はいはい、気持ちは嬉しいけど、私は守られるほど弱くはないわよ」
「ああ……確かにそうだな!」
香織と雫に談笑するのは天之河光輝と坂上龍太郎。香織の幼馴染だ。
それから雑談をしながら歩き続け、4人は学校へ辿り着いた。階段を登り教室へと入ってゆく。そこにはクラスメイト達がいるいつも通りの光景が。
席に荷物を置いた後、雫達と再び談笑する。
それから数分経って、とある人物が教室に入ってきた。
学校の制服を黒髪に黒目、真っ直ぐに下ろした髪型……何処にでもいそうな見た目で、街中で見ても人混みに紛れてすぐに忘れてしまいそうなほど平凡な見た目の青年。南雲ハジメだ。
ちなみに彼が入った時には既にホームルーム5分前くらい。遅刻ギリである。
彼はさっさと自分の席に着いた後、座ってそのまま机に突っ伏して寝た。そんな彼に近づく者が。彼はハジメの机を膝で蹴る。
「んぐ」
「よおキモオタ! 学校に来たら早速居眠りかあ、この野郎。深夜までネットでエロ画像でも漁ってたのかぁ?」
机の振動によって起きたハジメに言い放つのは檜山大介という青年。周りには彼の友人が3人ほどいる。
「良い御身分だな、ええ? なんか言ってみろよ」
「ちょっと、檜山くん……」
その光景を見て、香織は檜山に注意しようとする。
「……誰に向かってそんな口聞いてるわけ?」
「ああん?」
だがその前に、ハジメが檜山に向かってそう言い放った。檜山は言い返されたことに少し驚きながらも、ハジメを睨む。
「聞こえなかったの? ……誰に向かって、そんな口聞いてるのかって言ってんの」
「そりゃこっちのセリフだ。テメェこそ誰に向かってんな生意気な口きいてんだ?」
「君に決まってるでしょ。そんなことも分かんない? 見た目と比例してバカなんだね」
「てっめぇ……あんま調子に乗ってんじゃねえぞ!」
ハジメが煽り、その煽りに乗った檜山が怒鳴る。ハジメがこんなに煽ることに内心驚きながらも、このままでは喧嘩になると判断した香織は止めようと動き出すが、
「へぇ……僕に逆らっていいの?」
「ああ? んだと?」
「今謝ってくれるなら、君のことを許してあげないこともないけど?」
「誰がテメェに謝るか! 何様のつもりだ! いい加減に————ぐふうっ!?」
その時、檜山が横に吹っ飛んだ。途中机にぶつかりながらも、地面に転がる。
「え……?」
香織は一瞬、何が起こったのかわからなかった。
何せ、教室の壁が突如として出っ張り、勢いよく檜山にぶつかったからだ。
「あ、う……あがっ……」
「檜山! おいコラ南雲! テメェ何————がはあっ!?」
「うぐ!?」「ぐあ!?」
痛みに悶える檜山を見てハジメに詰めようとした檜山の友人三人も吹き飛んだ。今度は地面から出っ張りが現れた。
「ふっ……これで分かった? バカども。これが僕の力だ。で、謝る気になってくれた?」
「誰が……テメェに……!」
「ふーん……そこまで謝りたくないんだ……なら」
ハジメは机に手を触れる。机に電気が走り、その形を変形させる。机はあっという間に剣になった。その剣を持ちハジメは檜山に近づく。
「こうして……あげる、よっ!」
「ぎゃあああああああ!?」
ハジメは剣で檜山の足を切り付けた。血が飛び、周りから女子生徒達の悲鳴が上がる。香織も口を手で覆いその光景を見て絶句した。
「あっはっはっはっはっ! 良い声で鳴くじゃん! おら、もっと鳴けよ!」
「あああああああああああっ!?」
今度はさっき切った方とは別のもう片方の足を切る。檜山はまたもや悲鳴を上げる。
「な、南雲を取り押さえろぉ!」
「お、おう!」
男子生徒の1人がそう言い、男子生徒達がハジメを取り押さえようと動き始める。
だが、その前にハジメはしゃがみ込み地面に手をつけた。
「がはっ!?」「ぐあっ!?」「ううっ!?」
地面から棘が生え、男子生徒達の足を突き刺していく。
「今いいところなんだからさあ、邪魔しないでくれない?」
うんざりとしたような顔で男子生徒達を見るハジメ。
「龍太郎!」
「応!」
今度は光輝と龍太郎がハジメを取り押さえようと動き始める。
「あーもう……どいつこいつもうっざい、なあっ!」
ハジメは振り返り、光輝と龍太郎に剣を振るう。2人は咄嗟にそれを避けた。
「南雲! こんなことをするのはやめるんだ! 今すぐ武器を離せ!」
「誰が君の言うことを聞くかってんだよ!」
側の机に触れてチャクラムを作り出し、光輝と龍太郎に向けて投げつける。
「あぶねえ! ————うぐ!?」
「龍太郎! あがっ!?」
足に衝撃。棘が突き刺さり、血が飛ぶ。2人は倒れる。
「さて、と……」
「ひいっ!?」
檜山に向き直るハジメ。その目は檜山を品定めしているようにも見えた。
「今謝ってくれるなら……これ以上やらないのも考えてあげてもいいけど?」
「ッ! わ、悪かった! もう二度と悪口は言わないから許してくれ! 頼む!」
これ以上痛みを味わいたくなかった檜山は必死に謝る。その顔は恐怖に歪み、涙を浮かべている。
「ふ〜ん……そっかそっか。分かった」
「!」
「殺す」
檜山が安堵した瞬間、ハジメは彼の胸に剣を突き刺した。
「ああああああああっ!?」
今までで1番の悲鳴が上がった。ハジメが突き刺した剣を更に捻ると、悲鳴は更に大きくなる。
————やがて、その悲鳴が小さくなり————完全に、聞こえなくなった。
「………………ふふっ、あははははははは! はっはっはっはっはっはっ! 死んだ! 死んだよ! しかも小便まで漏らしてんじゃん! きったな! ははっ! ザーマーアァァァァァァァァァア!」
高笑いをあげて檜山の死を喜ぶ南雲ハジメ。
「あっはははははは……あー……気持ちいいもんだね……人を殺すのって」
今まで生きてきた中で1番の快楽と言っても過言ではないほどに人を殺すのは気持ちが良かった。人はこんなにも気持ちいいことを法律やら倫理観とやらのつまらない理由を並べ立ててするなと言ってくるが、そんなのクソ喰らえだ。
「んじゃ……そこで倒れてる男子生徒の皆さんも、死んでもらおうかなー!」
ハジメはまた地面に手をつける。すると倒れてる男子生徒達の身体から棘が生える。
「な、ぐも……! てめぇ……!」
「君達は僕の手で殺してあげるよ。有り難く思いなよ?」
龍太郎がハジメを睨みつけていると、剣が迫り来る。そのまま龍太郎の背中に突き刺さった。
「ぐあああああああああああっ!」
「龍太郎ッ!」
光輝が龍太郎に手を伸ばす。しかし、その間に龍太郎の身体は事切れたように動かなくなった。
「あ……あ……………………な、ぐもぉぉぉぉぉぉぉ!」
「そんなデカい声出さなくても聞こえてるから。死ね」
ハジメは光輝の首を切った。悲鳴は上がらず、即死だった。
「ふぅ」
息を漏らすハジメ。それから周囲を見ると、その視線は香織に。
「ひっ」
思わず声を漏らし、後ずさる香織。その間に、ハジメは彼女に近づく。
「白崎さーん……君が僕の女になってくれるなら、見逃してあげても……」
「ッ、いやあっ!」
ハジメが香織の頬に手を伸ばそうとする。だが、その前に香織がハジメの頬を叩いた。教室に、乾いた音が響く。
「——————」
「え、あ……ご、ごめんなさ……」
「……よくもやったなあああああああ!」
謝ろうとした香織に、激昂したハジメが剣を振るった。彼女の胴体が裂かれ、ハジメに返り血が飛んだ。
香織が、床に倒れ込む。
「………………香織!? 香織!?」
これまでの出来事に呆然としていた雫は、ようやく我を取り戻し倒れた香織の身体を抱える。
「…………ぅ、ぁ…………しずく、ちゃ…………」
その一言を漏らした後、香織の腕がだらんと落ち、目を開きながら脱力したように頭が傾いた。
「香織…………そんな…………嘘、でしょ? 香織! しっかりしてよ! 香織!」
「うるさいなあ。もう死んでるよ。分かんないの?」
泣きながら香織の身体を揺らし、名を叫ぶ雫。だがそれに水を差すように、ハジメがイライラとしたように言った。
「………………人、殺し。この…………人殺し!」
「お前もうるさい。死ね」
そのまま雫の首を斬った。そのまま、香織の遺体とともに地面へ倒れた。
「き、君! 何をやってるんだ!?」
「ん?」
教室の外から声が聞こえた。そこには教師が。
「い、今すぐその武器を!」
「黙れ、よっ!」
ハジメは剣を投げつける。反応できなかった教師はそのまま身体に剣が刺さった。
教師が苦しんでる間に、ハジメは前と後ろの扉を閉じる。ついでに窓もだ。
「さーてと……次は……誰から死にたいかなー?」
ニンマリとした笑みを浮かべ、残りのクラスメイト達を見渡す。
——————数分後、教室には血の海が広がることになった。
◇
そして、今。
それからハジメは東京第二
「さて、と……次の獲物を探そうかな」
ハジメはその場から離れ、次の標的を探さんと歩き始める。
次はどういう殺し方をしてみようか。串刺しにして達磨状態にでもしてみようか、女ならば弱らせるだけ弱らせた後、その状態で犯してみようか。
「お」
声がしたので、考えるのをやめてその方向を見る。
「
それは男性だった。青緑色の長髪を頭の両サイドで電気回路のコイルのようなお団子をハーフアップに結い上げた、風変わりなヘアスタイルをした若者。服装は中華風のシンプルな白い道着を着用しており、その手には長い棒を持っていた。
(次の標的はアイツだな)
そう考えた南雲ハジメは既に持っていた武器を構えた————時には、青年が目の前に迫っていた。
「え」
青年は足をあげ、ハジメの腹を蹴ろうとする。
ハジメは咄嗟に持っていた武器を盾に変形させる。
「があああああっ!?」
しかし、青年の蹴りは盾を砕いた。多少は勢いは殺せたものの、ハジメは吹っ飛んで地面に転がる。
(なんだ!? なんだ!? なにが起こった!? しかも……なんだ!? 身体が痺れる……!)
余りにも突然の出来事にハジメは困惑。ずきずきと痛む腕を押さえ、身体に痺れる感覚を覚えながらも、青年がこちらに向かって歩き出すのを確認する。
「よくも……やったなあ!」
ハジメはどうにか地面に手を付けた。地面に電気が走ると、青年の足元に穴が空く。
「!」
(はっ! ざまあみろ!)
青年を穴に落とせばこちらの勝ちだ。錬成を発動することで穴の中で剣を生やし、奴を串刺しにしてやろう。
————なんてことを考えてるうちに、穴に落ちる前の青年が棒をこちらに飛ばしてきた。
「っ!」
咄嗟に地面を操作して壁を作る。棒は壁を貫通するものの、厚かったので突き刺さって止まる。ほっとしたところで、壁が砕かれた。
砕かれたことを認識した瞬間、体に衝撃が入りまた地面を転がった。
「弱すぎるな。見るからに弱そうだから手加減してやったのに、この結果か」
意識が朦朧とする中、青年が吐き捨てるようにそう言った。
「おいオマエ。
突如として問いかけられる。
宿儺。そんな名前の者はハジメは知らない。
だが、わざわざ知らないと答えるのはそれはそれで嫌だった。この青年に従っているようで、ハジメのプライドが傷つくからだ。
「誰が……答えるか……」
「そうかよ、じゃあ死ね」
紫電が走った瞬間、ハジメの身体は爆ぜた。胴と足が真っ二つになり、あっという間に絶命した。
「5
「わーってるよ、殺したんだから」
青年の元にコガネが現れ、点が追加されたことを告げる。
青年の名前は————
鹿紫雲はハジメの死体を放っていき、何処かへと歩き出す。しばらくして、ハジメの死体に蠅が止まった。
————力に溺れ、命を尊ばず、他者を殺すことに快楽を覚えていた彼は、絶対的強者から無惨にも殺され、その死を悼まれることは無かった。
南雲ハジメ LOSE
錬成
術者本人が身体能力と使い方を磨けば化けるタイプのやつ。奇襲にも使えるが、特級レベル相手だと流石に通じなくなる。
て、適当に思いついた作品が……なんで7000文字も行ってるのん?
俺馬鹿だからわかんねえけどよお
光輝が勇者(笑)になってるのは光輝アンチの皆がよってたかって彼を痛ぶってるからじゃねーのか?
とりあえず俺がこれを書いてて思ったのは俺も光輝アンチと変わらんかったってことや。認めるよ、光輝アンチ。俺はお前だ……。
まあ光輝アンチの皆が光輝をいたぶるように俺もハジメにこうしたってわけや。呪いが廻ったってことやね。マイネームイズカイセン…ジュジュツカイセン!
それと死滅回游泳者になった光輝くんが虎杖達と一緒に事件解決のために奔走するエピソードの構想もぼんやりとあったりする。(多分そっちの方がウケ良いしこれよりかなりマシ)
最後に、光輝と龍太郎と雫と香織と檜山のファンには本当にごめん。