ガールズ&パンツァー 転生した独裁者の陸戦道戦記 作:くろがね四駆
※こちらはリメイク作品です!
――ドイツを復活させて、ドイツを敗北へと導いた独裁者アドルフ・ヒトラー。
彼の起こした行動は国民を熱狂させたが、ユダヤ人からすれば
迫害、亡命、虐殺。
どの国でも歴史から見ればよくある悲劇ではあったが、ナチス・ドイツは規格外であった。
第二次世界大戦が勃発すると、ユダヤ人の虐殺はエスカレートしていった。
ソ連領内のユダヤ人は"イワシ缶方式"という効率化した処刑によって二万人以上、そしてホロコーストで六百万以上がこの世を去ったのだ。
ユダヤ人以外にも強制収容所の送られた多くのスラヴ人なども犠牲者の一部であった。
ナチスにとっての快進撃を続けていたヒトラーであったが、彼の快進撃は終りを迎え始めた。
スターリングラードの戦いでの敗北以降、敗北続きであったドイツ軍。
ノルマンディーへの上陸を許し、遂にはソ連軍がドイツの首都ベルリンまで迫ってきていたのだ。
――此処はドイツの総統地下壕、一つの部屋の中でナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーは倒れている女性を見つめていた。
倒れているのはエヴァ・ブラウン、ヒトラーの妻となった人物であった。
既にエヴァは亡くなっている、青酸カリを使用した直後であった。
「(――いよいよ終りか。)」
思えば色々な事があったと、ヒトラーは過去の記憶を思い出す。
関係の悪かった父、親愛なる母、大切な妹、仲の良い友人。
「……フッ、ろくなことがなかったな。」
生まれて以降、父の不和や母の死、大学に落ちた後に世界大戦、そして薬物の服用……。
ヒトラーは過去を思い出し、自分に呆れて失笑する。
そして持っていた青酸カリを取り出して、口に含むんだ。
「(……もし、私に第二の人生を貰えるのなら。)」
青酸カリを飲み込む喉の音が部屋に小さく響く、そして片手に持っていた拳銃を顎の下に構え――。
「(――もっと楽しく、生きてみたいな。)」
――頭を撃ちぬき、独裁者はこの世を去った。
その後ドイツは降伏し、東西に国は分断された。
ドイツ国民はナチス・ドイツ時代を暗黒の時代として歴史に記していくのだった……。
――時代は遡り、2012年。
日本にある一つの屋敷、この屋敷には
広々とした庭でキュラキュラと履帯の音が響き渡っている。
音の正体は戦車、ドイツのⅡ号戦車F型が庭を走り回っていた。
悠々と戦車が走っている中、一人の少女がメガホンを戦車に向けて構える。
『姉さーん!! "ひとみ"姉さんってばー!!。』
少女の声が聞こえたのかピタリと戦車が止まった。
キューポラが開き、ひとみと呼ばれた少女が現れる。
キリっとした目つきに、茶髪のショートカットヘア、そして格好はドイツ軍の戦車長の恰好をしている。
「"まなこ"か、 どうしたー?。」
『どうしたもなにも、母さんが呼んでるよー!。』
「母さんが? わかった、すぐに行くと伝えてくれ。」
ひとみは戦車から降りて、屋敷に向かおうとする。
「姉さんの戦車ガレージにしまっておくね?。」
「ありがとう、助かるよ。」
――独逸家とは、乙女の嗜みとして有名な競技「戦車道」の三大流派、「西住流」「島田流」に連なる「独逸流」を生み出した家なのである。
その独逸家の長女こそ、今屋敷に向かっている独逸ひとみなのだ。
しかし彼女には、家族や親密な関係者しか知らない秘密がある。
第二の人生を受けたヒトラー元い、ひとみは大切な人生を楽しく過ごしていた。
今やひとみは17歳の女子高生となっていた。
「……よし、母さんの執務部屋に着いたぞ。」
目の前には母である"独逸めいか"の執務をする部屋がある。
「母さん、入ってもいいかい?。」
『入ってらっしゃい。』
扉を開けて、部屋に入る。
中には机で書類をまとめている独逸めいかの姿があった。
「どうしたの母さん、急に呼び出して……。」
「実はねひとみ、……大洗女子学園に転校して欲しいの。」
転校という単語に、ひとみは驚愕する。
「て、転校? 一体どうして・・・・・・。」
「"しほ"から頼まれちゃってね、転校した娘のみほちゃんが心配なんだって。」
「……大会での事例があったからまさかと思ったが、責任を感じて転校しているとは。」
西住しほは西住流家元であり、その娘の一人が西住みほなのだ。
大会の事例というのは、戦車道の大会にて、みほの行動で大会10連覇を逃してしまったというものである。
それ以降責任を感じ続けていたみほは、黒森峰のメンバー達に別れを告げて転校してしまったのだ。
「あれ以降、エリカちゃんや他の生徒達も寂しそうにしているし、しほ自体も娘に強く言ってしまったって落ち込んでるのよ。」
「あー……、そこでみほと仲の良い私が抜擢されたのか。」
「今の学校に友達も居るのは分かってるけど、頼めるのあなたしか居ないのよー。」
ひとみは考える、だが既に事は決定しているだろうから考えるだけ無駄だと思ったのか、小さくため息を吐いた。
「……わかったよ、それで転校日時は?。」
「一週間後、それくらいあれば準備できるでしょ?。」
「ん、了解。 十分すぎるかもしれないけど。」
――こんな経緯があった結果、一週間の間は友人に暫しの別れを言ったり、転校への準備など順調に過ごしていった。
大洗の学園艦が停泊している前には、ひとみが転校する為に知り合いや家族、更には戦車道関係者が集まっていた。
「じゃあ母さん、まなこ、それに皆、そろそろ行ってくるよ。」
「みほちゃんの事、お願いね。」
「行ってらっしゃい姉さん!。」
『『元気でなー!。』』
様々な人々に見送られながら、ひとみは学園艦に足を踏み入れた。
艦がゆっくりと動き出す、学園艦は広々とした海へと進んでいった……。
「なんだか少し寂しいなぁ。」
ひとみは離れていく陸地を見て寂しくなっていた。
それでも仲の良かった者達は最後まで見送って大きく手を振った。
「……お前達も、元気でなー!!。」
ひとみも友人や家族に大きく手を振り返した。
そして遂には人すらも見えなくなった。
「さて、指定されたアパートに向かうか。」
海の向こうの陸地を見続けるのを止めて、ひとみは学生寮へと向かって行った。
――そして学生寮に到着し、部屋を綺麗にまとめた結果、ちゃんと住みやすい部屋となったのだ。
「よーし……ん?。」
ポケットから着信音が鳴っている。
誰かを確認してみると、"西住まほ"と書かれていた。
「まほか、……もしもし?。」
『久しぶりだな、お母様の頼みを聞いてくれて感謝しているよ。』
「しほさん、ずっと落ち込んでるんだっけか。」
『ああ……、表情には出さないが、夜な夜な心配そうな素振りを見たことがある。』
これは重症だと考えながらも、ひとみは話を聞く。
『みほが元気そうだったら早めに連絡をくれないか? このままだとお母様が大変な事になりそうだ。』
「そうだな……、明日から学校だからその日にみほと会っておこう。」
『すまない、ひとみには助けられてばかりだな……。』
「精神年齢が違うんだよ。」
『ははは、それもそうだな。 しかしお前は昔に比べて丸くなったな、誰かの影響か?。』
「お前達姉妹の影響だよ。」
――実は西住みほと、まほの二人はひとみが何者なのかを知っている。
互いに良好な関係であるため、幼い頃に教えられているのだ。
ひとみは幼い頃、自身が転生したヒトラーであると親に告げてからも、転生前の性格が抜け切れてなく、誰かを疑ったり等が多かった。
しかし西住姉妹と何時も共に遊んだり、寝たり、楽しく過ごしていくうちにゆっくりと穏やかになっていった。
そして現在、ヒトラーを思わせるような性格はもうひとみには存在しなかった。
「そうだ、まほも大事な妹であるみほに伝えたい事とかないのか?。」
『私か? そうだな……、じゃあこう伝えてくれ。 寂しくなったら何時でも帰ってきてくれ、皆待ってるからとな。』
「……ああ、必ず伝えておこう。」
『ではそろそろ切るぞ、またな。』
「ああ、またな。」
こうして二人の通話は終わり、ひとみは明日のために寝る準備を始める。
明日の事を考えながら、ひとみは明かりを消して布団に入った。
――そして、次の日の朝となった。